2628 前に進むためのXの問い編 1012
「なんだ?」
「何が起きてる?」
敵である特殊な月人は目の前から消えた。でも楽観視は全然できない。なにせ地面が振動して、月の街に三つのそびえる塔? のようなものが出てきた。いや、塔というか、ただの螺旋? かもしれない。棘ともいえる。
そしてその棘は光りだした。さらには……
「まさか……これは……」
「町が……」
「あれに吸われてるんでしょうか?」
驚愕する。なにせ目の前にあった月の街がまるで初めからなかったかのようにオブジェクトへと変わったからだ。そしてそのままなくなる。月の荒野……それが広がった。残ったのは城だけだ。綺麗な銀色の城。そしてそれを囲むように三つの棘がある。
どうやら月にとって街なんてどうでもいい存在だったらしい。もしかしたら……
「もしかしたら町の建物を消すことでコストを回収したのかも……」
「それであの塔を作った?」
「いえ、塔が出てきたのは月があった時です。もしも街を無くしてコストを回収したというのなら……そのコストを使うの今からではないでしょうか?」
シルクちゃんの冷静な分析。確かにそうだ。この塔は町がある時にでてきた。ならば回収したコストでこれを作ったわけじゃないだろう。つまりは本当に建物を壊すことでコストを回収できるというのなら、それを使うのはこれから。
「皆さん、敵の本拠地にもう障害はない。ならば、進みませんか? 時は一刻を争うはずです」
それはオウラさんの言葉だ。考えるよりも動け……そういうことだろう。確かにその通りではある。だって今までの障害はもうない。それにスオウたちはあの城を目指して行ったはず。ならば……現場はあの城で間違いないだろう。
「私達も、行くべきだと思います」
それはリルレットちゃんの言葉だ。エイルは何も言わないが、同意する……という風に首を立てに振ってる。俺達は意見も一致したことだし、月の城を目指すことにする。けどその時だ。システムがメッセージを届けてきた。それを見て、俺は思わずいってしまった。
「なんだこれ?」
ってね。でもそれはきっとみんなも同じだったと思う。だってなんだこれ? と言わざる得ないシステムメッセージだったんだ。
『この時を持って、月が天に置き換わります。ふせぐには星の契約を更新してください。これにはそれぞれの種の宝具が必要です』
――な? なんだこれ? だろう。いきなりこんな事がシステムによって通知されても、意味がわからないだろう。




