223.アース米栽培マニュアル
「ただいま〜。って、なんや誰も居らんのか」
司書ギルドから直接第二農地へ戻った俺は、珍しく誰も居ない農地に首を傾げる。
(時間的に……っていつの間にか閉門まで2時間切ってたんか。そりゃ少しでもレベル上げる為にフィールド行くわな。う〜ん、ちょっと静かすぎる気もするけど、読書するには丁度ええかもな)
誰も居ない理由に行き着いた俺は、少し寂しく感じながらも【アース米栽培マニュアル】を開いた。
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①概要
アース米:通常の種蒔きでも栽培は可能。だが【苗化】した状態で水耕栽培と呼ばれる農法で育てる事で、収穫出来るアイテム名が【アース米+】に変化する。
これは沼地や水源の多いアース周辺の土地に適合した為ではないかと、植物学者『ナホイ博士』は提唱している。
②栽培方法
A:通常の手順
他の作物と同様に、【耕す】→【種蒔き】→【水撒き】(【肥料散布】)→【収穫】の手順で行う。
※1地区あたり10粒まで蒔く事が可能。収穫可能になるまでに22時間必要。
B:水耕栽培
水耕施設(通常農地5地区分)にて栽培。
アース米の種に【苗化】のアーツを使用し、アース米の苗を作成→水耕施設に【苗植え】(【肥料散布】)→「収穫】の手順で行う。
※水耕施設1つあたり25本の苗を植える事が可能。収穫可能になるまで通常と同じく22時間必要。
③栽培に使用する魔道具・スキル&アーツ
A:魔道具
収穫鎌:収穫時に使用可能。【収穫】スキルレベル+1
脱穀機:【アース米】及び【アース米+】に使用可能。【脱穀】スキルレベル+1
B:スキル&アーツ
【苗化】消費MP5 ※スキルレベルx2粒使用可能
1部の種を苗の状態に変化させる。
【脱穀】消費ST5 ※スキルレベルx5個を対象に使用可能。【アース米】及び【アース米+】に使用する事で、アイテムを変質させる。
④その他
栽培者が【ダック】系の魔物をテイムしている場合、水耕施設で放し飼いをする事で収穫量が微増する。
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(エゲツないボリューム過ぎて笑えてくるな。どれを取っても有用な情報ばっかりやし、全部まとめたら1枚じゃ絶対足らんやろ)
2種類の栽培方法にアースの町付近の地理情報。そして新しい施設・農具・スキル・アーツに加えて、ダック系(鴨?)のテイムでの収穫アップの裏技まで、1冊の資料の割には盛り沢山な内容に圧巻される。
(特にアース周辺の情報。他のは予想してたけど、これは完全に不意打ち喰らったわ。というか水源や沼地が多いって、地球が水の惑星って呼ばれてるから、そういう設定にしたんか?それなら水耕メインの米がアースで手に入るのも納得いくけど)
色々と考察・妄想を交えながらも順序立てて要点を書き記していく。その結果、15分程で【アース米栽培マニュアル】の要約資料を仕上げる事が出来た。
(ふぅ〜、書きすぎて右手攣りそうや。でも、おかげで要約完了!また一歩アース米栽培に向けて前進前進やな!)
農作業で疲れた体を休めるつもりで始めた読書だったのだが、逆に右腕にダメージを負ってしまう。だが、その痛さも達成感の前には些細なこと。俺は右手をブラブラと振りながら高揚感に浸った。
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どれくらいぼ〜っとしていただろう。緊張の糸が切れてしまい動くキッカケがないまま、只々だら〜と安楽椅子の揺れを楽しんでいた。
(そろそろ動かなあかんのに、全く動きたいと思えん。いっその事日が変わるまでサブスクでも楽しむか?……って、あれ?誰か戻って来たな)
このまま満腹度開始まで退廃的に過ごそうか?そう考えていた時、視線の先に転移の光が瞬く。
「戻ったぞ〜。って、ソーイチ1人か」
「おかえりユサタク。もうレベル上げは終わりか?」
「気分転換にちょっとだけだったしな。それより頼んでた本は見つかったのか?」
「ああ、無事ゲット出来たし、作物の方は要約資料も作っといたで」
帰還して早々に注文の本を手に入れたか確認するユサタクに、俺は2冊の本と要約資料を見えるように持ち上げる。
「流石ソーイチ、無事に見つけ出してくれたのか。ありがとう」
「どういたしまして。で、資料は今見るんか?」
「いや、モチョが帰ってきてから読ませて貰うから、クラン倉庫に入れといてくれ」
「あっ、その前に複製するわ。【5枚刷り】……これで良し!とりあえずオリジナル込みで6枚入れとくわ」
「ああ、ありがとう」
俺は完成したばかりの資料をクラン倉庫へと放り込んだ。その後は読書中に回復した分で畑仕事をしながら、今日一日でやり切った事についてお互い話していく。
「……ってな感じで、今に至るって訳や」
「なるほどな。8時間の畑仕事やワールドアナウンス。その後は未来に繋がる良書を借りて読書か。中々に充実した1日じゃないか」
「ああ。スローライフっぽくて、ええやろ?」
「ふっ、確かにな。ところで話の流れに依頼納品が出てこないが、ちゃんとやってるよな?その為に頑張って来たんだもんな」
「ええ!?……あ゛あ゛あ゛!!?!?収穫だけで満足して、種も作物も何一つ納品全然出来てない!」
「あちゃ〜。またド忘れかよ……」
ユサタクの疑問から、またしても致命的なド忘れが発覚してしまうのであった。
次回は明日か明後日の午前6時に更新予定です。
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