表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/111

『夜の終わり』






フレンドメールを流し読みする。


殆どが、先ほど俺が放った『竜巻』に関するメールだったので、「さっきの竜巻は私がやりました。申し訳ありません。」というメールを、この場にいるライラとクノ以外に、一斉送信。


スリート姉さんとヘイルからは、「後でゆっくり聞かせてね?」的なメールを返された。これは、洗いざらい吐いたほうがいいな。



「来たか」


「誰ですか?」


「あれは、ハルシィとグレインだな」


「じゃあ、後は王子だけですね」


「いや、王子なら……」



どうやら、最後の二人が来たようだ。ん? 王子? あぁ、そんなふうに呼ばれている人なら………



「リューニャ! 大丈夫か!? 怪我はないか!?」


「ちょ! お兄様あまりくっつかないでください! 恥ずかしい!」


「何を言うんだ! 兄妹の感動的な再会の場面じゃないか!」


「そんなに長い間離れてません!」



リューニャに抱きつこうとして、拒否されている。典型的なシスコンの兄と、兄のことはそれほど好きでもない妹、という感じの兄妹だな。



「リューニャ、此方の三人は?」


「友達!」


「そうか、リューニャが世話になったようだな、感謝する。お礼は、後日改めて」



お礼か………


貰えるとしても、魔族の国については情報すら出回ってない状況だから、かなり先になりそうだな。


そして、ハルシィさんと、グレインさんとも自己紹介をしあい。そろそろお別れかな? と思った時、『風の察知結界』に沢山の反応。しかも、声からして友好的ではない。というか、以前聞いた、アーサーとか言うやつそっくりの声も聞こえる。めんどうくさいな……ッ!?


レレロゥの時と同じような、嫌な風が背中を流れるのを感じると同時に、『風の察知結界』にリューニャに向けて空気を斬り裂きながら、何かが飛んでくるのが分かった。



『ガキィン!』



「きゃっ!?」


「「え?」」


「「「「「何!?」」」」」



ナイフか……


飛んで来たほうに、全速力で移動。『風の察知結界』を全力で使い、居場所を特定。


大分速いようだが、今の俺より遅い。


正面に先回りして、全速度を乗せた回し蹴りを叩き込む。


双方かなりの速度で移動していたが、俺のほうが速いうえに、魔力を纏った状態で、かなりの速度を乗せた蹴りを叩き込んだのだ。結果は………



「ぐぼぁぁぁ!?!?」



物凄い勢いで、来た道をぶっ飛びながら戻っていく。途中の木々は当たったそばから折れていく。さて、追い討ちをかけるかな。



「げほっ! ごほっ! い、いったい何が……」


「せい!」


「ぐはぁ!?」



今度は、起き上がった所を、無防備な顔面に飛び膝蹴りを叩き込んで、再びぶっ飛ばす。


俺の友達を殺そうとしたのだ、ただじゃ済まさんぞ。ここからが、本番だ。



「ほい」


「ぐほっ!」


「よっ」


「がっ!?」


「それ」


「やめぶっ!?」



地面に倒れて蹲っていたところを、蹴り上げる。そして、地面に落ちる前に再び蹴り上げ、また落ちてきたところを蹴り上げる。


名付けて、人間リフティング!



「スノウちゃん一人じゃ危ないと思ってたけどー、心配ないみたいねー」


「えげつなっ!」



ハルシィさんとグレインさんの声が聞こえたが、今は集中しないと落としてしまいそうなので、おいておく。


よし、このへんでいいだろう。


落ちてきたところを、先ほどとは違い踵落としで、地面に叩きつける。リフティングの途中から声が聞こえなくなっていたのだが、どうやら気絶していたようだ。



「スノウちゃん後はー、任せてねー。『カースチェーン・バインド』」



ハルシィさんの言葉とともに、禍々しい黒紫色の鎖が現れ、気絶した男を捕縛する。



「よっ。『シャドーホール』」



続いて、グレインさんの影が伸びて男の真下に円を作ったと思ったら、男がその円に落ちた。どういう魔術? 魔法なのか……



「それじゃー、戻りましょうー」


「だな」


「ん」



三人で広場に戻ると、他の七人が大勢のプレイヤーに囲まれていた。


プレイヤーは七人を囲んではいるが、今は攻撃する様子はない。理由は直ぐに分かった。なんかしらんが、アーサーが七人に向かって何か喋っている。あれは、酔ってるな、自分に。



「お待たせ」


「スノウ。さっきの奴は?」


「叩きのめした後に、グレインさんが捕まえた」


「そっか。それより、あの口上なんとかならない?」


「無理」



だってめんどくさいんだもん。


そしてここで、フレンドメール。魔族守ろう組の皆が、俺達を囲んでいるアーサー達を囲んでいて、何時でも攻撃出来るので、何か合図をしてくれとのこと。


クノとライラにも伝え、『爆炎』の符を上空に投げるという合図を、アーサー達が武器を構えたらするということで決まった。



「…………という訳だ。今なら、僕らの仲間になり、悪しき魔族の討伐に参加させてあげよう!」


「言いたいことはそれだけ?」



ライラがイライラしたように返す。



「なに?」


「口上長すぎ、来るならさっさと来てよね」


「くっ!」



顔を真っ赤にしたアーサーが、手を上げる。それに合わせて、俺も『爆炎』の符を投げて合図を出す。



『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?』


「な、何事だ!?」


「大変です! 後方から幾人ものプレイヤーが奇襲を!」


「なんだと!?」



合図と同時に、森の中から爆発音や、誰かの高笑いや、「スノウ様に武器を向ける奴は………」「全員ぶっ殺すD・E・A・T・H! 殺す(DEATHる)のデス!」とか聞こえてくる。


活躍してるのは、ヘイルにルキエさん、茜さん、親衛隊の隊長の皆さん等々、少し前に聞いたように有名プレイヤーや、トッププレイヤーの実力を発揮して、敵を片付けていく。



「くっ! せめて悪しき魔族だけでも!」


「お呼びじゃないのよ!『烈火五連』!」


「ぐぁっ!?」


「『樹木の檻』」


「なに!?」



ライラの『烈火五連』をくらい、怯んだところをクノの『樹木の檻』に囚われる。さて、トドメといこうか。



「『爆炎』!」



十枚の『爆炎』の符により、大爆発が起こり、木の檻ごとアーサーを消し飛ばした。


その後は、此方は誰一人欠けることなく、倒すか逃がすかすることが出来た。











「それじゃ、またね三人共!」


「ん。また」


「何時になるか分からないけど、必ず行くわ!」


「またね!」



リューニャは魔族の王国へ帰った。


さて、いよいよイベントも終わりが近づいてきた。明日に備えて、今日は寝ることにしよう。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ