219.学校の思い出と新兵器
アース米隠蔽の為の果樹園増設。大量の農地や費用が掛かる議題であったが、モチョと仲間達の後押しのおかげで、想像以上に早く採用される事が決まった。
ゼロ:僕の案が採用されたのは喜ばしいのですが、こんなギャグみたいな展開で決まるとは思いませんでしたよ。
ソーイチ:話始める前は、お金の運用とかめっちゃ気にしてたのになw
ベイクドモチョチョ:ふふ〜ん。食欲と嗜好品は全てを解決するのです!
ソーイチ:ははは、確かにな。俺の作品だって嗜好品やし、モチョの発言に大賛成や。
ゼロ:はぁ〜。プロゲーマーもそうですし、納得する事にしますよ。
少しだけ納得がいってなさそうなゼロだったが、自信満々なモチョや同調する俺を見て自分なりに納得したようだ。
アマネ:みなさん、ブラインド戦略を可視化した地図と、果樹園変更手続きが必要なメンバーが決定しました。
アマネ:第二農地の倉庫前のテーブルに資料を置いてるので、各自確認しておいてください。
ソーイチ:は〜い。
アマネからブラインド戦略を可視化した資料の完成を伝えられたので、俺とモチョは受け取りに行く。
ソーイチ:記号を駆使してるとはいえ、結構詳細に書いてるんやね
ベイクドモチョチョ:そ〜ですね。外周のキノコ小屋や通常の栽培スペース・目隠し用の果樹園に隠された田んぼ。うん、イメージした通りの地図です。
アマネ:イメージ共有の明確化はクラン単位の策略で一番大切ですからね。
アマネ:誤解が起きないよう、慎重に書き上げましたよ。
自信満々に胸を張るアマネ。その様子を微笑ましく思いながら地図を眺めていると、ふと学生時代に習ったエピソードを思い出した。
ソーイチ:う〜ん、森で隠された田んぼか。なんか昔の授業を思い出すなぁ。
ゼロ:授業ですか?
ソーイチ:ああ、習わんかった?租税逃れの為に、帳簿に載せてない田畑を山間部とかに隠し持つってやつ
ソーイチ:確か隠田って言うんやっけか?
アマネ:ああ〜、懐かしい!そんなのありましたね。
セキライ:歴史マンガで役人が森の中から隠田を見つけ出すシーンとか見た気がするっす!
ソーイチ:そんなシーンあったなぁ!歴史マンガ、小中と読み込みまくってたわ。
フワフワ:学校の図書館に置いてるマンガなんて読むに決まってますしね〜。
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思ったままに発言したのだが、想像以上に共感されてしまう。その後はコール内では学生時代あるあるで話が大盛り上がりだった。
ソーイチ:ふぅ、我ながら灰色の学生時代を送ってたと思ってたのに、こんなに盛り上がるとはなぁ。
ユサタク:まあ、今回恋バナはしなかったしな。
ソーイチ:うっ!?お前それは言うなよ……。
ユサタク:ははは、すまんすまん。
ソーイチ:ま、まあええわ。雑談モードになって来たし、俺は抜けるで。
モチョ:ははは、傷付いてますねぇ〜。でも私も肥料を量産しなきゃなので抜けます。
ユサタク:そうだな。ログアウト時間迫ってるし、ミーティングは終わりにするか。
セキライ:了解っす!
こうしてアース米の情報共有から突発的に始まったミーティングは1時間程で終了した。
「さて、モチョ。肥料撒きたいからあるだけ全部持って来て」
「は〜い。倉庫に入れっぱなのですぐにお持ちします。ソーイチさんは先にアーツの使用場所に向かっててください」
「おう」
俺はモチョが肥料を取り出している間、言われた通り肥料と水撒きがまだな区域へと歩いていった。
「お待たせしました。こちら肥料100個です」
「ありがとう、モチョ。せっかくやから新兵器見てっては」
「新兵器?面白そうですね」
期待するモチョの視線を背に受けながら、俺はインベントリーから魔道具を取り出す。
「え〜と、変なギミックが付いててわかりにくいですけど、これってジョウロですか?」
「正解!これはな、後ろのケースに肥料をセットしたら、一度のアーツで水撒きと肥料散布を同時にできる最新兵器、その名も【デュアルファーマーMH】や」
「あ、デュアルシリーズだったんですね。錬金や料理でも2つの作業が出来る魔道具ありますよ」
「なんや、似たような道具を知ってたんか」
「まあ、1回で2つ分作業ができるってコンセプトは何にでも応用効きますしね」
「確かにそうか。まあサプライズにはならんかったけど、とりあえず使い心地試すか」
俺はジョウロの取手の上部分にあるケースに肥料を10個分流し込む。その後は通常と同じ手順でアーツを放ってみた。
「おっ、ジョウロが光って……あとは普通の水撒きと同じやな」
「いやいやいや、水の色おかしいでしょ!?なんで透明な水に白い粉状の肥料を加えたら、緑色の液体になるんですか!?」
「マジか。【心眼(序)】使いっぱなしやから気付けんかったわ」
ドン引きのモチョの発言に驚いた俺は、心眼をオフにして再度アーツを放つ。すると本当にジョウロから緑色の液体が畑へと撒かれていた。
「うわぁ〜、苔混じりの水っぽくて気味悪いなぁ。これ撒いてええやつなん?」
「私に言われても知りませんよ……。まぁギルドで販売されてたアイテムですし大丈夫でしょ」
「まあ、確かにそうやな。落ちる時間迫ってるし、この謎は胸に仕舞って、STとMP使い切ろかな」
「ええ、それが良いと思いますよ」
この世界にはまだまだわからない事が多すぎる。俺はそんな驚きに胸を躍らせながら、ログアウトの直前まで【水撒き】や【種化】のアーツを放ちまくるのであった。
次回は明日か明後日の午前6時に更新予定です。
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