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「そうだな、これだけじゃ、意味はない。でも……とりあえずこれをこうやって」
ゴトッと出して来たのは精錬された鉱石、長方形の見た目になってる鉄鉱石って奴だった。何をおもったのか、鍛冶屋の奴は元の鉄の剣の刀身にその鉄鉱石を押し当てて、更にテーピングテープで2つをまとめてぐるっとまいた。すると……だ。
ピカー!
――と2つが光りだす。そのさい、何やら鍛冶屋が空中を操作してるようにみえた。他の皆は光ってる方に注意を向けてただろうけど、僕の視界の広さは伊達ではない。だから僕は鍛冶屋の動きも見えた。
そして光が収まると、そこにはさっきと何も変わらない鉄の剣がそこにあった。テーピングでぐるっとされてた鉄鉱石はなくなってる。ちなみにテープを一緒に無くなってる。
「これじゃあ、分かりづらかったか」
そんな事を鍛冶屋は呟いてる。確かに見た目はなんの変化もない。けど……剣の性能……それを見たら変化はわかる。それは本当ならウインドウを開いてからしか確認できないだろう。
でも僕にはみえる。祝福の目ならデータをそのまま観覧できるだからだ。皆何が変わったかわかってない。いきなりウインドウ出して確かめよう……なんてなんないしね。見た目に変化があったなら、するだろうけど、見た目一切変化ないし。
「耐久度が上がってる? それに重量も」
「もう見たのか。そのとおりだ」
僕の言葉をきいて、アギトたちもそれぞれ確かめてるようだった。メカブは……興味なさそうだけど。
「これってつまりはあのテーピングテープが強制的に融合させたってことか?」
「そうだ」
「これってどの程度まで行けるんだ?」
僕は確かめて、そしてアギトがさらなる疑問を口にする。するとそれを待ってたのか、鍛冶屋はにやりとわらって別の武器、それこそLROでは下火な銃をインベントリから取り出した。
銃と剣――それは近距離武器と遠距離武器という全く違うスタイルだ。でもそれを鍛冶屋はなにも言わずに剣と銃を重ねてテーピングテープで巻き出す。すると再び――カッ――と光って、その後にそこには鉄の剣がちょっと変わった見た目になったくらいの剣があった。
銃の要素は見当たらない。銃の装飾がなんか加わった? って感じだ。銃弾を込めて、引き金を引く機構? そんなのももちろんなかった。




