Our Wedding Day - 1
オリヴィア・リッチモンドはスプーンより重いものを持ったことがない。
「私、オリヴィア・ジェーン・リッチモンドは……」
しかし今から彼女の夫になる男――ノースウッド伯爵エドモンド・バレット卿は、見るからに長身で逞しい男で、おそらく元は茶色なのだろう髪は、日焼けにより濃い金髪のように見えた。
彼の瞳は深い緑で、この世の機微をすべて見逃しまいと鋭く輝いている。
「汝、エドモンド・バレットを夫とし……」
この台詞が終われば。正確には、名前を入れ替えた同じ台詞を相手も言い終えれば、オリヴィアはもう今までのオリヴィアではなくなる。
オリヴィアの声は、誓いの言葉が進むにつれ緊張でだんだんと弱々しくなっていった。
だって、キスをするのよ。
生まれてはじめてのキスを。
「……病める時も健やかなる時も、死が二人を分かつまで、共に生きることを誓います」
中~近世英国を意識していますが、架空の国と時代のお話です。
目指すところは「全年齢ハーレクイン」。王道ロマンスを突っ走りますが、色っぽいシーンは華麗にスルー予定。
お暇なときにでも気軽に楽しんで頂けたら嬉しいです。
泉野ジュール




