2400 前に進む為のxの問い編 784
「色々としぶとい」
そんなあきれたようにこっちに言ってくるレシアの奴。そんなことを言われたって黙ってやられる奴なんていなだろう。実際レシアが言いたいのは力の差は歴然なのにってことなんだと思う。
それなのになんであんたはこんなに抵抗できるのか? ってね。でもそれは前だってそうだったろう。リセット前。その時の方がこいつらは滅茶苦茶だった。なにせシステムの外にいたんだ。だからこそ、レシア達姉妹はシステムの制限がなかった。
けど今は確かにレシアは強いが、それでもシステムの内側にいる。つまりは同じ土俵にいるんだ。前はそれこそ同じ土俵でもなかった。だからこそ、厳しかった。でも今は届くのは確実なんだから、諦める理由にはならないだろう。
レシアはそこら辺まだ分かってないのかもしれない。力の質? 的なものはかわったが、それでも実際十分に強くはあるからね。
カン! カン! カン! カン!
僕のフラングランとレシアの拳や脚がぶつかり合ってそんな音がなる。まるで硬質な何かとぶつかってるようで、拳とか脚とかとぶつかって出る音じゃない……と思うかもしれないが、実際レシアの拳や脚にはその鱗? みたいな硬質なものがひろがってる。
「でも、まだ私の方が有利だよ。だってその炎は私へは効かないしね」
確かに僕の炎の渦はレシアには全く効いてない。それは強がり……とかじゃなく本当みたいだ。まあそもそもがこれはレシアの炎だ。だからこそ、熱的なエネルギーではレシアには通用しない。
そもそもがきっとレシアは熱に対する完全耐性があるんだろう。だからそもそもが僕はレシアはこの刃で切るつもりだ。炎の渦を相殺した時点でこっちの炎も別に必要じゃなくなってた。なので、渦と共に手放して、フラングランの刀身をさらす。それで切ろうとしてるんだけど、想像以上にレシアは固い。それに眠そうであんまり動けなさそうだったレシアはバリバリの近接戦が出来る程になってるようだ。
僕の動きについてくる。てか普通に攻撃を繰り出してくる。その拳、脚、そして尻尾。油断してたら、その口から炎だってお構いなしに吐いてくる。
「なんで、お前がここで出てくる!?」
激しい攻防繰り広げながら、そんな言葉を紡ぐ。ちょっとでも意識を逸らそうというね。小賢しいやり方だ。でもしょうがない。一瞬の隙……それが出来るのなら、何だってするさ。
「だって私は月側だしね。一応? だから遊んでるだけ」
「あそんでる?」
「そうでしょ? 楽しい楽しいゲームなんだから」
やっぱりレシアは覚えてる。以前の事全て。なんでこいつはその記憶があるんだろうか? だってヒイラギは……
「そんなの……酷い!!」
――そんな風に声を上げたのは僕の背中に張り付いてるヒイラギだった。そしてそこでようやく、レシアはヒイラギの存在に気づいたようだ。




