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黒白の折り鶴  作者: 奥生由緒
第1章 帰郷
7/26

(6)報告会とメンバー決めの開始

 二月三・四・五日の三日間は、今年度の〝塔の儀礼(サンスクリット)〟報告会が行われた。

 初日が四年生、二日目は六年生、そして、三日目の午前中が五つ以上の〝塔〟を巡ったチームの発表となっている。

 発表内容は二十ニの〝塔〟の全てが行われるように調整され、三年生は聞き手に徹することながらも眠そうな顔で発表を聞く生徒はいない。むしろ、食い入るように壇上を見つめ、選定した術式の〝塔〟の話では聞き耳をたてていた。

 〝塔〟が持つ特性によって変わる町の風景。

 〝塔の覇者〟がいないこの町との違い。

 受け入れ先の学園での出来事。

 あやうく巻き込まれかけた騒動。

 初めて〝塔の覇者〟の実力を目の当たりにしたこと。

 《傀儡師(パペット)》としての力を活かした様々な仕事。

 また、成長した精成回路を見せるために模擬戦を行う生徒もいた。

 語ることは多く、バラエティにとんだ発表の時間は早く進んでいった。






 三日目の午後。

 上級生の報告会を聞き終え、三年生は〝塔の儀礼(サンスクリット)〟の説明を受けていた。


「〝塔の儀礼(サンスクリット)〟の主な注意事項は以上だ。各人、保護者の承認とメンバー表を合わせて今月末日までに担任へ提出するように。それでは、解散」


 学年主任の声で、静まり返っていた講堂はざわめきを取り戻した。

 チャイムが鳴ると、それぞれにグループに分かれて講堂を出て行く。


「メンバーか……」


 配られた冊子とメンバー表を見つめ、リンカは小さくため息をついた。

 〝塔の儀礼(サンスクリット)〟まであと三ヶ月弱。今月中に巡るチームのメンバーを決め、その後、日程を調整して学校の最終確認があった。

 メンバー選びは術式や〝塔〟の位置に大きく左右されるので仲の良い友達と行くわけにもいかないが、リンカたちの術式は一人を除いて比較的に近い場所に集まっていた。

 この町から一番近いのはキキコで、次にユウトとリンカだ。リクは大陸の東側――横断することになるが〝塔の儀礼(サンスクリット)〟が行いやすいように〝塔〟同士は鉄道が繋がっているので、一緒に行くことに問題はない。六月から十二月まで――半年という長い期間が設定されるのも、じっくりと技術の研磨や交流が出来るように考慮されているからだ。


(……〝全塔巡り〟、ね)


 数年前、実際にそれを行った先輩たちもいるので不可能ではない。

 ただ、キキコにリク、出来ればユウトも――と考えていた頃には、全塔を巡ろうとは欠片も思っていなかった。


「リン、キキ」


 通路を歩く人ごみの中から、ユウトとリクが現れた。


「これからどうする? 僕らは遊びに行くけど」

「ごめん。私たちはいいわ。先輩たちと訓練するから」

「そうなんだ。じゃ、僕らは行くね」

 

 外に出ようとする人の流れに二人が消えたのを確認して、リンカはキキコに振り返った。


「さてと。行こうか」

「うん」


 リンカとキキコも講堂を後にした。

 これから授業はないので、放課後だ。二人の行き先は体育館ではなく、あの人けのない公園だ。最近は師事を受けている先輩たちのゼミには出ず、ユリナとヒサキと一緒に〝隠過(ペルメア)〟の特訓をしていた。

 ユリナとハルノの言葉に背を押されて訓練を重ねているが、まだ完成まではほど遠かった。


「申請の提出まで、あと一ヶ月しかないし、がんばらないと」

「でも、間に合うかな?」

「それは分からないけど、やるだけやってみるしかないよ」

「……うん。そうだね」


 まだ、ユウトの誘いに頷く資格が――自分勝手に決めた覚悟、自信がない。

 せめて、負担にならないように自分の実力を磨きたい。


「がんばろ。キキ!」

「うん!」


 リンカとキキコは足早に公園を目指した。




          ***




「……はぁ」


 聞く方が滅入るようなため息を聞かされ、リクは片眉を上げた。


「辛気臭い」

「………ごめん」


 こちらに視線をよこして謝るが、「……はぁ」とまたため息をついた。


(………うるさいな)


 リンカとキキコに〝全塔巡り〟の話をしてからコレだ。

 リクは視線を教室内に向け、他に誰もいないことを確認した。遊びに行く予定だったが、リンカとキキコにすげなく断わられてしまい、なんとなく行く気がなくなって教室で暇を潰すことになったのだ。

 あれから、リンカとキキコから微妙に距離をとられている気はする。


(〝全塔巡り〟がきっかけだろうけど……何を考えているだ?)


 リンカの性格ならすぐに了承すると思っていた。リンカがユウトに少なからず、明らかに好意を抱いているのは、周知のことだ。

 家のことで二の足を踏んでいるのだと思うが――。


(とりあえず、こっちをどうにかするか……)


 ユウトはどんよりとした空気を放ちながらも、丁寧に紙を織っていく。慣れなのだろう。綺麗に織られ、より白さを増していく折り鶴――〝練紙れんし〟をおいたユウトは、頬杖をついて窓の外へと目を向けた。

 仕方ないな、と呆れ、リクは〝紙ヒコウキ〟を折り終えたところで声をかけた。


「後悔するぐらいなら、言わなければよかったのに」

「言わないわけにはいかないって。………一緒には、行きたいんだ」


 ただ、彼女たちにも師事を仰ぐ先輩たちがいる。

 それを無視して、〝全塔巡り〟という数年に一度しか行わないものを提案したのだ。旅の危険性を踏まえて言ったとはいえ、果たして誘ったのが良かったのかと後悔しているのがバレバレだ。


「……確信犯のクセに」


 ユウトは顔をしかめ、次の紙を織り出した。

 無言で鶴を織るユウトに目を細める。

 ユウトがリンカやキキコと〝塔の儀礼(サンスクリット)〟をしたいということは分かる。

 〝塔〟に縛られる《護の一族》が大陸を旅できる数少ない機会だ。六年生は案内役であるため、日程調整やチームの管理もあるので、四年生全体に流れるイベント気分ではないだろう。

 ただ、それだけでなく、ユウトから聞いたある事・・・に不安が募っていた。

 無理にでもついて行かなければならないような焦りが、リクを決意させた。


「俺は一緒に行くからな」

「リク……」


 ユウトは目を細めた。

 感情が抑えられた――消えた青い瞳から何かを感じて、ごくり、と生ツバを呑み込む。

 ユウトの《一族》としての顔だ。リクがその顔を見たのは三度目だった。リンカやキキコは見たことはないはずだ。

 リクが知ったのは偶然だ。一年半前、知らせずにこの町に戻っていたユウトと会い、知ってしまった。あの姉弟が抱えているものを――。

 高まっていくユウトの気にピリピリと肌が痛い。気圧されながら、リクは真っ直ぐにその瞳を見返した。


「〝全塔巡り〟をすれば危険が高くなることも、僕と一緒に行く意味も踏まえて?」

「当たり前だ。何年の付き合いと思う? それに誘ったのはそっちだろ」

「……それはそうだけど」


 嬉しさと不安が混じった声に、リクは笑った。


「自分の身は自分で守る。兄貴に鍛えられているから、逃げ足は速い」

「………一緒に行きたくないわけじゃない」


 視線を〝鶴〟に落とし、ユウトは目元を歪めた。


「ただ、僕は―――」


 ユウトの手の平で白く輝く〝鶴〟が、



―――ふっ、



と。一瞬で漆黒に染まった・・・・・・・

 艶やかな闇を纏った〝練紙〟。


(―――っ?!)


 それを視て、リクは本能的な畏怖が沸き起こった。震えそうになる唇を噛みしめ、真っ直ぐにユウトを見返した。


「まだ、足りないようで怖いんだ……」


 リクはユウトが帰ってきてすぐに〝塔の儀礼(サンスクリット)〟のことを相談された。

 全ての〝塔〟をヒサキとユリナと一緒に回りたい、と。

 そして、危険性を踏まえたうえで、一緒に行かないか、と誘われた。

 誘われるとは思ってもみなかったので、リクは返事をすることができなかった。

 《護の一族》としての覚悟と、誘うことへの不安を抱えた瞳に絶句してしまった。

 ユウトとリクたちの実力には、大きな差がある。ユウトはいわばセミプロだ。《護の一族》として鍛えられ、技を研磨してきた。

 ユウトが一緒に行くことを迷う理由は、ユウトに降りかかった厄介事に巻き込んでしまうことを恐れているからだ。

 あの日・・・から、ユウトは自分のせいで誰かが傷つくことを極度に恐れていた。

 リクは大きく息を吸い、息を吐いた。重くなった空気を――漆黒に染まる〝練紙〟の存在感を振り払う。


「君は気負いすぎだ」


 あえて明るい声を出すと、「え?」とユウトは目を丸くした。


「そもそも、俺はヒサキさんと行くつもりだったんだ」

「それは、そうだけど……」


 誘っておきながら、戸惑ったように目を泳がせるユウト。


(……全く。へタレは直ってないな)


 《傀儡師(パペット)》としての技量は高くなり、その考え方も頑固さが増している。

 だが、根は変わっていない。


「背負い込み過ぎるなよ」

「!」

「その〝塔巡礼(サンクラン)〟も俺たちのことも………」


 ユウトは怪訝そうに眉をひそめた。


「君が《護の一族》として〝塔巡礼(サンクラン)〟をやり遂げようとする覚悟は分かる。………けど、これは〝塔の儀礼(サンスクリット)〟でもあるんだ」

「………!」

「半年間も気を張り詰め続けたら、身体がもたない。………なら、友達と旅をして、気を紛らわせてもいいんじゃないか?」


 ぐっ、とユウトが息を詰めたのを見て、リクは立ち上がった。


「それと、絶対リンカとキキコも一緒に行くぞ」

「!?」

「それまでに覚悟しておけよ」


 はっと顔を上げたユウトに嗤い、その手から黒い〝鶴〟を取り上げてポケットに入れた。


「リク!」


 背中にかかる声を手で振り払い、教室を出て人気のない廊下を歩く。


(………あっちはユリナさんたちが行くかな)


 体育館での模擬戦にヒサキが来ていたのなら、ユリナもいたに違いない。あの人なら、リンカとキキコのところに行くだろう。わざわざ、危険を承知でユウトについていくのだ。


(………世話が焼ける)


 ため息をついて、そっとポケットから〝鶴〟を取り出した。


「これか……」


 漆黒の〝鶴〟。

 〝天眼通(ルガルデ)〟で視る必要はない。触れた指先から、じわり、と熱としてその密度を感じていた。

 かすかに震える手で軽く〝練紙〟を握り締め、これかと思った。これがユウトの覚悟だ。


「………っ」


 リクは唇を噛みしめ、〝練紙〟をポケットに入れた。




         ***




 あの日のことは、今でも夢で見る。

 目が覚めて瞼を開くと、覗き込んでいた青い瞳と目が合った。靄がかかったようにぼぅっ、とした頭で、青く澄んだ瞳を見つめる。瞬きをすると、ふいにその瞳が潤んだ。


「…………ユー………姉ぇ?」


 涙で潤む瞳はとても綺麗だ。涙は溢れることはなく、瞳をより一層に光らせていた。

 はっきりとしない頭で、どうして姉が今にも泣きそうな顔をしているのか考えていたが、


「………ユウ、ト」


震える姉の声に目を見開いた。姉が自分に弱さを見せるなんて珍しいことだった。


「ユー姉? どう、したの……?」


 何故、声がかすれているのか分からない。唇を湿らせ、生唾を呑み込む。そういえば、いつベッドに横になったのだろう。


「―――っ!」


 一瞬、姉の顔が歪んだ。止めきれなかった涙が頬を流れ、布団に落ちた。その唇が震えて、何かを堪えるように噛み締められたのが見えた。

 次の瞬間、気がつけば強く抱きしめられていた。


「……え?」


 身体に力が入らずに姉に身を任せると、姉の身体から強い抱擁と共に震えを感じた。背後から、声を押し殺して泣く声を聞いた。


「……ユー姉?」


 どうして泣いているのか、全く分からない。姉が泣く姿は、初めて見た。

 困惑しながらも力が入りにくい腕を上げて、泣いている姉の背をさすった。


「ヒサ兄……?」


 視線を感じて部屋の中に目を向けると、ひっそりと佇むヒサキがいた。


「………ユウト」


 ヒサキも泣き顔と嬉しさが織り交じったような顔をしていた。瞳は赤く、泣いている。


「ヒサ兄……っ?!」


 ヒサキまで泣いていることに驚き、目を見開いた。ヒサキはいつも表情に乏しく、怒るところも泣いたところも見たことがなかった。


「ど、どう……したの?」


 二人が泣いているという事実に、ユウトは混乱した。全く、状況が理解できない。


「……覚えて、いないのか?」

「え?」


 少し震えているヒサキの声に、ぽかん、とユウトはヒサキを見返した。


「俺たちが〝練紙〟を練習していた時……一人で勝手に〝練気〟を練り上げたんだ。それで――」


 そこで、ヒサキは言葉を切った。


「練習に……ついていって……?」


 思い出した。

 意識が途切れる前のことだ。

 精成回路が出来上がってきたユリナとヒサキは〝練気〟を練り、内々で術式も選定して隠れるように練習をしていた。

 ユウトは二人の練習についていき、見学をするのが日課だった。

 そして、姉とヒサキの動きを真似て、〝練紙〟を織り――全てが、闇に染まった。

 〝紙〟も、手も、腕も、意識も――そしてあの時、声を聞いたのだ。

 自分の声でありながら、全く別人の声。

 姉の背中から眼前に右手を掲げれば、



―――じわりっ、



と。指先から墨が滲み出た。それは一瞬で右手を覆い、手首、腕へと伝っていく。


「――っ! ああああああぁぁぁぁぁぁっ!」






「ユウトっ!」


「っ!」


 肩を揺さぶられ、ユウトは目を開けた。横たわっている身体。慌てて右手を眼前に掲げると、いつもと変わらない肌色が見えた。闇に染まっていない。


「―――はぁっ……はっ」


 荒くなった呼吸で息が苦しく、胸元をかきむしる。


「ユウト。しっかりしなさい」


 ユウトは心配そうに顔を覗き込む母親に焦点を当てた。その手が、胸元を握る右手に重なった。温かく優しい手に呼吸が落ち着いてくる。


「大丈夫よ。落ち着いて……」

「……母、さん」


 ユウトはその手を握りしめ、目を閉じて深呼吸をした。


(そうだ。夢だ……)


 調整する時によく見る夢だった。

 過去の記憶が、調整に触発されて思い出してしまうだけのもの。意味はない。

 ユウトは呼吸が落ち着いたところで目を開けた。


「もう大丈夫。……ありがとう」

「……そう?」


 母親は小首を傾げたが、手を離した。

 ユウトは身を起こし、大きく息を吐いた。横たわっているのは調整機――流線型のポッドで、中をくり貫いて人一人が入れる穴があり、いくつかのコードが取り付けられていた。一部は床に埋まり、残りは部屋の一角にある機器に繋がっている。


「珍しいな。アレを見るなんて」

「………」


 からかう声に視線を投げると、機器の前に立つジュリがいた。いつもの無表情だが、わずかに口元に笑みが浮かんでいる。


「……結果は?」


 ジュリの言葉を無視して、ユウトは固い声で尋ねた。

 表情を消した息子に、母親は小さくため息をついた。

 《一族》内ではユウトとジュリの犬猿の仲は有名だ。


「順調だよ。これなら問題ないだろう」

「そうか……」

「そうか、じゃないわ。ちゃんとお礼をいいなさい」

「………それが《カベル》の仕事だよ」


 ユウトは顔をそむけた。

 母親が来る前に行った調整ではあの夢を見なかったが、肉親が傍にいるとコレだ。弱さなのだろう。

 ジュリに弱みを見せるのが嫌だった。

 ジュリは〝塔〟の管理システム――《カベル》の外部補助個体の統率個体(マスター)だ。

 全ての〝塔〟に彼女と同じ容姿をした末端がおり、得た情報は全て統率個体(マスター)である彼女に集約されている。その役目は〝塔〟の《管理者》である〝塔の覇者〟の補助だが、〝無の塔(ここ)〟には〝塔の覇者(管理者)〟が存在しないため、ジュリ自ら〝塔〟を管理していた。

 〝序の塔(首都)〟でもそうだったが、何故かジュリと顔を合わせると憎まれ口しか叩けなかった。


「こらっ」

「っ!」


 頭を小突かれた。


「いいよ、キョウコ。いつものことだ」

「結果は首都にも送っておいてくれる?」

「分かっている」


 大人の対応をするジュリ。

 ますます、自分が子どものように思えてきて、ユウトは鼻を鳴らした。ポッドから出て、右手に視線を落とすと、淡い光を放つ紋様が手の平に浮かんでいた。握ったり開いたりと指を動かして違和感がないことを確認していると、光は弱まっていき紋様も消えた。


「キョウコ。〝結晶(ダークマター)〟はどうする? そろそろ溜まってきたけど」

「そうね。……普通なら加工して設置するんだけど」


 二人の視線は部屋の片隅にある石の山向けられた。

 黒曜石のような石は、小さいものは親指ほどから大きいものは拳大まである。ここ数年で溜まった〝塔〟が産む副産物――〝結晶(ダークマター)〟だ。

 〝塔〟が気を操る際に生まれる〝気の屑〟のような物で、〝練気〟を圧縮した〝術具〟と似ている。

 それらは定期的に排出され、術式の効果を宿すので市場に出れば高額で取引が行われるが、この〝塔〟の〝結晶(ダークマター)〟は特殊な物なので市場に出回ることはない。


「お義父さんから何か連絡は?」

「いくつかの装飾品の要望はきている。……ユウト」

「何?」


 内心で、どきり、としながらユウトはジュリに目を向けた。


「十個ほど加工を頼む。大きさは適当でいい」

「………わかった」


 ジュリはあの事・・・を言及するつもりはないのだろう。

 そのことにほっとして、ユウトは素直に従った。

 〝無の塔〟の〝結晶(ダークマター)〟はごく一部の《一族》にしか渡していないので気づかれる心配はないが、告げ口をされれば祖父の雷が落ちるのは目に見えていた。

 ユウトは〝結晶(ダークマター)〟の一つを手に取った。



―――どくんっ、



と。胸の奥、身体の芯で何かが脈動したが、それはすぐに消えてしまう。


「適当っていっても、要望は?」

「……数センチ程度でいい」

「わかった……」


 大小さまざまな十個の〝結晶(ダークマター)〟を持ち、ユウトは部屋の片隅にあるデスクに向かった。

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