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めっちゃ重いこの+がついた剣。どう振るうか考えた所、取りあえず上に持ち上げて下に落とす方法で振るうことにした。だって横になぐってのはちょっと筋力的に……ね。無理そうだし? 上げて落とす方なら、大変なのは上げるときだけだ。
だからそっちを選んだ。風を支えに頭の上まで持ちあげて、棒人形に向かって振り下ろす。
ザク――
振り下ろされた+αの剣は棒人形の頭の所に刺さって止まった。まあ力を入れてなかったし? 重さだけで振ったようなものだからこんなものか? とか思った。品質的には普通だしね。いや、いろいろと混ざった+αの状態はなんか品質的に「粗悪」になってる。
普通から粗悪――に品質的には下がってた。ちなみに僕のフラングランは品質的には「特上」である。けどこれでも一番上ってわけじゃない。なにせフラングランは鍛冶屋が打った武器だからね。今の所、特定の敵からドロップするか宝箱から出現するアーティファクトとかさ、そういうものの方が「品質」という面では最上なのだ。
鍛冶屋は常日頃からいつかはそれらのアーティファクトと同等か超えるものを作って見せる! と息巻いてる。そんな鍛冶屋が作った……とは思えないほどの品質と切れ味の剣……それがこの+αの剣だ。
でも切れ味は期待外れもいいところだったけど……その直後だった。
バン!
そんな空気がはじけるような? 音が響いた。それによって、棒人形が揺らめいてる。ここで大切なのは揺らめいてる……だけってことだ。これで某人形の一部が欠けるとかさ……それくらいの事が起きたのなら、「おお!」とかなっただろう。
でも棒人形はちょっとへこんでる部分ができただけ……なんだ。つまりはさっきの音の威力はそのくらい……ということだろう。
「今のって……ふん!」
僕は確かめてるためにいったん+αの剣をもう一度上に掲げて振り落とす。そしてまた同じくらいの頭の位置で剣は止まり、直後に――バン! ――と響く。これは間違いないだろう。つまりはこの剣は一回剣をふるうと追加攻撃が自動的に出る剣――になってる、ということだ。
「なるほどな。そのテープの事はわかったよ。でもこの剣は……失敗だろ」
僕は素直にそういってやる。確かに剣なのにふるったら見えない弾丸が飛ぶというのは面白いし、意外性もあって使い道だってあるだろう。でも問題はその重量だ。絶対に鉄鉱石を混ぜる必要性なかっただろう。
扱いづらくて仕方ない。でも簡単に新たな特性というか? 特殊効果を持たせられるってのは確かに可能性はある……と思う。単純に面白いし? けどこれを有効に活用しようと思うと、単純に時間が足りなくないか? とも思った。




