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『スノウ VS ロンレン』






色々あって、ロンレンさんと戦うことになった。


フロウさん、手紙になんて書いたんだ? いったいぜんたい何をどうしたら、符術を教えてもらいに来たのに、バトルになるんだよ。



「フロウの爺さんが紹介するぐらいなんだから、それなりに強いんだろ? 俺に一撃でも当てられたら、付与系統の“符字”を教えてやるよ」



うーん。分かりやすいけど、いけるかなぁ~。あ、そうそう、“符字”というのは、符術に使用する札に書く効果を決める文字のことだ。


しかし、付与系統ということは、武器に属性を付与するだけでなく、自身や味方のステータス強化とかも出来るのかな?


ロンレンさんに案内されて、試合場所に移動した。



「んじゃ始めようぜ」


「ん」


「『疾風』、『剛力』、『炎刄』」



ロンレンさんの言葉と同時に、ロンレンさんの身体から緑と赤のオーラが出て、柳葉刀が炎に包まれる。


どうやら、あれが付与系統の符のようだ。



「行くぜ! 『弐連斬』!」



下から掬い上げるように来た柳葉刀を、小さなバックステップで避ける。続けて、上から凄い速度できた柳葉刀を鉄扇で受け流し、ロンレンさんのがら空きの身体に蹴りをいれる。


むぅ。当たる直前にバックステップで避けられたか



「本当にやるじゃねぇか! この速度についてこれるとはな! 『迅雷』」



ロンレンさんの身体が、一瞬バチバチと放電して、速度がさらに上昇した。


再び低い位置からくる柳葉刀の攻撃を、避けたり、鉄扇で受け流したりしつつ、隙を見つけて攻撃を繰り出すが、避けられてしまう。



「こんな戦いは久々だぁ! 『颶風一陣』!」



ロンレンさんが柳葉刀を一閃、斬撃が飛んでくる。



「『燕刃波』!」



こちらは、鉄扇をふるって2つの斬撃を飛ばして、相手の斬撃を相殺する。


そして、斬撃をカモフラージュにしたのか、二枚の符が飛んできた。


さて、符術の怖いところは、使用者が発動言語(キーワード)を唱えるまでなんの符か分からないところだ。


しかし、俺には符術は効かない。効くには効くのだが、発動する前なら対処出来る。


【風之主】で飛んできた符を吹き飛ばす。



「なに!?」


「『双龍斬』!」


「くっ!」



一気に近づいて鉄扇の技を食らわすが、柳葉刀で受け止められる。



「ふん!」


「ッ!?」



吹き飛ばされた。


おそらくだが、身体から氣を発したのだろう。こりゃ、【氣術】のレベルも相当だな。


スキルレベルは俺より上、柳葉刀を扱う技術も達人級だろう。


さて、俺は一点特化より、万能型だ。爺さんに色々叩き込まれたが、一つの技術を極めた達人と同じ技術でやり合うとなると、負ける。しかし、全ての技術を使うなら追い付ける。



「………」


「ん? 急にステップを踏み始めたな……ここからってか?」



ロンレンさんの問いには答えずに、ステップを踏む。そこから、【舞闘】スキルの補正を受けつつ、流れるように踊りながら近づく



「『窮突打』!」


「ッ!? ちっ!」



そこから舞いながら、鉄扇の連撃を雨アラレのようにロンレンさんに浴びせ、追い詰めて行く。


しかし、追い詰めていられるのも時間の問題。という事で、一気に攻めます。



「うぉぉぉぉぉ!!!」


「【仙人化】」



さらに【風纏】


ロンレンさんが、驚愕の表情を浮かべるが、気にせず攻撃していく。



「『疾風蹴り』!」


「うぉぉぉ!?」



回し蹴りを、剣で受け止められたが、ロンレンさんはその場に留まれずに地面を滑っていった。



「おいおいフロウ爺さん。とんでもねぇ奴を寄越しやがったな」



とんでもねぇ奴って、ちょっと酷くないか? そんなことを思いながらも、再び鉄扇の連撃をロンレンさんに浴びせる。



「くっ! しゃらくせぇ! 『画竜点睛』!」



バックステップで距離を取ったロンレンさんが、地を割るような踏み込みとともに、下段から天を斬り裂くように柳葉刀を振るってきた。


ちょ! ロンレンさんソレ、奥義とかじゃないの!?


回避は不可能だな。


こちらも、全力で前に出る。



「それは、自殺行為だぞ!」



死ぬ気はありませんよ。


迫ってくる刃を、腕に閉じた鉄扇を当てながら、おもいっきりぶつけて、無理矢理軌道を変える。


骨の折れる嫌な音と、鉄扇の悲鳴が聞こえる。



「んなっ!?」



ロンレンさんが驚愕の表情を浮かべる。


勝ちをもぎ取るためなら、腕一本ぐらい問題ない。まぁ、ゲームだから出来ることだけどね。現実なら、命の危機がないかぎり腕は犠牲にはしない。


しかし、ここはゲーム。腕がなくなっても、クノに治してもらえるだろう…………怒られそうだけど



「はぁ!」


「がっ!?」



氣力を纏わせ、魔力を纏わせ、風を纏わせた掌底を叩き込む。


今出せる全力の掌底を叩き込まれたロンレンさんが、吹き飛び、壁にぶつかった。



「ふぅ………」



左腕がぶらぶらして、鉄扇の耐久が残り80になっているが、問題ない。なんの問題もないハズだ。



「おい、もう少し手加減しろよ、肋骨何本かイッたぞ」


「戦いは何時も全力……師から教えられた」



師匠というか、祖父だけども。



「イテテテ、お前左腕大丈夫か?」


「ん」


「きゅきゅ!!」


「!!!」



なんか、ネーヴェとシャルーが怒っているが、馴れてもらわんとな。とりあえず、撫でて誤魔化す。



「んじゃあ、約束通り教えてやるよ。ただし、その前に飯だな」


「ん」



確かに、お腹が空いた。



「後、治療もね」


「そうそう! 二人とも大怪我したんだから!」


「ん? 大怪我か?」


「そうでもない」


「大怪我だよ!」



そんなわけで、ご飯と、ついでに治療をすることになった。





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