『再会! 出会い!』
「スノウ……」
「スノウちゃん……」
「………」
ジトっとした目をして此方を見る二人から、全力で目を逸らす。
だって……ね。ちょっとイラっとしたというか、意外と強かったというか……まぁ、やっちゃった俺が悪いんですけどね。
PKとの戦いの結果を言うと、勝った。最初のほうは普通に戦ってたのだが、テンシンさんの言っていたことがよく分かった。相手のほうが、攻撃力も防御力も高いのだ。
向こうのほうが装備とスキルレベルが上らしく、どんどん追い詰められる。速さで翻弄しようとしたのだが……
「なかなか速いな!」
対応されてちょっとショック………
俺が〈ヤマト〉にいる間に皆強くなったんだな。クノとライラも装備を強くしたらしく、見た目はあまり変わってなかったが、性能は格段に上がっていた。
ライラとクノが普通に戦っているのを見て、焦った俺は録に試していない、【神仙解放】+攻撃系の【仙術】を使った結果、PK全員バラバラに吹き飛びました。あ、体がね。
「なんなのよ、あの威力」
「危うく巻き込まれる所でした」
「ごめん」
後で一通り試して威力の確認をしておこう。これは、誤射したら不味い。
王都手前のボス鳥も楽々倒し、王都に入った。すると、懐かしい? 人達が門の向こうにいた。
「スノウさ ぶはぁ!?」
「お姉ちゃん!」
「あら、スノウちゃん」
そこにはヘイル、スリート姉さん、ルキエさんがいた。ちなみに、ルキエさんは俺を見た後顔面から倒れ込んで、地面に血だまりを作り出した。
ヘイルは俺に抱きついてきて、スリート姉さんは頭を撫でだした。
「もう! 今まで何処いってたの!」
「そうよ、連絡もしないで」
「ごめん。はいコレ」
誤魔化すために、おにぎりや日本酒を渡しておいた。物凄く喜んでくれた。
「そういえば、この頭の翼? はどうしたの?」
「ん? 色々」
「お姉ちゃん、説明がめんどくさいからって、適当に言わないでよ」
だって時間かかるし………それに、ここだと迷惑になるだろうしね。これからギルド戦について話し合いをするという三人と別れて、俺達は王都の先に行くために反対側の門へと歩き出した。
というか、ギルド戦ってなんだ? 気になることは聞いてみるのが早い。教えてプリーズ
「ギルド戦っていうのは、だいたい1ヶ月後にあるイベントのことよ」
「闘技大会の閉会式で運営の人が言ってたんだよ」
なんでも、広大な専用フィールドで行う、ギルド同士による戦争らしい。ギルド同士で同盟を組んだり、多数のギルドで連盟を組んだりも出来、その場合裏切りもオッケー。ギルドに入っていない人でも、仮入りして参戦することも可能らしい。
楽しそうだな。今度こそ、ちゃんと参加しよう。
そんなこんなで雑談しながら歩いていくのだが、何度か声をかけられた。だいたいが、《エスポワール》、《金鈴の旅団》それにファンクラブの、顔見知り人達だ。皆さん、心配していたようで、申し訳ない。
んで、そんな感じで色んな人達と再会していたのだが、ここでかなり懐かしい人達に出会った。
「スノウお姉様! お久しぶりですわ」
「スノウさん、お久しぶりです」
「お久」
マジもんのお嬢様であるらしいリーフィリア・ブルーローズと、そのお付きの月見さんの二人だ。以前………というなかなり前に、リーフィリアには巫女として舞を教えてあげて、それでフレンド交換もしたっけな………全然連絡取り合ってないけど。
それにしても久しぶりだな。リーフィリアは、ピシッと巫女服を着ており、月見さんのほうはロングスカートのメイド服を着ている。
「こんな所でスノウお姉様に会えるなんてっ!」
なんだろう。ファンクラブに入ってそうな、熱の入り方だな。そんな事を思っていると、クノとライラから小声で話しかけられた。
「知り合いなの?」
「そう」
「二人共、《七星会》の人だよ?」
「え?」
この二人が《七星会》? ということは強いのかな? さらに詳しく聞くと、リーフィリアは正統派巫女の中で一番と言われているらしい。ちなみに、正統派じゃないのは俺だけらしい。そして、月見さんは暗殺者系らしい。似合うな。
リーフィリアはさっきから今までの自分の事を語っているのだが、物凄く長くなりそうだ。
「急ぐから、これで」
「え? す、スノウお姉様、もう少し━━んぐ!?」
「スノウさん、お嬢様が申し訳ありません。お話はまた今度お願いできますか?」
「ん。それで」
月見さんが、まだ何か言いたげなリーフィリアの口を塞いだ。そして、また今度お話ししてあげて下さいと言った。俺はそれに頷くことで肯定し、ライラとクノの二人と一緒に、再び進み始める。
リーフィリアは名残惜しそうにしているが、こっちもやりたいことがあるので、またにしてほしい。
「じゃあ、またね」
「はい」
「んんんんんー!(お姉様ー!)」
と、これでやっとフィールドに出られると思ったのだが………
「あぁ、いたいた………あれ?」
歩き出したその時、すぐ側の道からぞろぞろとプレイヤーが現れた。
先頭にいたのは、薄い緑の髪に青い垂れた瞳をした青年で、だぼっとしたラフな服を着ているにもかかわらず、ベルトに引っかけるように腰の後ろに長剣を差している。
他には、身の丈以上ある大剣を上手いぐあいに背中に装備した幼女に、上半身裸で褐色肌をした筋骨隆々のスキンヘッドの男。二メートルはある長身で、フードを目深に被ったローブの人物。ボロボロのコートを着た気弱そうな女性。
さて、先頭にいた青年が俺のことをジッと見てきているのだが、なんなんだろう? 初対面………だよな?
「スノウさん……ですよね?」
「ん」
青年がどこか確信を持った表情で聞いてくるのに、肯定すると
「初めまして。ソウレンといいます」
なんだろう。なんか、面倒ごとの予感が………
遭遇しましたね




