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ここで「なんだこんなもんか」――というのはドヤってるメカブの鼻っ柱をおるには最適である。でも……そんなことをしたらこいつはすねて戦闘に参加しない……とか言いそうである。そもそもが週末が近づいてくるに連れてなんかやる気無くなっていってたしね。
「あー私何ていなくていいよねー」
とかいってた。それが手のひら返したのは昨日のこと。そもそもがこの集まりだって珍しくメカブのやつが提案してきた。こいつは自分からなにかするって事がほぼない。LROをそれで楽しんでるのか? とか思うけど、LROの楽しみ方は人それぞれだからね。別に家から一歩も出なくても、今や自分のエリアに引きこもってるやつがいても、それで楽しいと思えるのなら、楽しいんだろう。
実際エリアに引きこもってるやつとかいそうだしね。だってリアルの部屋では結局誰かの干渉があるかもしれない。でもエリアなら完全に一人になれるし、自分の理想の部屋とか構築とかできる。部屋だけでなく、自然だって再現できる。一人だけで何もしないのなら、エリアはそんなに広くはない。
僕のエリアもほぼ初期の広さだ。でもだからって一人なら狭いってわけでもない。まあ僕の場合は今は一人ではないが……でも二人でも別に狭くはないからね。初期のエリアでも小さな建物とその庭が含まれてるし……小川もある。だから家庭菜園とかだってしようと思えばできるだろう。
そういう人それぞれの自由な楽しみができる。メカブの奴はほぼエリアに引きこもるってことはしない。なんだかんだラオウさんにお小言を言われようと、子どもたちの相手をしなくちゃ行けなくても孤児院の方にいる。
本当に煩わしかったら、エリアに引きこもるのが正解なのにそれをしないって事は、なんだかんだいってあそこが気に入ってるんだろう。冒険とか普段はせずにぐーたらしてるのに、今回皆を積極的に集めてこのお披露目を提案した。
それがこれ……実際あのメーモスの杖とかいう武器の+αはすごい。こんなもんか……とかいうものじゃない。下手にふてくされて、参戦しなくなるのも困るし……ここはおだてるが上策だろう。
僕達はそんな会話を視線で交わしたよ。まあきっとそれが仲間たち皆につたわったか? というとそんなことはないと思う。でも話の流れでわかってくれるだろう。だって一番アホなのはメカブなんだから。
そのメカブを調子に乗らせるのだ。きっと簡単だ。
「うおおおおおすげええええええええ! なんだその杖!? いや杖? どこの伝説の武器だよ!?」
とかなんとかいってメカブをこれでもかって調子乗らせることにした。




