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「これは?」
今回は明らかに形が変わってる。だから変化はわかる。でも、剣と銃を組み見合わせてたのに、ほぼ剣なのは謎だ。それはもっとなんかこう……変わるんじゃないの? とか思うが、なにか能力がついたとか?
僕はコードを探るようにみる。
「気になるなら、装備してみるといい」
「いいのか?」
「ああ。これに対しては思い入れなんてないからな」
珍しい。鍛冶屋の奴は鍛冶に狂ってるやつといっても差し支えないくらいのやつだ。それこそ放っておいたら一日中トンカントンカンと撃ち続けるし、材料だっでその足で取に行くやつだ。まあこの場所なら貴重な材料だって沢山あるとは思うけど。そしてそんな鍛冶屋だからこそ、自身が作り出した武器や防具に対して思い入れが強くなるのも当然だろう。
鍛冶屋は自身が認めた相手にしか武器を今や売ったりしてないし、触らせるのだって遊び半分……みたいな奴には絶対にさせない。そんな鍛冶屋がなんかいとも簡単に使っていいなんて……まあ僕たちは知り合いではあるけどさ。でもそんな知人にも譲れないものってやつがあったりするじゃん? それが今までは鍛冶屋は発揮されてたはずだ。なのに今回はこんなあっさりと使っていいとか……なんか妖しいんだが。
きっとそれを感じたのは僕だけじゃなかったらしい。だって他のみんなも、なんかこの銃と剣がミックスした奴に触ろうとしない。いやいやコードを見た限り危険はないよ。
「じゃあ、僕が」
鍛冶屋があまりにもそっけなく使っていい……なんていうから誰も触れようとしないから、しょうがないから僕が使う事にした。まあ剣の扱いには慣れてるしね。フラングランを装備欄から外して、この剣『アイアンソード+鉄鉱石+チャタス』って奴を装備してみた。
きっとチャタスってのはさっきの銃の名前というか種類なんだろう。てか+って……なんかめっちゃシステムが投げやりに見えるんだけど。
「おもっ……」
装備して持ち上げようとしたら、ズシッときた。これは単純に僕がひ弱だから……とかじゃない。決してない。普段比較的軽いフラングランを使ってるから……というわけでもない。
単純に見た目に対してめっちゃ重いのだ。見た目は普通のアイアンソードというか、ロングソートくらいだと思う。刃渡り80とかそんなもん? そして束の部分がある。ちょっと豪華になってるが、でもまだまだ高級って程じゃないような剣だ。
ちょっといい品質というか? 個性的な剣の範疇で収まると思う。でも……ね。その重さは普通じゃないぞこれ。
「さっき鉄鉱石をそのまま加えたからな。そのせいだろう。素材そのままだと、防御力と重さに直結するようだ」
おい、ならなんで加えたよ。てかわかりやすく見せたかったら、色がついてる石とかを混ぜろよ! 重すぎるぞこれ。普通サイズの剣なのに、まるでバスタードソードみたいな巨大な鉄の塊を持つようにしないと持ち上がらない。欠陥品だこれ!!




