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 ――隣町のデパート、店内。

 「ところで、明?」

 三階にあるらしい女性下着売り場に向かうため、エスカレーターに乗って先を行く愛たちの後ろ。俺は、ひそひそ、と……明だけにギリギリ聞こえるような小さな声で話しかけた。

 「結の胸がものすごくデカいというのは、見た目はもちろん、さっきの愛の話で十分に理解はできたんだが、いくらデカいとは言ってもブラジャー……つまりは服だ。両手で全力で引っ張ってもなかなか千切れないような服が、そんな簡単に千切れるものなのか? もしかしてブラジャーってのは、意外と脆い物……なのか?」

 そう、例えば、だ。今俺は私服であるTシャツを着ているが、これを思いっきり引っ張ったとしよう。確かに、引っ張った時は、ブチブチ、と音は鳴るかもしれない。だが、その後はどうだ? 千切れるか? ……いいや――そりゃあ、千切れる時は千切れるし、力が強い人は無理やり千切ることができるかもしれない。だけど――ほとんどの場合は、服が〝伸びる〟だけで終わるはずだ。

 しかし、今回はそれが実際に千切れた。ということは、俺が言ったように、ブラジャーという物自体が脆いのか、あるいは……???

 ……明の答えは?

 「ん? いえいえ~。ブラジャーというのは、それこそ透けるような薄い物でもない限り、かなり頑丈にできていますよ~? ちょっとやそっと引っ張ったくらいでは、千切れることはありません~」

 「じゃあ、何で……?」

 「んーと」

 と、明は人差し指を口元に当てながら話した。

 「これは亮さまと結さまに着替えていただくために、亮さまのお家に行った時に聞いたことなんですけど~? 亮さまのお母さまの話によると、結さまは中学一年生の後半ぐらいになった時点で、今のブラジャーのサイズまでお胸が成長していたらしいんですよ~。そこで亮さまのお母さまは、〝お友だち〟の中で一番お胸の大きかった方からブラジャーを……まぁ、つまりは〝お古〟っていうやつですね。着なくなった物とかを貰って、それを結さまに渡していたんですけど~……文字もそのままに、〝お古〟、ですので~」

 「……なるほど」

 つまり今回の事件(?)が起こってしまった原因は、結が古くなって脆くなった、しかもサイズの小さいブラジャーを着ていた状態で、俺をゴートゥヘルするために腕を思いっきり振りかぶったところ、ブラジャーが引っ張られ、ブラジャーの耐久限界がきて千切れてしまった、と。そういうことか。




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