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いや……違う! この声は……!
「た、高……?」
ばっ! 俺は急いでフライハイしてダウンフォール(?)した高利の方を見てみたが、しかしそこにあったのは……やはりと言うべきなのか? 黒塗りのモザイクと化した高利の姿だった。いかに高利とはいえ、とてもじゃないが、これでは生きてはいられまい。
気の、せい……? そう思った。
だが……っ!
『亮……』
ち、違う! 気のせいなんかじゃない!
高! ……高っ! お前なんだろ!!?
確信を持った俺は、心の中でそう高利に向かって大声で呼びかけると、すぐに、返事が返ってきた。
『そう…だ。俺様、だ……。り、亮……俺様はもう、ダメ……みたいだ……』
ああ、だろうな! 見りゃあ分かるよ! そんなことより、このままじゃ俺もお前と同じくフライハイさせられるか、授業の実験器具としてみんなに貴重な体験を提供することになっちまうんだよ! こっから俺はどうやったら逃げ――
『逃げるな……た、〝戦え〟……亮……っ!』
何!!?
バカ言うんじゃねぇ! 心の中で叫び、俺は続けた。
この状況で何をどう戦えと!? どんなに足掻いたところで敗北必至じゃねーか! 文字どおり1/3300どころか、万に一つも勝ち目なんてねーよ!
『だから……だよ……っ!』
何? 聞き返すと、すぐに高利は話す。
『お……俺、様は、今日……絶対に……絶、対に! お嬢さまに勝つ……そのつもりで、戦った……だけど、結果はこのザマ……だ……だ、だから、亮……お前に、お、前に……!』
俺様の……〝カタキ〟を取って……ほしいんだ……!
な……か、カタキを取る……? 〝敵討ち〟!!?
ふ、ふざけんな!
何で俺が!!? 俺はそう叫んだが……しかし、高利の言葉は変わらなかった。
『頼む……亮……! お願いだ、亮……! お、れ、様の、〝カタキ〟を……〝無念〟を、どうか……はら、し、て…………』
!!? お、おい、高! 高!!? 待て! 逝くんじゃねぇ! そんなこといきなり頼まれても、俺は……!!
『頼、ん、だぞ……俺様の……ただ、一人の……〝悪友〟…………』
……ッッッ!!!




