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ぺんっ。
「……え???」
ドサッ。
……不意の一撃に尻もちをついたのは、何と元・お嬢さま――ではなく、不意の一撃を放った張本人、高利だった。
「え? あ、あれ……???」
わけの分からない状況に混乱する高利。
だが、そんな高利とは裏腹に、遠くからその様子を見ていた俺には、すぐにソレ(、、)が理解できた。できてしまった!
「〝逆〟……足払い……ッッッ!!!」
「あら? さすがにその距離から見てると見える(、、、)のね?」
思わずこぼれ出た俺の言葉に、元・お嬢さまは答えた。
「ご名答。フェイク攻撃による視線誘導を狙うだなんて、サルにしては割と良い作戦ではあったけれど……サル自身がこれ(、、、、、、、)では、その作戦も大した意味を成さないわね。逆にそれを利用して、サルが出してくる脚とは反対の脚……軸足(※体重がかかっている足のこと。重心)を払ってあげたわ」
「……ッッッ!!!??」
驚く高利……そう、元・お嬢さまの言うとおり、高利はフェイク攻撃による足払いを狙ったのだが、逆にその反対側の足を狙われ、見事に返り討ちにされてしまったのだ。
こうなってしまっては……もはやいつもどおり。作戦も何もなく、行われるのはただの、一方的な〝処刑〟。
「ひ、ひぃぃぃぃぃっっっ!!!??」
それを理解した高利は、情けない悲鳴を上げながら、尻もちをついたままの態勢で、ズルズル、ズルズル、と後退る。
そこに、元・お嬢さまは歩み寄りながら話した。
「もう一度、褒めておいてあげるわ。サルにしてはなかなか良い作戦だったわよ? だから、ご褒美に……〝一撃〟で送ってあげるわっっ!!!」
「わひゃあああっっ!!? ま、まっ――でぅえっ!!!?????」
ガッシャーーーン! …………ドサッ。




