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「確かに日鞠ちゃ……いえ、会長の手腕ならそうでしょう。つまりはすこしでも早く勝ち馬に乗るべきだと言うことですね」
ラオウさんの言い方はあれだけど、僕は100%会長を信じてるからな。だからまあそういうことであってる。途中から勝ち馬に乗るのと、最初から参戦してるやつではもちろん最初から参加して参戦してる方が報酬とかさ、印象とかよくなるじゃん。
まあ別にこの作戦に参加したからといってなにかがもらえる……とか発表はされてない。別に大規模なイベントというよりも世界を巻き込む大事件で、これはストーリーと呼ぶべきものだしね。
今しか体験できないことだ。ストーリーなら全てのプレイヤーが同じような体験をすべきなのでは? とかいう意見もあるかもしれない。でもLROはそういうゲームじゃない。世界に対してたった一人の主人公になるゲームじゃないのだ。
そしてそのプレイヤーごとに世界があるわけでもない。今まではオンラインゲームでもメインストーリーは各自で独立してるものだっただろう。だってそうじゃないとストーリーわかんないしね。
けどLROはそうじゃない。まあそもそもが大枠のストーリーというものがあるわけじゃないからね。ただ僕達プレイヤーはこの世界に放り出されるだけだ。そして自由に生きてくださいねってね。
そしてその自由の結果、それぞれ自分だけのストーリーが組み上がっていく……というのがLROのコンセプトだろう。だからこのLROの世界に起こる大きな変革さえも全てのプレイヤーで共有してることであり、それにどう関わるか? もそれぞれに委ねられてる。
まあつまりは早くに始めなかったお前が悪い……である。大きなイベント、事件を取り逃す、体験できなかったのはプレイヤー側の責任で、それもまたその人の物語だよねってことだ。
「でも、私はなるべく楽をしたいんだけど……」
メカブの奴はそういうと思った。こいつは勝ち馬に乗る事には賛成だろう。けど、それが確定してからでいい……と思うタイプだ。最初から頑張る? それになんの意味があるの? ってやつだからな。
まあ個人の意見は否定しないよ。別にメカブだけを後で参加にする……もできなくはない。でもそうなると、合流できるかは怪しい。いや多分無理だ。だって転移した先にずっといるわけない。僕達はセツリを、そして妖精王を目指す気だ。
それは実際、世界樹を奪還しようとそうじゃなかろうと関係ないのだ。たとえ世界樹を奪還できなかったとしても……そんなことないと、僕は会長とリア・レーゼに向かう人々を信じてるが、万が一そうであっても……それでも僕は妖精王達を最初から目指す覚悟だ。
だからなるべく信頼できる……信頼できる? メカブはそれに該当するかちょっと首をかしげるが、でも僕のわがままに付き合ってくれる奴らなんてそういないからな。贅沢はいってられない。
それに大丈夫。こいつ操りやすいから。




