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「おや? さすがですね~」
大正解~☆ 明は口元から指を離し、いつもの調子で答えた。
「黙ってないで、正直に小さくなってしまったことを言えばそれで済むことなのに、無理やり着けていたとは……まぁ、結さまらしいと言えばそうなんですが、ともあれ、まさに成長期の女の子~って感じで、かわいいじゃあないですか~☆」
「何だよお前のそのおっさんぽい思考は……いや、否定はしないが。できないが」
「亮さまも正直で何よりです☆ ――っと! そんなことより、到着しましたよ~! ここが私たちの知り合いが働いているお店です☆」
「ん? ああ、もう三階か。ここがお前たちの……」
――デパートの三階、女性下着売り場。
そこは……何て言うか、
ピンクで、
時より淡いブルーで、
中にはオレンジとか、赤いのとか、
極めつきには薄っぺらくて、スッケスケな、
そんな、何て言うか……。
……。
「明」
「はい」
「悪い、俺帰――」
ガシ!
「……」
「……」
「……明、放せ」
「イヤです」
「……放してくれ」
「ダメです」
「……許してくだ――」
「お断りします~☆」
「ああぁ~……」
ズルズルズル……逃げようとする俺を捕らえて放さない明は、「きゃはは~☆ 亮さまってばかわいい~☆」とテンション高く笑い、そのまま俺を引きずって結たちの元へ連行した。
その様子を見ていた結たちが聞く。
「……どうしたの、亮?」
「なぜ、引きずられて……」
「……聞くな」
俺はそう一言だけ答えると、色々誤魔化すために。引きずられた体勢のまま急ぎ本題へと移った。
「で? その、お前らの知り合いのナントカさんとやらはどこにいるんだ? さっさと買い物を済ましちまおうぜ?」
「あ、はい。丸山さんでしたら、おそらくはレジの方に――あ」
「ほほう? これはまた見事にご成長されましたね~」
と、愛が「あ」というのが早いかどうか、だった。突然結の方から、知らない女の人の声が聞こえてきたのだ。
「ん? ん?」と、引きずられたままの体勢ではその姿が確認できなかった俺は、すぐに身体を起こし、改めて声がした結の方を見てみる。
すると、そこにいたのは、このデパートの制服を着た、女の人にしては背が高く、身体は、シュッ、と細く引き締まった、まさにスレンダーという言葉が似合う、女性店員さんだった。
胸の名札には、【丸山】と書いてある。間違いない。この人が愛たちが言っていた知り合いであり、元・白乃宮家の一般メイド、丸山さんだ。




