『風竜再び』
色んな意味で、風竜再び。
慌てて外に出ると、集落の端のほうで、竜が暴れていた。身体の色からして、風竜だな。
多くのプレイヤーは、パニックになっているが、幾人かのプレイヤーは、竜に向けて攻撃していた。
「よぉーし! 行こっルシナちゃん。皆な!」
「えぇ!」
ヘイル達も、竜討伐に向かうようだ。
ちなみにだが、俺は討伐に行かない。だって、風竜王さんに気に入られてるからね。それに、風竜があんなに怒るのは理由があると思う。自由大好きな種族らしいし、そんなホイホイ怒ることはないだろうからな。
「スノウどうする?」
「怒ってる原因を探る。」
「どうして?」
「なんとなく。」
という事で、辺りを見回してみると………
「お、おい。どうすんだよ!」
「逃げるぞ、幸い他のバカなプレイヤーが親を止めてるからな。」
「グリュゥゥゥゥ。」
「うるせぇ!」
ギルティ。
「許せないわね。」
「隠すきあるんでしょうか?」
「取り戻してくる。」
風のように走り━━
「ん?」
風のように奪う。ネーヴェさん、説得宜しく。ついでに、〈竜王ノ証≪風≫〉を見せると、大人しくなった。
子供竜を地面において、ネーヴェ達に説得をお願いしておく。さてさて、後は………
「てめぇら! 返せ!」
「話してる時間がムダ。」
「はぁ? げぴょっ!?」
「だぶらっぱ!?」
話してる時間が無かったので、適当に吹き飛ばしておく。ライラ達のところに戻ると、子供竜は、ネーヴェ達と仲良くなっていた。
よしよし。ネーヴェはライラとクノに任せて、子供竜を抱えて、親竜に突撃ーー!
あれ? 目がおかしくなったかな? 二匹に増えてるんだけど…………あ、お母さんと、お父さんか。ま、まぁ、大丈夫でしょ。
「お姉ちゃん、助っ人に………って、その子は?」
「攻撃中止。説得してくる。」
「グリュ!」
子供竜を掲げながら、両親竜の下に向かう。
お、気づいたな。子供竜が鳴いて、説明? 竜語は分からんが、説明しているのだろう。さらに〈竜王ノ証≪風≫〉の効果か、攻撃を止めて、子供竜の訴え? に、耳を傾ける。ちなみに、何人かのプレイヤーは、ヘイル達の説得と、攻撃を止めた竜と、俺を見て攻撃するのを止めたが、まだ攻撃している奴がいる。まぁ、両親竜は適当に蹴ったり、尻尾を使ったりしてあしらってるし、魔法や矢なんかは、ライラ達や、ヘイル達が落としていた。
「グルゥ。」
「グル、グルゥ。」
「グリュ!」
話は終わったのか、子供竜を背中に乗せて両親竜は去って行った。
ふぅ。なんとかなったな。やっぱり、〈竜王ノ証≪風≫〉が効果を発揮したんですかね? とにもかくにも、一件落着ってなもんですよ。
「おいお前、よくも竜を逃がしてくれたな!」
はい? 何言ってんだコイツ?
「言ってる意味が分からない。」
「だから、俺が倒すハズだった竜を逃がしたじゃないか!」
あぁー、頭痛がする。コイツはバカなのか? 見たところ、防具もそこそこ。武器もそこそこ。メンバー無し、ソロ。それで、竜を倒す? 何か協力なスキルを持ってるならともかく、普通の剣士にしか見えない。
「おい! 聞いてんのか! って、え?」
あれ? この人達、いつの間に?
気がついたら、少年がいい笑顔のプレイヤー(男女混合)に囲まれていた。そして、拘束される。
「な、なんだお前ら! 俺はいずれ最強のプレイヤーに………」
「ちょっとお話しようか? 少年?」
少年は見事にドナドナされていった。
「スノウ! 大丈夫?」
「ん。」
「親切な人達がいて、良かったですね。」
クノの言う通り、いい人達がいて良かった。にしても、無理矢理幻獣? まぁ、竜を連れてくるとか、バカなのかな? バカなんだな。
「お姉ちゃん! お姉ちゃん!」
「ん?」
「さっきのちっちゃい竜は? もしかして、子供?」
「ん。プレイヤーが勝手に連れて来て、それで親が起こってた。」
「へぇー、そうなんだ。この情報公開していい?」
「ん。いいよ。」
また同じような事起こったらめんどくさいからな。しっかり公開しといてくれよ。にしても、少し疲れたな。休もう。
「きゅ~。」
◇
はい。皆さんどうも雪ことスノウです。プレイヤー集落竜襲撃事件から数時間がたった。
あの後、プレイヤー集落で昼食をとり、ソロでの行動を決めて、歩いていたんだが……………
『久しぶりなのだ!』
再び会ったと思ったら、妙にフレンドリーだな風竜王。というか、ネーヴェが気絶してるんだけど。
『ムムム! 竜気が強すぎたようなのだ。次から気を付けるのだ。』
「また、戦うの?」
正直言って、戦いたくない。今戦ったら、多分………いや、絶対に負ける。そしたら、〈ツェントゥル〉に逆戻り。しかも、ネーヴェとも離れ離れ…………うん。スピードで勝てるかは分からないが、逃げよう。
『ん? 今日は違うぞ? 少し前に、風竜の親子を救ったと聞いたぞ! 天晴れだ! そ こ で だ! お礼として………』
なにかな? ドラゴン素材で出来た武器とかですかね?
『我が娘をやろう!』
「ミゥ!」
鳴き声可愛いなーー…………って、え?
チョットナニイッテルカワカラナイデス。




