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鍛冶屋が出してきたテーピング、それを僕も……僕もこの目で見てみる。僕の目は特別ではあるが、鑑定がカンストしてる……とかではない。加えて僕の目はどちらかというと動態に強い。別に静止してる対象は普通に見えればそれでいいからね。
けど、僕にはもう一つの力がある。そう、祝福である。それによって僕にはコード……この世界の真実ともいえるそれが詳らかに見える目を有してる。だから鑑定がなくても、そこまででも、多種多様な情報を祝福によって得られるのだ。
鑑定というスキルには実質抜け道というか? 対処法というのが存在してる。けど祝福にはそんなのはない。この目で見ようと思ったコードが見れないことなんて……ほぼない。ほぼといったのはそれはもうシステムの領域に行くからだ。
LROというシステムがこれより下はいじられたくない……そんなのを保護してたら、さすがの祝福でもどうすることもできない。だってそれは完全な裏側の仕様だからね。まさに世界に干渉するがの如く……ということになってしまう。
なんでもあり……のなんでもが本当になる。みたいなものだ。実際あんまりよくわかってない人たちから見たら祝福というこの特別な力は『なんでもあり』――にみえるらしい。まあわかるけど。でも実際はそこまでなんでもありなわけじゃない。
確かに世界のルールを書き換えることだってできなくはない。僕にはできないが……会長は運営がやりそうな新たなルールを次々に持ち込んでる……といっていい。
それこそヴァレル・ワンはこの世界の移動方法を変えそうだし、そうなると物流とかさ……そういう経済に影響を与えそうな変化って本来はプレイヤーが勝手にしていいことじゃないと思う。そしてこれである。
ただのテーピングじゃん? いやいや――これは鍛冶屋が作ったもの? いやいや――だよ。確かに制作は鍛冶屋か、それか他のやつだって出来るんだと思う。そうでないといきなり数千・数万単位で作る……なんてできないだろう。
「このテーピングには繋ぐシステムが実装されてる?」
「さすがはあいつと同じ祝福持ちだな。よく見える」
僕との言葉に鍛冶屋がうんうん、うなづくように言ってくる。テーピングテープってのはリアルだとけが人とか、それかスポーツ選手とかが体の部位、よく見かけるのが肩やひざになんか複雑にまいてる感じだと思う。
あのテープで何が変わるのか僕にはよくわかんないが、ただのテープがこの科学の時代ですたれずに存在してきたのはきっと効果がちゃんと証明されてるからだろう。まあでもテーピングは接着とかよりも、動きの補助とか……そんなイメージの方が強い。
「それでこれはどう使うんだよ?」
アギトの奴もテープを見ながらそういう。確かにこのなんの変哲もない剣とテープを出されても……ね。まさかこの剣にテーピングテープを巻くとか? どう考えても切れ味に影響が出そうだけど、ここはゲームの中だ。特殊な効果がつくのかもしれない。




