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「さて、皆いいかな? ちゃんと例の物は持ってきた?」
そんなことを言うのは日鞠のやつだ。今日は僕達はリアルで僕の家に集まってる。メンツは学生組だ。メカブの奴は学校違うんだけど、この場にいる。あとは秋徒のやつに摂理に鈴鹿さん。
僕達はダイニングのおっきなテーブルに持ってきた物を広げる。いや、僕の場合は部屋から持ってきただけだけどね。そこには沢山の教科書の山。あとはタブレット。今や配布物はほとんどタブレットでPDFである。
親にも見せる必要のある「お知らせ」みたいなのはプリントで配られし通知表なんかは電子と紙それぞれで配られる。けど宿題とかはタブレットに書き込む形式になってる。そうここまでいえばわかるだろう。この週末は夏休み最期の週末である。
月側の勢力から世界樹を取り戻し、月を下して大団円……となってめでたしめでたしで終わればそれいいだろう。でもな……この世界は続いてるのだ。現実は止まってはくれない。
そう、そんな激しい戦いの後に宿題をやる気になるか? ってことである。実際この場面において宿題が残ってるとか……ちゃんと真面目にやってるやつには理解ができないだろう。
そう鈴鹿さんである。
「なんであんた……嘘でしょ? 仮にも生徒会長よ?」
「ごめんなさい……」
そんな風に謝罪の言葉しか言えない摂理。てか仮ではなく摂理は正真正銘僕達の学校の生徒会長だぞ。確かに生徒会長は成績優秀な生徒がなるイメージがあるからね。日鞠はそれにたいして申し分ない。日鞠は僕達の学校の成績に収まるようなやつじゃないからだ。
全国的に比べても日鞠は上位の位置だ。もちろん、誰も摂理に日鞠ほどの学力なんて求めてない。それは当然だ。日鞠と摂理は違うんだからな。でも……である。でも、生徒会長として最低限のラインというものは守ってもらわないといけないのも事実だろう。それが夏休みの宿題だ。
生徒会長が夏休みの宿題をぶっちした? そんなの噂だって立ってはだめなのだ。そんなの余裕でこなしましたけどなにか? いや当然ですよね? が生徒会長というもの。
では、今の摂理の宿題の状況を見てみよう。
「一切手つかずって……」
僕はちょっと驚愕する。僕の言葉に摂理が反論してくる。
「そっちはどうなの? スオウだってやってないでしょ! ゲームばっかりしてたくせに!」
お前にだけはいわれたくない……と僕は思って僕の状況をみせてやった。




