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「けほっけほっ……一体何が?」
いきなりの振動とあたりを包みこんだ煙なのか土埃なのか? それによって周囲の視認が著しく落ちてる。僕はいつもの視界じゃなくコードを見る視界にして周囲を確認する。
この視界は情緒とかまったくないが、でも事実だけを確認するのには一番適してる。だってただコードしか表示しないからだ。周囲いっぱいに広がる砂煙なのかなんなのかは「111111111111111」――とかで表示されてる。でもそれはとても小さいからこの視界なら無視できる。
誰か今のでやられた……とかは無さそう。それならこの原因を……何かが遠くにみえる? あんなところに山なんてあったか? みたいなさ……この人種の国は初心者が一番選ぶ町だ。だから結構な人がこの街とその周囲については知り尽くしてるだろう。
僕だってまずはここから始めた。だからそこそこわかってるつもりだ。全て……とは言わないよ。だってずっとここで活動してるプレイヤーがいるとしても、そんな人達でさえ見過ごしてる何らのクエストとかイベントとかはあったりするものだ。
それがLROというゲームだからだ。でも流石に地形はそんな簡単に変わらないだろう。そんなことが起きたら大事件だ。大体初心者が選ぶような場所はオーソドックスに街の外は平原が広がってるとかになってる。そしてすこし行けば森とか岩場があったりしてさ、もうちょっと遠出したら水場があったりだ。
そしてダンジョン……初心者が最初に挑むべきダンジョンが用意されてたりする。地形が変わるって事はこれまでの生態系も変わるってことで、そうなったらモンスター達の生息域とかさ……変わるともしかしたら初心者では厳しくなったりするかも。
そんなことがいきなり起きる……のがLROな気もするな。
ゴゴゴゴゴゴゴ……
「ん?」
山……かとおもったけど、なにか動いてる? 最初ほどの振動じゃないが、微振動? と言われる揺れが再び伝わってくる。
「あれ……山じゃない。あれは……」
コードがそれが何かを示す。街の外の平原とかにあれはあるんだろうが、僕のこの目は優秀だからその距離を縮めてコードを読み取らせてくれた。その特徴に一致してる存在を僕はしってる。
あれは……
「月人だ! 空から超巨大な月人が落ちてきたぞ!!」
僕はそんな風に叫んだ。




