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「うおおおおおおおおおおおお!!」
ザシュッ――と素早い連撃を叩き込んで大きなイノシシ型のモンスターがドズーンと倒れてオブジェクト化して消えていく。流石に初心者の人たちに悪いから今はもっと強い敵がいる森の奥……へとやってきた。
深い森には色々と強力な敵がいるが、まあ流石に程々が今はいい。なにせ今は未知を探求してるわけじゃない。検証なんだ。だから程々の敵がいるようなさ……そんな所にきてる。
まるで一軒家のようにでかいイノシシはその攻撃力は破格だ。僕の防御力ならきっとまともに一回でも当たったら多分一気にHPがなくなると思う。それだけやばい相手ではある。
でもそれはありえない。確かにその攻撃力は破格だけど、奴はまっすぐに突進することしかできない。だから僕が当たる? そんなことはない。だからいくら攻撃力だけは高くても僕にとって狩りやすい敵である。
それに大きいのもいい。どこだって切れる。流石に初期の装備とかではあれの皮を貫通して傷をつける……のは大変だろうけど、僕の武器ならそんなの気にする必要ない。
それに風を纏えばもっと確実だ。
なのでこれで三体目である。
「ブオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「やっぱり、こいつら親子?」
いままでは都会の建売の一軒家みたいな……家でもこぢんまりとしたくらいの大きさだった。でも今回怒りとともにでてきたのは、まさに豪邸……そのサイズだ。それに真っ赤だし、かなり怒ってる。
なんか親子っぽいなって思ったんだよね。最初に倒したのが子供で、次には母親。そして今現れたのが親父……そんな気がする。わかんないけど。でもなんとなくそんな気がする。
ちらっと僕は自分のステータスをみる。正確にはそのステータスの下に表示されてる月だ。半月を超えてあと少しで満月になるくらいには溜まってる。何がたまってるのかは知らないけど……これは敵を倒すことで段々とチャージされてるみたいだ。
「いってたとおりだな」
あのフードの人はここにはついてきてない。もう教える事は教えたから、あとはいいでしょ? ――ということだった。この月の印を満月しておけば、どうやら世界樹が無くなった影響を緩和できるらしい。
だから僕はそれを確かめようとおもって一人でここにきた。みんなに報告するのも、ちゃんと検証してからのほうがいいかなってね。
まあけど……
「でも僕の主要なスキルってスキルに分類してるわけじゃないんだよね」
それである。




