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「ごめんなさい亮さま。そろそろ止めていいですか~?」
……と、俺の思考にストップをかけたのは、明だった。
俺はそんな明に一言……二言だけ言う。
「……止めてくれてありがとう。助かったよ明」
「ど、どういたしまして……」明はそう置いてから、こほん、と咳払いを一つ。話した。
「……さて、亮さま。今、私たちは何をしていて、これから何をしに行くのか? 理解していますか?」
「よし、説明してくれ」
「せめてちょっとは……いや、もう考えるフリだけでもいいのでしましょうよ……」
どうやら素直に即答してはいけない場面だったらしい。
明は困ったように、眉間に指を当てて、う~んと、と悩みながらも答えた。
「それでは、順を追って説明しますけど……とりあえず、学校で亮さまに制裁を与えようとした際、結さまの胸が急に大きくなったところまでは……まぁ、憶えていますよね?」
「うむ。急成長したところまではな」
「いや、急成長って……まぁ、いいですこの際」
えーと、と明は続ける。
「そのすぐ後のことなんですけど、確認したところ、どうやら結さまは、結さまの胸のサイズに合っていないブラジャーを付けていたらしく、それが千切れて弾けてしまったらしいんですよ~。で、結さまが持っているブラジャーは全て、千切れてしまったブラジャーと同じサイズの物しかない、ということが分かったので、急いでその場で亮さまにAEDを使い、蘇生し、緊急事態ということで学校を早退……お二人には一旦家に帰って着替えてもらい、ここからが現在。ちゃんと結さまの胸のサイズに合った新しいブラジャーを買うために、バスに乗って隣町のデパートを目指している。という感じです。分かりましたか~?」
「……なるほど。俺の意識(魂)があの世に行ってる間にそんなことがあったのか」
……てゆーか、結局俺はAEDされちまったんだな? 家に着いた辺りからしか記憶はないが。しかも、曖昧にしか。
まぁ、もっとも、記憶が曖昧にしかないのは、ついさっきまで俺の中に広がる大宇宙という名の妄想がビッグバンしてたから、なのだが……。
……ん?
と、ふと、俺は明の説明に疑問に感じたことがあった。すぐに聞いてみる。
「ところで、何でわざわざバスにまで乗って、隣町のデパートに買い物に行くんだ? 服屋なら商店街に三~四件くらいあるぞ?」
まさかそれらの服屋では、結の胸のサイズに合ったブラジャーが置いていない、とかではあるまいし……いや、まさか……いやいや。そんなわけ…………なぁ?




