『バーベキューと、三人娘』
「きゅ~。」
「…………。」
「ホー。」
「♪♪♪」
「~♪」
和む…………
という訳で、海の幸を手にいれた俺達は、日も落ちてきたので、拠点に集まり夕食を食べることにして、俺がクノとライラにメールで伝え、現在全員集合している。
メンバーは、俺、クノ、ライラに、生産四人組のリジェさん、アルネさん、ドルグさん、ファルテ、以上です。
「まさか、仲間にできる幻獣が一体だけじゃなかったとわね。」
「そうだね。シャルーちゃん可愛い♪」
「サファちゃんよこしなさいよ。」
「残念ですが、サファは私になついていますので、先輩は別の子探してください。」
集まって交流している女性陣とは逆に、俺達男性三人は…………おいそこ、あれ? 女じゃなかった? とか言うな、ゲームじゃ確かに女だが、現実じゃ男なんだよ。そこんとこ忘れないでくれ。
話を戻して、俺達男性三人は、ドルグさんはとある調理器具を作って貰っていて、ファルテのほうは薪を割ってあるものを作って貰っている。そして、俺は食材の下準備だ。
「よし、出来たぞ。こんなものでいいだろう。」
「こっちも完成~、上手くできて良かった、良かった。」
「準備万端。」
前準備は終わったので、最後の準備にとりかかる。
「えーと、どのぐらいいれれば?」
「こんなもんだろう。」
「これも。」
「お、いいね~。俺、コレ大好きなんだ~。」
「よし、火をつけるぞ。」
そろそろ分かったかな? ドルグさんが用意したのは、バーベキューコンロ。ファルテが用意したのは炭━━木炭━━だ。
という訳で、バーベキューの始まりだぜ!
「おおう! 牛肉あるじゃない! いやー、ゲームは太らないからいいわよね。」
「ちゃんと野菜も食べてください。というか、とうもろこしなんて、何処にあったんですか?」
今回は奮発して、薫牛の霜降り肉も焼いている。あ、焔角烏獅の肉と霜降り肉、特上黒毛和肉は焼いていない。イベントの最後のほうにとっておくつもりだ。
「海鮮類も充実してるわね。」
「私、ホタテ好きなんだよね~。」
エビや貝類も焼いている。後、魚も何匹か焼いているので、遠慮せずに食べて欲しい。
「うんまー! じゃがバタうんまー!」
「ふむ。玉ねぎもなかなかいけるな。」
何故か売っていたアルミホイルを使い、じゃがいもと玉ねぎを焼いた。家では、玉ねぎはまるごと焼くんだが、他ではどうかな?
「!!!」
「はい。」
「♪♪♪」
空中を泳いできたシャルーに、焼けた肉を食べさせる。それにしても、なんで焼いてるの俺だけなんだよ! 手伝えよ! 俺にも食わせろよ!
「スノウちゃん、あ~ん。」
クノさん! ありがとう! 女神!
「ん。」
うまー! 牛肉うまー! しかし、現実ならゆっるゆるの顔になってるはずだが、クククククク。このゲームの俺、つまりスノウは、鉄の仮面かとツッコミたくなるほど、顔面を固定できる。今も、無表情だろう。(本人は気づいてないが、ふにゅっとした顔になっている。)
「ぶはっ! あ~んだ………と? しかも、美少女が、美少女に!」
「スクショ余裕ですね。」
おいそこ、許可してないからな。
撮ったモノを消させるのは無理そうなので、誰にも見せないように言い聞かせておく。
「スノウ、酒はないのか?」
「無理。」
ドルグさん、無茶言わないでください。こちとら、未成年ですよ? 酒飲めないし、作り方もしらんよ。
「そうか。」と言って落胆したドルグさんを見て、今度酒の作り方を調べようと思いました。あ、勿論俺は飲まない。でも、料理にワインとか使うし、もしかしたらポーションの作成に使えるかもしれない。
食べて、飲んで、雑談してのバーベキューは、あらかじめ用意しておいた材料が尽きたので、お開きにした。
リジェさん達が帰る前に、七日目の夜にもバーベキューをやるので、知り合いを呼んでも構わない事と、出来れば材料を持って来てもらいたいと、伝えると………
「了解! 生産チーム総出で色々集めてくるから、楽しみにしてて!」
と、こころ強いことを言ってくれた。楽しみだな。
◇
イベント内3日目。
さてさて、今日は何をしようかな?
まぁ、それよりも目の前の問題を解決したほうがいいかな?
「いれなさいよ! どうなってるの!?」
「見えない壁があるみたいですね。興味深い………」
「問題はそこじゃないと思うな。」
全く、これから朝食なんだから、少し静かにしてくれないかな?
「うぅぅ~。いれなさいよ! そして、その料理を食べさせなさい!」
「この壁どうやってるんですか? 教えてください。ついでに朝食を………」
「二人共! 図々しいよ! お願いします! この二日間録な料理を食べてないんです! なんでもするんで食べさせてください。後生ですから………」
ふむ。最後の娘はいい子だな、入れさせてあげよう。
クノに頼んで、結界の設定を変えてもらう。
俺の知らない間に、クノは便利な魔法を習得してきたらしい。
デバフや阻害に特化した、【植物魔術】
“外”と“内”を隔離する壁を作り出す、【結界魔術】
強力な回復魔術スキルや、アンデットに対して大きなダメージを与えられる魔術スキルを使う、【聖魔法(仮)】
(仮)なのは、【聖魔法(仮)】を取得することができた修行? てきなモノがまだ途中だかららしく、普通より効果が下がるらしい。
そして、現在俺達の拠点を囲んでいる見えない壁は、【結界魔術】の一つ、『クリエイト・セーフティーエリア』というものらしく、指定したプレイヤーとNPC以外を“内”に入れないようにできるらしい。
「はい。」
「ありがとうございます。はむ。っ!? 美味しい!」
スープを一口食べて、満面の笑みを浮かべるロングヘアーで大鎌を持った女の子。こんな風に喜んでもらえると、作った側としても嬉しい。さて
「ちゃんとお願いすれば………」
「食べさせてあげるのにねぇ~。」
「だよね~。」
「フィオ。」
「くっ。」
既に土下座の準備をしている、結界を気にかけていた白衣の少女と、食べたいが土下座はしたくなさそうな、軽装に弓と矢筒を背中に背負っているツインテールのエルフ少女。
以上の二人が土下座したのは、これから一分後の事だった。




