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「いくわよ…………」
「どうした?」
なんか意気揚々と出てきた割になにか戦闘を始めようとしないメカブ。ああそっか。
「お前後衛だからな。前衛してやろっか?」
僕がそんな提案をしてあげてる。それに僕のこの+αの武器は後衛の人たちにも最適な動きになると思う。だって敵の動きを封じる事ができる。一回ちょっと切っても、ダメージなんてほぼないし? それならちゃんとメカブの武器の威力だってわかるだろう。まあメカブはこれまで魔法主体だった。
だから武器の攻撃力というよりもその魔法の攻撃力になるわけだけど、どのみち後衛にとっては前衛というのありがたくも大切な存在なわけだ。だから僕がわざわざ名乗り出てあげた。なのにこいつときたら……」
「は? 我の前に出るな雑魚が」
「……え?」
である。なんかやけに態度デカくない? とか思って保護者であるラオウさんを見る。すると目があった瞬間、やれやれって感じで肩をすくめてた。あのラオウさんがなんか呆れてる。あの誰にでも自愛の手を差し伸べて、リアルでもこっちでも子供の相手をして面倒見がとてもいいあのラオウさんが?
どんな厄介なことになってるんだよっておもった。
(これは相当自身があるな)
だってこの尊大な態度……メカブの鼻が伸びてるのか見えるみえる。実際鼻が伸びてるわけじゃない。高くなってるわけでもない。でも、どう見ても調子乗ってるもん。けどこれだけ調子に乗れるほどの+αがついてるってことなんだろうからな。
実際気にはなる。まあそれ以上にムカつくが。でもメカブがアホで生意気なんてのはいつものことだ。こいつ相手にイライラするのは無駄というか? だから僕は「メカブだからメカブだから」――と自分に言い聞かせて平成を保つ。
「じゃあどうするんだよ?」
「ちょっとあんた、もっと強いの引っ張ってきてよ。簡単でしょ? 足だけは速いんだから」
こいつ……確かに僕なら簡単にモンスターを引っ張るとかできるけどさ……この態度だとちょっとね。
「貴女、なんですかその態度は」
ラオウさんが流石に苦言を呈する。すると流石にちょっとバツが悪くなったのか、拗ねるメカブ。
「だって……あんなのじゃ私のこの偉大なメーモス48番目の終末の悪魔のお披露目にはふさわしくないっていうか? わかるでしょ?」
いやわかんねーよ。それになに? え? メーモスなんだって?
「ん? これ? 『メーモス48番目の終末の悪魔』格好いいしょ」
小学生の男の子かな? って思った。お前のその杖、そんな名前だったか?




