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「う、嘘?」
なんでそんなショックを受けてるんだ? 僕の夏休みの宿題の状況をみて、めっちゃショックを受けてる摂理の奴。寧ろそこまでショックを受けられるとこっちが不本意なんだが?
「う、裏切り者! 一緒だと思ってたのに! 一緒に夏休み最後にヒーヒーいうものだと思ってたのに!」
「なんだよそれ」
「だって漫画では!」
そういって別のタブレットで漫画を表示させる摂理。そこには主人公とヒロインが夏休みの最後に一緒になって宿題を終わらせる青春? が描いてある。
「お前な……もしかしてそれに憧れて宿題やってないとかないよな?」
まさかと思うけど……
「え? ええー、そんなわわわわ訳、ないじゃん? そもそも私が宿題なんてやると思う!?」
「それは確かに」
よくよく考えたら摂理が宿題なんてやらないのは普段からだった。てか逆切れにもほどがある。
「いや、普段からやりなさいよ。てか私には大丈夫って報告……してたよね?」
ゴゴゴゴゴゴゴ――となんかこわい雰囲気が鈴鹿から放たれてる。それを感じ取ったのか、摂理の奴がビクッと肩をはねさせる。
「えっとね聞いて。別に私は嘘を言ってたわけじゃないだよ? ほんと。だってね、思ってたよりもいろいろと大変でね? 心配かけるのもなんだかなぁって思って」
「それで夏休み最後に迷惑かけられてるんだけど?」
「ごめんなさい!! 私を見捨てないでえええええええ!」
言い訳をやめた摂理は鈴鹿に泣きながら抱き着いた。きっとこのままじゃ見捨てられる! と危機感を感じたのかもしれない。鈴鹿みたいなやつは優しいけど、見捨てられたら静かにきっと去っていくタイプだと思う。
そういうのを摂理の奴も感じ取ったのかもしれない。このまま言い訳をしてたら、鈴鹿に見捨てられると思ったんだろう。
「はぁ、本当に全然してないのね」
「ご、ごめん」
「まったく摂理の奴はダメダメね」
そんなことを言うのはメカブの奴だ。絶対こいつもやってないだろうって思ってるんだけど……メカブは学校から違うからな。とりあえず日鞠がメカブの宿題の現状を確認する。
「うん、メカブちゃんは基礎からしっかり勉強しよっか」
「どうよ! は? え? ちょっと日鞠? なんで!?」
どうやらメカブの学力は夏休みの宿題がどうとか……とかいうレベルじゃないらしい。日鞠がこういうということはきっと成績自体がやばいんだろう。それを宿題の状況で日鞠は判断したらしい。




