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7-2




 「――ところで、知ってるか? 我が悪友よ」

 ――昼休み。

 突然そう切り出してきたメガネの声に俺は内心、イラッ、ときていた。

 というのも、

 「っんだよ高? 俺は今からお嬢さまに弁当を持って行かなきゃならねーんだよ(本当は結といっしょにお昼を食べるためのウソだけどな)。分かんだろ? 今はお前と話してるヒマなんかねーんだよ!」

 ――というわけだ。

 ……叶わぬ夢とはつゆ知れど、そこに有るは極上の華……べつにいいのさ、結が俺のことをどう想ってたって。俺はただ……ただ、そのそばにいられるだけで、シアワセなんだ……。

 「……ああ、いや、悪かった。俺が悪かった。だからそんなに悲しそうな顔をするのはやめてくれって」

 ……どうやら、相当に悲しい顔をしていたらしい。

 まぁ、高利が考えていることと、俺が思っていることはまるで別モノなんだけどね?

 「……つーわけで、じゃあな高」

 と、その場をテキトーに言って俺が立ち去ろうとした、その時だった。

 「お、おい! ちょっと待ってくれよ」

 ――そう、また俺はクソメガネに引き止められたのだ。

 「……んだよ」

 ますます不機嫌に思いながらも、一応首だけで振り向いてそう聞き返すと、高利はこれ以上俺を先へと進ませまいとしてか、わざわざ俺の正面に回り込んでから低姿勢で話し始めた。

 「いや~、怒るのも分かるんだけどさ? ほんのちょっとだけでいいから俺の話も聞いてほしいんだよ。〝ビッグニュース〟だよ? 〝すげービッグニュース〟!」

 「〝ビッグニュース〟だぁ?」

 ああん? と俺は高利に対する不審(ふしん)さを隠しきれない。なぜなら、そう。こいつは色んな方面でまともに信用できたやつではないのだ。ビッグとかグレートだとか言っておいて、結局俺にとってはどーでもいいようなことばかり抜かしやがる。

 「おいおい、そんな不審そうな顔すんなよ。今回ばかりは本当にホント、ビッグなニュースなんだって!」

 「あーあー、分かったって! 聞いてやるからさっさと話せ。俺には時間がねーんだよ」

 「そうこなくっちゃ!」

 頷いて、高利はすぐにポケットからいつも持ち歩いているらしいメモ帳を取り出し、同時に俺のことを失礼にも指差しながら、まるで宣言するかのように高らかと言い放った。

 「――実はな、なんと! 〝転校生〟がやってくるって話なんだよ! しかも〝今日〟! 五時間目の最初に、俺たちのクラスに〝二人〟も!!」





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