191.ラウンジの調査と冒険の準備

小冊子をまとめた後、ラウンジで俺が冒険者達と酒を酌み交わし交流を深めている妄想をしていた時、ふとある事に気付く。

「俺含めた上位陣が到達したタイミングが、満腹度実装のリアル10時間前。本実装の頃にはもう少しDランクプレイヤーは増えてると予想できる。そのタイミングで食事可能な交流場所が開放されるってのは、便利というか運営が想定した通りのルートを辿ってるって感じやな」

今から満腹度実装までゲーム内時間で3日と少し。それくらいの時間があれば、3割くらいのプレイヤーはDランクへと昇格するだろう。

そんなタイミングで利用可能になるのが交流や情報の宝庫のカフェや酒場。この施設はバフ料理しか口にしないプレイヤーにまともな食事を取らせる良いきっかけになりそうではある。

(これ実装までに、全店舗の雰囲気やメニュー・価格帯をまとめてレポート書いたら、売れるんじゃね？1人では無理かもしれんがウチと【オモイカネ】の共同で調べたらなんとか間に合うかもしれんし)

人々の娯楽がテレビからネット、更にVR世界に移り変わっても食事系は一線級の娯楽のままだ。しかも冒険の合間にランチやディナーを、ギルド系列店で食べるだけで取材ができる。

俺は早速クランコールにアイデアを投げかけると、

ベイクドモチョチョ：やる！やります！！やりましょう！！！

と、クランNo.1の食いしん坊のモチョが喰い付いた。

ユサタク：おいおいソーイチ、モチョの目が血走るような案は辞めてくれ……。

ソーイチ：流石にこのレベルの反応は読めんて。

ベイクドモチョチョ：なんですか！？私が食欲だけで喰い付いたっていうんですか！？

ユサタク：うん

ソーイチ：違うんか？

ベイクドモチョチョ：違いません……。それでも冒険の合間に取材できる上に、各施設の利用者などを先んじて知れるのはデカいと思いませんか？

ユサタク：確かに施設の店員や利用する冒険者に顔を売るって意味でもアリだな。だがモチョ、重要な問題があるのに気付いてるか？

ベイクドモチョチョ：問題？な、なにがあるっていうんですか……？

ユサタク：お前Dランクになってないから利用出来ないだろ？

ベイクドモチョチョ：！？！？！？

ソーイチ：そりゃ施設利用はまだ無理やなw

ベイクドモチョチョ：でもポイントは残り少しですし？今から頑張ってランチまでにDに上がってやりますよ！

ユサタク：ああ、頑張ってくれ。じゃないと俺たちD到達組が先に調べ尽くすかもしれんからな

ベイクドモチョチョ：そ、そんな〜〜。絶対に達成しますから〜。

ソーイチ：あははははは！ファイトやで。

そんなドタバタはありつつ、今後はラウンジの取材をしていく事が決まった。

・

・

・

(さて今後の目標も決まったし、調査開始まで1時間切った。そろそろ調査隊に同行する時のジョブ構成、考えなあかんな)

多くの経験値獲得が見込める今回の調査隊。必要スキルさえセットしていれば何でも良いポジションの俺は、どのジョブで挑めば良いのか改めて考える。

(1セットだけに集中するのもありやけど、休憩時間の度に変更してバランス良く育てるのも捨てがたい。特に【司書】【農家】【付与魔術師】は特殊ジョブの基礎になるからなぁ。って【見習い木こり】も上げなあかんし……。ああ〜！悩ましい！)

本来はもう少し早めに考えるのが筋であるのだが、現実ではネタの書き留め、インしてからは朝のルーティンに記念撮影・Dランクの把握にラウンジ取材など、やる事や浮かぶアイデアが多すぎたのが仇となった。

それでもなんとか頭を捻り、考え抜いた集大成が以下のジョブ構成になる。

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

① 調査隊①（メインJob：司書　サブJob：付与魔術師）

メインスキル（9/11）メモLv10(M)/インタビューLv1/スキャンLv7/心眼(序)Lv6/魔力付与Lv3/待機Lv6/瞑想Lv7/休憩Lv6 /大陸語Lv8

②調査隊②（メインJob：記者　サブJob：見習い木こり）

メインスキル（11/11）メモLv10(M)/インタビューLv1/スキャンLv7/心眼(序)Lv6/魔力付与Lv3/待機Lv6/瞑想Lv7/休憩Lv6 /大陸語Lv8/伐採Lv1/苗植えLv1

③調査隊③（メインJob：見習い文武両道　サブジョブ：農家)

メインスキル（10/11）メモLv10(M)/インタビューLv1/スキャンLv7/心眼(序)Lv6/魔力付与Lv3/待機Lv6/瞑想Lv7/休憩Lv6 /大陸語Lv8/剪定Lv1

①②③共通　称号：不死身　　クラン称号：地主連合

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

まず、スキルは最低限必要な【メモ】【インタビュー】【スキャン】【魔力付与】【大陸語】の5つに加え、回復系の【心眼(序)】【待機】【瞑想】【休憩】の4つは共通でセット。残りはジョブにあったものをセットした。

次にメイン・サブジョブの組み合わせだが、ファーストアタックでは、現状選択できる1番ステータスの高いジョブで運用し、様子見を行う。そして12時と15時の休憩のタイミングで、難易度や1回の遠征辺りの獲得経験値を踏まえて②③へジョブを組み変えていく予定だ。

それに加えて称号を【不死身】にする事で、イレギュラーな事故に備えるつもりだ。

(我ながら完璧な組み合わせやな！上げたいジョブは満遍なく上げる事出来そうやし、数十分で考えたとは思えん出来や。そんで残りの枠はキャラレベルが上がって全回復した後の休憩時、それを消費する為に前設定した【司書】モードと【農家】モードのアレンジ版を活用でオーケーやな)

内心で自画自賛をしながらも全ての準備が整った俺は、集合時間が来るまで畑仕事やプレゼント用のサイン作り・持っていくアイテムの選定などで時間を潰すのであった。