14-11
「……」
……。
……。
……?
「んんっっっ!!???」
ホワイッ!!? 俺は全力で叫んだ。
「ちょちょちょちょ!!? ちょっとお待ちになってくだされございますか!!? あのサルみたいなバカのメガネがしでかしたことと、ぶっちゃけ何もしてない俺が〝同罪〟!!? そんなの保健所が許しても消防車は許さねーよ!!???」
「だったら救急車にでも許してもらいなさい」
混乱のあまり、自分でも何を言っているのかよく分からなかったが、元・お嬢さまにはそれ自体がどうでもいいらしい。テキトーに答えてから、元・お嬢さまは席から立ち上がり、ずかずか、と俺の方に向かって歩いてきた。……途中、明からカメラを受け取り、バキャアッ! とそれを平然と握り潰す。
「……さ、もう覚悟はできてるわね? 二人仲良く保健室にでも逝ってらっしゃい? あ、希望するなら、四時間目の、AEDの使い方を勉強する時の人形役にしてあげてもいいわよ?」
「どっちも嫌なんですけどっっっ!!!??」
マズイっっっ!!!!!
俺は、心の中で全力で叫び、この絶望的な状況を打破するために頭の中を全回転させた。
考えろ! 考えるんだ、俺っっ!!! あんなバカでメガネのサルのことなんかかわいそうに思ってる場合じゃなかった! どうでもいいんだよあんな社会のゴミみたいなサルのことなんて!!! このままじゃ……俺はそのサルと同じくお外に向かってフライハイ! もしくは、止まった心臓を、A! E! D! 生身の実験体でAEDを試せて生徒たちにはすっげー貴重で良い経験になっちまうじゃねーか!
でも、そんな貴重な経験も、使われ…いや、使用される(、、、、、)側の俺にしてみればいつもの臨死体験! 見飽きたやたらデカい川に、その畔で「またか」と言ってなぜかいつも俺の服を剥ぎ取ってくるしわくちゃの婆ちゃん! フライハイしようが、AEDされようが、結果、同じじゃねーか! 最近門の前にいる牛の人と馬の人とも仲良くなってきちゃったし、もうこれ以上アッチ(、、、)の友だちなんかいらねーんだよ! ――って! それこそそんなこと考えてる場合じゃねーよ!
『……う……』
ああっ!?! ほら! いよいよお迎えの声が!!!
『……り、亮……』
「!!?」




