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『霊月:予感』






「『月影一閃』!」


「くっ!」



これでもたまにスノウと模擬戦なんかをやっているから、そこそこ出来るつもり。


〈魔都〉に来てから2日目、昨日はリューニャ達と話したり、図書館でこの周辺について情報を集めたりして過ごした。夜中には、ご馳走が出されてフクロが喜んでたわ。


そして、今日。朝からさっそくガルディア隊長の訓練を受けている。最初は、走り込みなんかの体力作りをやり、今はレレロゥ相手に模擬戦をやっている。



「『烈火五連』!」


「ッ! くぅ!」



スノウから教えられたのは、隙はあまり見せないということ。



攻撃する時はとにかく攻撃。


防御する時はとにかく防御



どちらか一方に集中していれば、隙はあまり見せずにすむらしい。最初のほうは、とにかくそれでいけと言われた。


ただし、敵の動きには常に注意をはらうこと。相手が何かしようとしたら、直ぐに離れられるように準備しておくといい………らしい。



「こ! の……」


「!」



レレロゥが何かしようとする感じがしたので、バックステップで距離をとり、正眼の構えをする。



レレロゥとの模擬戦は結果的には負けたけど、それなりに戦えて良かった。ガルディア隊長にはまだ敵わないけど、筋はかなりいいと言われた。


他の人達とも模擬戦をしたりする。


色々と学べるものも多くて、かなり有意義な時間を過ごすことが出来た。



「ふぅ。さっぱりした」


「ホー」



模擬戦を一段落して、お風呂に入って汗を流した。


さてと、〈魔都〉観光でもしようかな?


外に出ようと門を目指していると、こそこそとしている知り合いを見かけた。



「リューニャ? 何してるんだろ?」


「ホー?」



こそこそとしているリューニャが気になったので、後をつけることにした。


ふふん。スノウがいない時は、フクロと一緒に斥候役をやるぐらい隠密系のスキルを鍛えているので、多分気づかれずにつけられると思う。


暫くつけていると、リューニャが地下室に入っていった。



「隠し扉?」



さらに、地下室になぜかあった本棚の本を動かす仕掛けで、隠し扉が現れ、リューニャはそこに入っていった。


何してるんだろ? とりあえず、同じように本を動かして隠し扉の中に入る。



「地下道かしら? 何処に繋がってると思う?」


「ホー?」



期待はせずにフクロに聞くと、首をくるっと傾げた。


梟みたいね。って、梟か



「とりあえず、進んでみましょ」


「ホー」



薄暗い地下道を、足音が出ないように慎重に進んで行く。こういう場所だと、足音たてただけで響くから、音出ないように気を付けないとね。


フクロが羨ましい


フクロは【消音】を持ってるから、絶対に音が出ないのよね。



「それにしても、本当に何処に繋がってるのかしら?」


「ホー」



かなり長い。入ってから20分は歩き続けているのに、出口があったり、小部屋があったりしない。なんなんだろ? ここは


うーんと、考えられるのは脱出用の通路………っていうか、それしかないよね。うん。


さらに歩いたら、上に登る階段があった。



「この上ね」


「ホー」



登ってみたら、そこは地下室だった。でも、向こうより使われてないみたいね。


階段があったのでさらに登ってみると、使われていない感のある屋敷だった。でも、定期的に掃除はされてるみたい。埃が所々被ってるけど、1ヶ月たったかたってないかぐらいだ。



「あれ? リューニャは?」


「ホー」


「ん?」



フクロが地面に降りた、そこで分かったけど、埃で足跡ができている。



「ナイスフクロ!」


「ホー」



自慢気に胸を膨らませるフクロをこねる。


さてと、外に出る扉に向かってるわね。足跡を追うようにして、外に出る。



「うーん。森みたいね。フクロ、何処にいったか上から調べて」


「ホー!」



フクロが飛び上がって、上でキョロキョロする。暫くそうした後、戻って来た。



「どう? 分かった?」


「ホー」



フクロが、リューニャが行ったであろう方向に飛んで行く。


私はそれについて行くけど、そこであることに気づいた。



「フクロ、リューニャって狙われてるのよね、確か」


「ホー」


「………こんな所で一人って不味くないかしら」


「………ホー」


「ま、まぁ、いざとなったら私達がいるもんね!」


「ホ、ホー」


「急ぐわよ!」


「ホー!」



フクロと一緒に急ぐ。


それにしても、リューニャなら勝手に抜け出すくらいやりそうだけど、リリルィには言う気がする。というか、私がいるんだから、私を誘いそうよね?


なんだろう。胸騒ぎがする。



「フクロ! 嫌な予感がするわ! 急ぐわよ!」


「! ホー!」



フクロのスピードが上がる。


暫く走っていると、嫌な気配がする洞窟が目の前にあった。



「………ここね。フクロ、私達には何があっても大丈夫よね」


「………ホー!」


「何がなんでもリューニャを守るわよ!」


「ホー!」



私は、怯える心を奮い立たせて、フクロとともに乗り込む。


待っててリューニャ。今行くから!





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