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『仙雪:この老人何者!?』


〈ヤマト〉最後? 途中から全然別の所もやりますが………



とにもかくにも、“雪月花進化編”スタート


先ずは、“雪”からです






どうも皆さん、(スノウ)です。


巫女の総本山から出発し、街道を走っていた俺ですが、現在は道の途中で立ち止まっています。


理由は簡単。



「ほっほっほっほ。まだまだ若いもんには負けんわい」



目の前にいる、白く長い立派な髭をした、頭はツルツルの老人のせいです。


街道を走っている時、ふと横を見たら隣で走っていたのだ。



俺の隣を(・・・・)



その異常さに、瞬時に『爆炎』の符を三枚投げつけ、その場から一気に離れた。


下手に逃げるより立ち向かったほうが、まだ生存の確率がある気がする。とりあえず、さっきので倒せた気がしないから、『竜巻』を用意して構えた。



「いきなり攻撃するとは酷いのう」


「………」



言われてみれば確かに酷いな、おい。



「ごめんなさい」


「うむ。素直じゃのう。まぁ、わしも驚かしてしまったしな」



それにしても、こんな足早いとか老人なのにどんだけだよ。そんなことを伝えたら



「ほっほっほっほ。まだまだ若いもんには負けんわい」



そして、冒頭に戻る。



それにしても、なんで俺の隣で走ってたんだ? 訳が分からない。



「何かようなの?」


「ふむ………なんだと思う?」



背中にゾクリと悪寒が感じた。


老人から感じる殺気に、構えをとる。


一挙手一投足を見逃さず、相手の次の動きを予測する。油断はしない。



「ふむ。異界の奴らは見込み無しが多いと思っとったが、なかなかどうして面白いもんがおる」


「なんのつもり?」


「お主、最近ずっと〈ヤマト〉にいたから、向こうのことは知らんじゃろう? 今色々大変なことになっとってな、お主らの評価下がっとるぞ」


「えぇ………」



全然知らんかったんだけど………


しかし、それとこれと何の関係性があるのだろう?



「お主、このまま戻ったら負ける可能性がある。そこでどうじゃ?」


「ん?」



老人が、ニヤリと笑う。そういえば、よく見ると首から白い翼が生えている。えっと、もしかして………



「仙人修行………受けてみんか?」





















「………」


「なんじゃ、どうかしたかの?」



老人の提案にのった俺だが、老人がでは行くぞと言って小さな雲がまとわりついた障子扉を出して、その先が全然別の場所だった時は驚いた。


転移系スキルってあるのか、しかも、おそらくだが老人の正体からして、俺も習得出来る可能性がある。


あぁそうだ、俺が絶句したのは扉の先のせいだ。


雲より高い山の頂上。周囲には、岩の柱や細長い山々が沢山あり、庵のようなものがポツン、ポツンと建っている。



「ここは?」


「人は“仙人連峰”と呼んどる。天人や天女が暮らす秘境じゃ」


「成る程」



ふむ。つまり、仙人と天女に関することか。



「お主に受けてもらう仙人修行だが、天女の元を持つお主を天女として覚醒させ、仙人とする修行じゃ。未完成の仙術も、きちんと使えるようになるじゃろ」


「ほんと?」


「うむ。じゃが、かなりキツイぞ」



それは祖父の修行とどちらがツラいのだろうか? まぁ、やってみなきゃ分からないか。


それにしても、遠くのほうからたまに凄い音したり、空中で光の尾を引きながら激突している2つの何かがいたり、と、どこぞの七つの玉を探して願いを叶えるマンガに出てくる奴らみたいだな。



「あれは修行している若いもんじゃ」


「ふーん」



今は関係なさそうだな、老人に着いて行くと一つの庵にたどり着いた。おそらくだが、ここが老人の住まいなんだろう。



「そうじゃ、名乗ってなかったのう。わしは、テンシンじゃ」


「スノウ」


「ふむ。そうか、スノウか」



老人………テンシンさんが扉を開けると、中には中華風の服を着た女の子がいた。頭の側面から薄青色の翼が生えている。


どことなくテンシンさんに似てるから、お孫さんかな?



「お爺ちゃん。その娘は?」


「スノウじゃ。スノウ、こっちは孫のシュンメイじゃ」


「スノウ」


「シュンメイだよ。お爺ちゃんが連れて来たってことは、凄い娘なんだよね?」


「うむ。相当の実力者じゃ。しかし、仙人修行に耐えられるかはやってみんと分からんがのう」



ほっほっほっほ。と笑うテンシンさんに、仙人修行ってそんなにヤバいの? と思ってしまう俺。まぁ、ヤバいんだろうな、仙人だし。


仙人修行は明日からということで、今日の所は沢山食べてぐっすり眠るようにと言われた。



「はーい! お待たせしました!」


「おぉ! 待っとったぞ」



シュンメイさんが運んで来たのは、麻婆豆腐、小籠包、焼売、炒飯、等々の、中華風の料理の数々。まぁ、使われてる素材は異世界な感じだし、見た目もより赤かったりするのだけれど……


とりあえず、小籠包を一口。


中のスープから飲むのが普通らしいが、俺は一気に食べるのが好きです。口の中が火傷しそうだけれど、それでも美味しいから問題ない。



「スノウちゃん、どうかな?」


「ん。美味しい」


「ありがと! 明日からは精進料理しか食べられないから、今のうちにじゃんじゃん食べてね!」



精進料理って………かなり本格的なんだな。肉体、精神両方共鍛えるんですね、分かります。まぁ、頑張るしかないだろう。



「それにしても……」


「どうしたの? お爺ちゃん」


「いや、スノウなんじゃが」



ん? 俺がどうかしたのだろうか?



「何か違和感があるのじゃよ、何か………わしも耄碌したのう。全盛期なら一発で気づけたんじゃが………」


「気のせいじゃない?」


「いやいや、そんなハズない」



な、なんか不安になるんだけど大丈夫だろうか?


そんなこんなで、俺の仙人修行が始まるのだった。






はい、スノウはまだ完全な天女でも、仙人でもありません。

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