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『石舞台の強者』






「さて、午後はどうする?」


「ソロで行く。」


「そっか、じゃ、ライラちゃん一緒に行こ。」


「そうね。それじゃスノウ、死なないようにしてね。」


「了解。」



ライラとクノの別れて、一人で森に入る。芋虫と戦うのは嫌なので、見つけても無視する事にして、【風脚】や【浮遊】を使って、木の枝を飛び移って行く。あの巨体じゃ、木の上には登ってこれないだろう。


かなり適当に動いているが、なんか面白いものないかな~。そんな事を思っていたら、音が聞こえてきた。話し声と、金属どうしがぶつかり合う音。とにかく、やることないのでそちらに向かう。


音の方を目指して暫く進むと、視界が開けた。森の真ん中にあったのは、結構大きめの石の舞台。そこで、プレイヤーとナニ(・・)かが戦っていた。よく見ると、それはカゲ(・・)だった。戦っているプレイヤーとまったく同じ形、コピーかなにかかな? というか、戦ってるのヘイルじゃん。石舞台の外には、スリート姉さんや、ルキエさんもいた。他にもプレイヤーがちらほら。


木の上で見ていたら、ヘイルとカゲが消えた。あれ? まだどっちもやられてないよな? 疑問に思ったが、直接聞けばいいので、早速聞きに行く。



「ああー! また負けた!」


「お疲れヘイルちゃん。」


「ここ難しすぎるよ!」


「勝利条件は?」


「「うわぁ!?」」



なんだ? 何を驚いてるんだ?



「スノウお姉ちゃん、どこから出てきたの!」


「? 普通に。」


「普通って………まぁいいわ。それで、勝利条件だっけ?」


「ん。というか、ここなに?」


「ここは石舞台だよ。あの上に上がると、自分のコピーが出てくるんだけど、そいつを3分以内に倒さなきゃいけないの。」


「でも、今までの自分の戦闘法とかをコピーされてるから、対処が大変なの。」



成る程な。だけど、所詮は今までの戦闘法をコピーされてるだけだろ? そこまで苦戦するかね。



「ここはβプレイヤーでもクリア出来ない難所。さっきイベントボスの一体が倒されたから、我先にと色んな場所でイベントボスと戦ってるみたい。だけど、ここは難しすぎて人気ないんだ。」


「行ってくる。」


「あ、ちょっと!」



難しいという事は、楽しめるかな? でも、自分のコピーだしなー。そんな事を思いつつ、石舞台に上がろうとしたら。



「ここは、ガキの来るとこじゃねぇぞ?」



なんか、ごっつい鎧を身に纏った奴が現れた。だがしかし、付き合うきはないので、無視して石舞台に上がる。



「なっ!?」



驚いているようだが、今はこの石舞台だ。


暫くすると、舞台から沸き上がるようにカゲが出てくる。とりあえず、鉄扇は封印だな。おれのコピーなら、素手のほうがいい。



「ねぇ、スリートお姉ちゃん。」


「なにかな?」


「スノウお姉ちゃんもしかして、今の今まで、ずっと鉄扇で戦ってたのかな?」


「だとしたら、あのスノウちゃんのコピーは、素手では戦わないわね。」


「スノウお姉ちゃんは素手で戦える。」


「「………………。」」











俺のコピーを前に、全身の力をある程度ぬき、自然体になる。じいちゃんから教わった、戦う前の構えだ。コピーが鉄扇を打ち込んで来たが、それをふらつくように避けて、がら空きの腹に掌打を当て弾き飛ばす。


起き上がったコピーが、符を五枚ほど飛ばしてきたので、『土壁』の符を使って防ぐ。小さな爆発がおこったので、『火球』の符だろう。その時の煙を目眩ましにして、コピーの懐に潜りこみ胸に拳を当てる。



「一つ。」



続いて、身体を回転させながら、拳を当てたのと同じ場所に肘打ちを当てる。



「三つ、四つ、五つ。」



流れるように、続けて三連撃を食らわせる。



「六つ、七つ。」



六撃目で、少し浮かせて、とどめに回し蹴りを食らわせる。ちなみに、今の七連撃は、全て同じ場所に当てるという技で、じいちゃんから習った五つの技の一つ。確か…………“北斗”だったかな?


じいちゃんに教わった武術は、武術と呼んでいいのかよく分からない。だって、自分が戦いやすいと思う動きで、当てやすい攻撃を当てろという、とにかく自由な武術だったのだ。それでいいのかじいちゃん。まぁ、そんな武術で、笑いながら海外の戦場に乱入して無双いたのだから、とんでもない。


コピーの鉄扇による攻撃を、避けつつ【舞い】スキルの効果を発揮させ自身を強化していく。勿論、コピーも同じように自分を強化しようとするが、素手での攻撃やちょっとした足の動きで妨害する。


防戦一方だったコピーがしびれを切らし、遂にあのスキルを発動させた。コピーは、両掌を合わせ、【仙人化】のスキルを使った。すると、コピーの頭の側面から翼っぽいものが生えた。翼っぽいというのは、見た目が黒くてよく分からないのだ。それはともかくとして………



「ここからが本番みたいだね。」



思わず笑顔になりながら呟いた。







主人公の祖父は超人です。

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