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開かれた特殊なゲート。今もなお、振動は続き、頭上からパラパラと何やら粉っぽいのが振ってきてたりするが……目的を履き違えたらいけない。それにあれは尖兵だ。月が落とした尖兵。
きっとそれは地上側の戦力を分散させるためのものだろう。なにせ単純に考えると、月と地上では戦力に大きさな差がある。もしも、もしも本当にプレイヤーが全部参加してきたら、物量的には月は敵わない。
こういうのって、普通は敵側が圧倒的に大きな戦力を持ってる……とかが定番としてあると思う。だいたい苦難を演出するために主人公サイドって少数精鋭なになるものだ。
でも月と地上とでは……ね。そもそもが国やら文明やらがある地上。かたや今までそういうの全くない月。月人がいるじゃん? 確かに月人は便利な道具みたいな? そんな戦力ではある。
でもだからこそ奴らを生み出すためにも、月には支出が必要だってセツリはいってた。だから無限に生み出せるわけじゃないはずだ。それに直近に大きな戦いをしてるわけで……かなり月側の国庫というか? そういうのは逼迫してるんじゃないか? 確かに世界樹を取る……というのはそれだけの戦力を投入しても得る価値があったんだと思う。
けどあれが月と地上の対立を決定的なものにしたと思う。引き戻せない……和解のできないところにまでいったというか?
先にテア・レス・テレスの先遣隊がゲートを通っていく。僕達野良のプレイヤーはあとから続くことになる。次に戻ってきた時、この人種の国が更地になってる……なんてことがないことを願おう。
「私たちもつき側とこっちで戦うようにしたほうが……」
「戦力の分散は悪手だとよく自分で言ってるじゃないですか?」
「それはそうだけど……」
「それに私たちが行かなくても、他のプレイヤーたちが頑張ってくれてます」
今のタイミングで月に侵攻するのをメカブは本当にいやらしい。でも僕達はただでさえ人数的には少ないわけで……そして月への侵攻は無茶なのはそうなんだから、これ以上戦力を低下させてどうするっていうね。ラオウさんの言う通りに他のプレイヤーを信じよう。
地上は他の人達に任せる……それしかない。
「行こう」
僕達の順番がくる。僕はそういって皆とともにゲートをくぐる。




