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既に月への反攻作戦前日となった。僕達はレスティアに集まってそれぞれの現状を確かめることになった。やっぱり現状の戦力を正しく把握しておくのは大切なことだからね。
最近は集まり悪かった鍛冶屋もこの場にいる。NPC達の装備を作るので忙しいんじゃなかったのか? とか思ったんだけど……だって今生産系スキルを持ってる人たちは特需のおかげて荒稼ぎしてると聞いてる。
プレイヤーはもちろんだけど、大規模な戦闘になるんだからそれぞれの国が大量の資材に発注をかけてるのだ。だから今や回復薬とかはあるだけ売れるっていうね。本当なら過剰な生産は市場の値崩れを起こす。
それが市場原理というか、供給と需要の原理みたいなものだ。過剰にあると、誰もが持ってて価値が下がる。そのままの値段だと「もうあるし」――という心理になって沢山の人が買わないのだ。
だから値段を安くしないと行けない。けど今はそういう市場原理は関係ない。値下げる必要がないのだ。なぜかというと、今は組織や国が買い取ってるからだ。しかも値段を保証してね。
だから作れば作るだけ売れるのだ。そうなると売るよね……ってことで生産系のスキルがある人たちは稼ぎ時ということで必死にやってるのだ。僕達のような戦闘系の戦場が明日からだとすると、準備を担当してる生産系の戦いは既に始まってる……といえる。
派手で注目を浴びるのは僕達のような戦闘をする側だろう。まあ大体の人はこっちに入るだろうしね。けど、こういう生産系の人たちがいないと大きな戦いなんてできないんだよね。
けど名誉とか栄誉とか、注目とかはさ、戦闘で功績を上げたやつにしかないんだよね。これってなかなかに不公平ではある。でもそれに不満が上がらないのは、そもそもが生産系の人たちがそんなのに興味がないから……なのかもしれない。
そもそも生産系に行く人たちは目立ちたい! とか思ってない人達が多いだろう。だって生産職で目立つって難しいなんてちょっと考えればわかる。目立ちたい為にそっちにいくわけないだろう。
そしてそんな生産職のトップ……というと弊害が起きそうだけど、希望の星とはいえるだろう。だって一つの種のトップにはいる。それが鍛冶屋だ。そんな鍛冶屋は大変なはずだ。
けどわざわざきた。
「さて、そろそろ私の出番ね」
そんな風にいうのはメカブだ。僕達はそれぞれに自分が+αした武器や防具とかの効果を披露してきた。なかなかいいものもあったと思う。けどここまでなら僕が一番かな? てな感じ。でもメカブはとても自信満々だ。一体どんな+αを得たんだこいつ?




