『京の都?』
街道をひた走る。
「ぶもぉぉぉぉぉぉ!!!」
「ぶもぉぉぉぉぉぉ!!!」
「ぶもぉぉぉぉぉぉ!!!」
後ろからは、土煙巻き上げ、身体から蒸気を吹き出した猪が、大群となって追いかけてくる。
あ、皆さんどうもスノウです。
今は、一人で〈ヤマト〉のとある街道を全力疾走している。
鬼との戦いの後、暫し、柊やら竜胆やらと狩りに行ったりしたのだが、柊が刀の扱いが上手いのはなんとなく分かっていたので、刀で無双するのは納得なんだが、竜胆がね
【野生体術】やら【野生武術】のせいかは分からんが、立体的な動きで敵を翻弄しつつ、引っ掻きや噛みつきでダメージを与えるという………
まぁ、二人ともかなり強かった。
「ぶもぉぉぉぉぉぉ!!!」
「ぶもぉぉぉぉぉぉ!!!」
「ぶもぉぉぉぉぉぉ!!!」
しかし、今は二人はおろか、ネーヴェもシャルーもいない。
二人と二匹は、ロンレンさんの所で修行中である。
俺は、一緒にいてもすることがないので、とある場所を目指している所存です。
目的地だが、あれは鬼を退治した後にログインした時のこと………
『遊びに来て~』
的な声が聞こえまして………
本職の巫女さん達は、毎度毎度こんな声を聞いているんかね
ま、とにもかくにも、遊びに来てと言うので、行くことにしました。
んでんで
“夢月館”の皆さんに、巫女の総本山てきなのが無いか聞いたところ、だいたいの場所を教えられたので向かうことにした。
しかし、紹介状とそれに近いものがないと無理らしいが………
『大丈夫!』
と、自信満々に言われたら信用するしかないですよね、はい。
「ぶもぉぉぉぉぉぉ!!!」
「ぶもぉぉぉぉぉぉ!!!」
「ぶもぉぉぉぉぉぉ!!!」
さて、そろそろ追いかけっこは終わりにしますか
急停止して、バック宙。そのまま滞空する。
ぶひぶひと鳴く猪達に、『爆炎』やら『鳴神』やらの【符術】と、『氣弾』なんかでダメージを与えていく。
五分ほどで殲滅完了した。
ぼたん鍋ようの猪肉を大量ゲットしつつ、さらに街道を走っていく。
「うーん」
やっぱり遠いな
もうすぐ日が暮れるし、どこか休める所を探さないとな。
暫くふらふら歩いていると、ぽつんとたっている寺を見つけたので、そこに泊まることにする。
昔の日本の人達も、寺を宿代わりにしていたらしいから、大丈夫だろう。
【霊感】スキルに反応が無いので、変なモノはいないようだ。
とりあえず、お休みなさい。
◇
だいたい3日ほど街道を走った。
巫女の総本山がある手前の場所、というか、多分だがここは京都ですね。
町の名前は、まんま〈キョウト〉
目的地は、ここから三時間ほど歩いた所の山裾にあるらしいが、一先ず、この〈キョウト〉を見て回ろうと思う。
「ん~」
八ツ橋やら、抹茶のデザート等を食べながら、〈キョウト〉を回る。
聖護院大根を見つけたので、買っておく。しかし、聖護院大根の調理方法が分からない。後で、調べておこう。
〈キョウト〉の町を一通り回ったので、お次は宿屋に向かう。
ここに来ることが決まった時、ユキミさんからとある宿を勧められたので、そこに行こうと思う。
「ここ?」
見つけたのだが、間違いかと思い、何度も確認する。
うん。間違いなくここだ。
しかし、どこからどう見ても、高級旅館なんですがどういうことですかね?
「いらっしゃいませ」
「ん」
内装も雅? で、高級感溢れる感じなので、思わずキョロキョロしてしまったが、受付に行き、ユキミさんから貰った封筒を渡す。
幾つか貰ったのだが、大抵の所はこれを見せればなんとかなるからと言われ、ここに泊まる時も渡すように言われたので、とりあえず渡した。
すると
「こ、これは!」
「?」
「しょ、少々お待ち下さい」
封筒の中身を見た受付の人は、驚愕の表情を浮かべた後、大急ぎでスタッフルームっぽい所に駆け込んでいった。
いったい何が入ってたんだ? 若干気になったが、気にしないでおくことにした。
暫く待つと
「お待たせいたしました、お部屋にご案内させていただくので、どうぞこちらに」
「ん」
店員さんに案内されて着いたのは………
「この部屋?」
「は、はい。一番の部屋となっております。何かご不満がおありでしたら………」
「大丈夫」
「そうですか? では、お食事は机の上に置いてある鈴を鳴らしていただいたら、すぐにお持ちしますので」
あれ? なんで俺一番いい部屋に泊まることになったんだ?
とりあえず、部屋の探索を………
見てみたところ、真ん中に大きな部屋、おそらく談笑したりご飯を食べる所に、広いベランダのような、〈キョウト〉の景色を楽しめるであろう場所、ふかふかの布団が敷いてある寝室に、大きな露天風呂の浴室…………
本当に一番いい部屋のようだ。
とりあえず、一度露天風呂に入ってさっぱりした後、夕食を食べるために鈴を鳴らした。
「おぉ~」
運ばれてきたのは、お刺身、湯豆腐、野菜や何かの肉が入った小鍋、他にも色々な料理が小鉢で………勿論、白米もある。
「んん~」
料理に舌鼓をうちつつ、メニューから二人と二匹のステータスを確認する。
ふむふむ、レベルも順調に上がってるようだし、向こうは大丈夫のようだ。
料理は食べ終わった後は、再び露天風呂にのんびり入った。
さてさて、夜も遅いしそろそろ寝るという名のログアウトといきますか。
明日は、巫女の総本山に行こう!
そんなわけで、“神巫女編”スタート




