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『霊月:〈魔都〉到着』


“月”スタート! 言うまでもなく、ライラ視点です






どうも、ライラよ。


現在私は、魔族の暮らす国に来ている。


え? なんでいきなりそんな所にいるのかって?


それについては、順を追って説明するわ。



あれは、スノウが遠出すると言って出ていってから、2日ぐらい過ぎたころだったかな? ギルドホームの自室で寛いでいた時━━━



「やっほーライラ、元気にしてた?」


「………」



思わぬ来訪者に、私はその時固まってしまった。



「リューニャ………なんでここに………」



魔族の王女様がそんなホイホイ出て来ていいの? そんな疑問が浮かんだけど、このお転婆王女様じゃ仕方ないかと、納得してしまう自分がいた。


まぁ、とりあえずどうやって来たか聞くべきね



「それで、どうやってここに? ランダム転移石じゃピンポイントで来れないでしょ」


「ふっふっふ。今回使ったのは、特定転移石っていう、マーキングした相手の所に行ける転移石なのよ!」



自慢気に言うけど、それがなんで私なの? スノウとかクノとかもいる気がするんだけど………勿論、他の人もだけど、かなり仲がいいのは私達だけだったし………とりあえず、そこを聞いてみる。



「えっとね、スノウをマーキングしようと思ったら、気づかれちゃって………」


「あぁ、成る程」



スノウは勘がいいというか、武術を習ってたらしいから。気づいても不思議じゃない。


あれ? でもクノは?



「クノは……その……その時スノウの側にいて……」


「あぁ、うん。分かった」



そりゃ、見てたら回避出来るわよね。それで、気づいてなかった私にマーキングしたってことね。成る程。成る程。ハイハイハイ。


来れた理由は分かった。といっても、今来られても困るのよね。だって、スノウは遠出してるし、クノは自分の師匠の所に行ってるし



「悪いけど、スノウもクノもいなくて、私一人よ」


「え? そうなの? じゃあ、出直そっかな~」


「そうして、あの王子が来る前にね」


「そうする…………そうだ! はいコレ」



リューニャが、魔方陣のような、幾何学模様のような、そんなよく分からないものが描かれた石を渡してきた。


えっと、もしかしてコレって……



「魔族の国の、〈魔都〉に行ける転移石。ライラ凄く来たがってたから」


「いいの!? ありがとう!」



こうして魔族の国に行く方法を手に入れた私。


それから暫く後、スノウに連絡が取れなくなったり、闘技大会があったりしたけれど、そこはとりあえず割愛するわ。


そして、魔族の国に行く日が来た。ちなみに、私とフクロの一人と一匹だけ、スノウは相変わらず連絡が取れないし、クノは大福を連れてクノの師匠に関するクエストの大詰めをやるらしい。


ということで、私とフクロだけで〈魔都〉に来た。



「ここが魔族の国………なんだか、それっぽいわね」


「ホー」



あまり明るくなく、建物は黒や、黒に近い紫、青、などの暗めの色が基調となっていて、魔族の皆さんの衣装は、男性はヴァンパイアが着ていそうな服を着ていたり、黒や紺のスーツっぽい服。女性は、ゴスロリちっくな服を着ていた。


とりあえず、お店を覗いたりしつつ、城に向かう。



「そういえば、突然行ってリューニャの知り合いって言っても、信じてもらえないかな?」


「ホー」



そこで、私はフクロを見た。



「ホ、ホー?」


「あら? どうしたの? そんな距離をとって」



多分だけど、ニヤニヤが顔に出てるわね、私。でも、逃がさないんだからっ!


フクロを捕獲して、こねる。それにしても、この不思議な感触はクセになるけど、フクロの身体ってどうなってるのかしら?


暫く歩いて、城の前まで来た。兵隊っぽい人が立ってるけど、見たこともない人だからやっぱり入れそうにない。


レレロゥあたりがいれば良かったのに。ま、今回はフクロに頑張ってもらおう。



「それじゃフクロ、どこかの窓が開いてるハズだから、そこから入ってリューニャを呼んできて」


「ホー………」



仕方ないとばかりに、フクロが飛んで行く。後は待つだけね。


暫く待っていると、門が開いて見知った顔が出てきた。



「あ、いますねぇぇぇぇぇ!??」


「ライラ!」



おそらく私が本当にいるかの確認と、周辺警戒をするために先に出るハズだったであろうレレロゥが、リューニャに突き飛ばされて飛んでいった。大丈夫かしら?


笑顔で走ってくるリューニャを、慌てて追うリリルィと、その後ろをついてくるガルディア隊長さん。



「ライラ! さっそく来てくれたんだ!」


「えぇ、他の二人は連絡が取れなかったり、用事があったりで来れないけどね」


「そっか………でも、来てくれて嬉しい!」


「ライラさん。お久しぶりなのです。後、コレを」


「久しぶり、リリルィ。それと、お疲れフクロ」


「ホ、ホー………」



毛並みが乱れたフクロを労う。



「城は王女暗殺未遂の件でピリピリしていてな、フクロは攻撃されたんだ」


「そうだったの。ごめんね、フクロ。後でお城の人達に美味しいものご馳走してもらいましょう」


「ホー!」


「俺たちがご馳走するんですね」



レレロゥが苦笑いしているけど、攻撃してきたのはそっちなんだから、別に問題ないと思う。


こんな所で立ち話はなんだからということで、城の中に案内される。



「ライラ! どれくらいいるの?」


「二、三日ぐらい泊めてもらえるとありがたいかな? その間適当に探索に出たりしようと思ってるわよ」


「分かった! けど、ライラのレベルだとこの辺キツイと思うわよ?」


「リューニャ様の言うとおり、この辺は頭のいいモンスターが多い、探索はもう少し強くなってからのほうがいい」



リューニャに加え、ガルディア隊長に探索は止めたほうがいいと忠告され、リリルィやレレロゥも止めたほうがいいと言い始めた。


折角フロウさんから免許皆伝してもらったのに……


残念に思っていたら、滞在中はガルディア隊長が稽古をつけてくれると言ってくれた。


よし! スノウも連絡は取れないけど、順調に強くなってるハズだし、クノも修行頑張ってるだろうし、私も頑張らないと!


決意も新たに、私の〈魔都〉滞在が始まった。






スノウ達は、第一回イベントの完全クリアによって、魔族に関するストーリーが解放されています。つまり、そういうことです。

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