表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/111

『試練の部屋』





階段を降りると、薄暗い広い部屋だった。そして、階段の反対側には石像があった。



『獣に導かれし者達よ。』


『絆を結んだ者達よ。』


『力を持ちし者達よ。』


『選ばれし者達よ。』


『正しき心の者達よ。』


『『『『『汝らに試練を与えよう!』』』』』



そんなセリフの後に、全ての石像が動きだす。



「ちょ! これ全部と戦うの!?」


「ちょっときつそうですね。」


「頑張る。」



石像は全部で五体、鑑定結果は“試練の石像”。


見た目は顔の無い人間の石像で、それぞれ、大剣、盾と短槍、弓矢、本、杖と、五体とも持っているものが違う。



「みた感じ、本と杖はそれぞれ、魔術士か回復職ね。」


「とりあえず、攻撃してみましょう! 『光の矢』!」


「ん。『氷礫』!」



またまた新しい符。小さな氷の礫を複数ぶつける符で、一発一発は弱いが、全部当たれば結構なダメージになる。俺とクノが狙ったのは、本を持ってる奴、あんまり効いてないかな?


俺とクノの攻撃を合図に、石像達が動きだす。



「分担するわよ! 私とスノウで“大剣”と“盾”を、クノとフクロ達は他の三体を、回復するの優先で倒して!」


「ん!」


「はい!」


「きゅ!」


「!!!」


「ホー!」


「…………。」



作戦が決まったところで、全速力で駆け出し“大剣”に飛び蹴りをかます。飛び蹴りが直撃した“大剣”は、吹っ飛んでいく。現実じゃ絶対できないなこんなこと。



「スノウ。そのまま大剣よろしく!」


「ん!」



立ち上がろうとする“大剣”に、追い討ちをかけるように『爆炎』の符を三枚投げつける。


『爆炎』による煙から、“大剣”が本当に大剣持ってる石像なのか疑う速度で斬りかかってきたが、凄く速いというわけではないので、降り下ろしてきた大剣を鉄扇で受け流して、受け流した勢いで回転して脇に鉄扇を叩きつける。


ガツンっと音がする。いててて、腕が痺れるかと思った。【魔力刃】使ってればよかった。


とりあえず後ろに回り込む。



「うーん。」



【符術】を主軸に戦おうかな? “大剣”の大降りな攻撃を避けつつ考える。



「スノウ!」



声がしたほうを向くと、“盾”を連れて走ってくるライラが………成る程。


意図が分かったので、ライラのほうに走る。そのままライラを通り過ぎて、“盾”の持つ盾に足をかけて、飛び空中で逆さまになって、無防備な背中に『爆炎』の符を投げつける。そして、ライラのほうは━━━



「『烈火五連』!」



ライラの炎を纏った剣の五連撃が、“大剣”に当たる。



「ふぅ。正直、あの盾で全部受け止められるから駄目かと思った。」


「硬い。」



さてさて、向こうは二体、こっちも二人。二対二だがどちらかというと物理寄りなんだよなぁ、俺が。ライラのほうは少し魔法寄りらしい。



「火は効きにくいみたいね。」


「水かな?」


「私、【水魔術】のレベル低いんだけど………」



ライラは、【火魔術】と【風魔術】を主軸にして戦っていたのだが、最近【水魔術】と【闇魔術】も習得したそうだが、レベルはそこまでじゃないらしい。


しかし、レベルが低くても大丈夫じゃないか?



「前まで使ってたのは、魔術を剣に宿して攻撃するって感じだったんだけど、【剣術】スキルと【魔術】スキルをそれぞれ10レベルにすると、さっきというか最近使ってる“魔剣技”が使えるようになるの。」



なんでも、【魔法剣】というスキルの真骨頂は、魔術と剣を使った攻撃スキルを複合させた、“魔剣技”を使えるところらしい。そして、【水魔術】と【闇魔術】は10レベルになってないらしい。



「ま、“魔剣技”使えなくてもいけるかな? 【魔法剣】━『ウォーターカッター』!」



ライラの魔法剣が“大剣”に炸裂する。おぉー、結構効いてるんじゃないか? そして、そのまま攻撃を続けるライラ。よし、こっちもやるかな。といっても、俺が今作れる符には、“水属性”の攻撃タイプは一つしかないんだよね。“氷”もいいなら、『氷礫』も入るんだけど。



「『水槍』!」



先ほどと同じように、“盾”の背中に『水槍』を食らわせる。すると、“盾”が膝をついた。よし、畳み掛けるか。



「きゅきゅ!」


「!?」



ネーヴェの鳴き声に振り向くと、矢が飛んで来ていたので、反射的に横に倒れるように回避する。サンキューネーヴェ。向こうは任せて、“盾”を倒そう。



「せいっ!」



起き上がろうとする“盾”の後頭部に、最初に“大剣”に食らわせた飛び蹴りを当てる。ただし、今度は魔力を纏わせた状態でだ、最近鉄扇だけじゃなく、身体にも魔力を纏わせられるようになったのだ。


俺の飛び蹴りを食らった頭は砕け散り、“盾”が光の粒子となって消えた。



「『竜巻連刃』!」



ライラが竜巻のように回転しながら連撃を食らわせ、“大剣”を倒す。よし、後は後衛だけだ!











「うぅ~、回復能力高すぎじゃないかな……」


「クノ! こっちは終わったわよ!」


「本当! それじゃ、よろしく!」


「分かったわ!」


「ん。了解!」



攻撃方法を見たところ、“弓”はそのまま弓矢、“本”は魔法、“杖”は回復のようだ。とりあえず、“杖”から倒すのがセオリーだし、早速やろう。


ちなみに、ここで一番役にたってるのは━━



「!!!」



シャルーだ。


空中を高速で泳ぎながら、【水魔術】かな? で、攻撃していく。ネーヴェとフクロは“杖”に攻撃をしかてけていて、大福はクノを守っている。



「とりあえず、私は“本”をやるわね。」


「ん。シャルー、“弓”に集中。」


「!!!」



それからは特に説明することもなく、後衛三体をボッコボコにした。











『試練を乗り越えし者達よ、汝らに神々の祝福があらんことを。』



《迷宮の隠しボス、“試練の石像”が討伐されました。》



《討伐に参加した全てのプレイヤーに、イベント称号“隠されし試練の突破者”が与えられます。》


《“試練の石像”を完全討伐したことにより、討伐に参加した全てのプレイヤーに、“試練突破の証明書”が与えられます。》



これソロだったら、かなりきついと思うんだけど………


とにもかくにも、隠しボスを知らないうちに倒せたようだ。ここで、戦利品なんだが………



「えーと、“獅子の欠片”?」


「“獅子の欠片”、“陸亀の欠片”、“黒猫の欠片”、“霊狐の欠片”、“迅馬の欠片”、“賢猿の欠片”、“銀狼の欠片”。どれも、従魔強化アイテムや、装備の素ってなってますね。」


「今は使えない。」


「そうね。でも、いつか必要になるだろうから、また戦えるなら、何回かやろっか。」


「だね!」


「ん。」



これ以上先はないようなので、戻ることにした。






ヒビは、【採掘】スキルを持った状態でピッケルで何度か叩くか、オブジェクトを破壊できるアイテムやスキルで、ヒビ壁の耐久をゼロにすると壊せます。


石像と戦うには、条件を満たさなければならず、石像一つにつき違う条件があります。


『獣に~』→幻獣、魔獣、神獣のいずれかをつれている状態で部屋に入る。


『絆を~』→住人(NPC)からの好感度一定以上。


『力を~』→ボスクラスモンスター三体以上討伐。


『選ばれし~』→特殊NPC、竜、精霊、神のいずれかに選ばれる、認められる、祝福される。


『正しき~』→悪意を持ったプレイヤーキル、NPCキルをしていない。


パーティーの場合、一人でも達成していればオーケーですが、スノウ達三人は全員上を達成しています。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ