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ミックスジョブオンライン〜ラノベ作家はネタ集めの為賞金付きVRMMOに不遇職で挑む  作者: モトマル
4月2日② 目指せ【開拓者】

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188.失意からのネタ作りと【ビジョンスキャン】

モグモグ モグモグ


失意の中ログアウトした俺は、数時間前に作っておいたカレードリアを無言で食べる。


(あかん。思ってた以上にダメージ受けてるな。元々忘れっぽい性格なのは自分でも把握してたけど、ここまで連チャンでミスるのはマジで久々やな……。

って、あかん!!作品作りの為にゲームやってんのに落ち込むだけとか勿体なさすぎ!この悲しみが残ってる内に全部心情書き留めな。って!?!?)

「熱っ!!」


負の方面とはいえ大きな感情の揺らぎを観測出来るのは、ある種の収穫でもある。その情動が消え去る前にノートに書き記そうと夕食を食べるペース上げるも、熱々のチーズで口内を火傷。更なるミスを重ねてしまう。


(これでミス4つ目……。でもそれが良い!これでこそやらかすキャラのリアルな心情に迫れるってもんや!)


失敗続きで落ち込む自分と、ネタを手に入れ喜ぶ自分。相反する2つの感情をペンに宿らせ、凄い勢いでネタ帳に書き留めていった。

ピピピッ ピピピッ

「うお、もうこんな時間か!ほんの10分くらいで仕上げるつもりが予想以上に掛かってしもたな」


最初はあるがままに心情を書き留めるだけのつもりだったのだが、いつの間にかキャラクターに仕上げて1本の2,000文字ほどのショートストーリー執筆と、アラームが鳴り響くまで一度も手が止まる事は無かった。

【陽の月2週目、海の日】【4月2日21:40】


「おはよう、ソーイチ」

「うぉ!待ち構えとったんか!?」


ログインをして小屋から出た途端にユサタクから声をかけられて、少し驚く。


「落ちる前の様子がアレだっただろ?メンタル回復したのか気になってな」

「それは心配してくれてありがとう。こっちは美味しい飯食べて悲しみをネタに昇華させたから、なんとか元通りって感じやな」


「いつも通りの立ち直り方だな。安心したよ」

「というか落ち込んだ時のパターンは知ってるはずやろ?それを敢えて聞くとか、リーダーとしてはメンバーのメンタルケアは仕事の内ってやつ?」

「まぁ、それもあるな。だが、それ以上にモチョ達が心配してたから安心させる為だな」


「マジか。お前以外に気付かれるレベルで顔に出てたん?」

「まあゲームのアバターって感情のメリハリが強調されたりするし、そのせいじゃないか?」

「そういうもんか。とりあえず、もう大丈夫やって書き込んどこ」


俺は宣言通りクランコールを開きメッセージを書き込む。するとみんなから暖かいメッセージがたくさん返ってきた。


「ちょっと凹んでただけやのに、心配や安心コールがこんなに!マジで、このクランのメンバーはみんな良い子やな」

「当然だろ?なんてったって俺の仲間だからな」


俺の感想に、ユサタクは自慢げに笑いながら胸を張る。


「さてと、元気になったって報告は済んだし、お次は朝のルーティン作業と洒落込みますかね」

「そうか。ちなみに開門前だから木こりは無理だぞ」

「流石に把握してるわ。でも忠告ありがとうな」


全回復したSTを【見習い木こり】のレベルアップに費やしたい気持ちもあるが、流石に開門までSTを余すのは勿体なさ過ぎる。俺は従来通り、畑仕事と要約新聞の作成をこなしていった。

「はい、これ今日の見本。また作業室使わせてくれてありがとうな」

「社長からの許可出てるしお礼はいいよ。それより【ビジョンスキャン】覚えたって本当?」


作業室のデュアルグローブ目的にノア・タイムスに訪れた俺は、帰る前にコビーに見本を手渡す。すると、普段とは違う雰囲気の彼から【ビジョンスキャン】について尋ねられた。


「ああ。今日のお仕事前までに覚えたらボーナスポイント付くって言うから、昨日頑張って覚えたわ」

「おお、それはおめでとう。で、使い心地はどうだった?」

「いや覚えたん、昨日の夜やったし、まだ使ってないわ」

「ええ!?【ビジョンスキャン】覚えたのに使わない!?なんで!?」


俺の返答を聞いたコビーは普段の彼から想像できないほど声を上げて驚く。


「えっ、このアーツってそんなに使いたくなるやつなん!」

「そりゃそうだよ!【ビジョンスキャン】を使える。それだけで人生が変わるスキルなのに……。って、ソーイチ達は似たような能力あるんだったね」


「スクリーンショットって能力が似てるな。でもこの世界の住民と映像を共有できへんから、【ビジョンスキャン】ほど優秀じゃないけど」

「1人で楽しむには充分じゃないか。良いなぁ〜。僕も頑張って【スキャン】のレベル上げてるけど、まだ覚えれてないんだもん」


本当に写真的なものが好きなのだろう。たった数分でコロコロと表情が変わっている。


「はぁ〜、僕らには関係ないスクリーンショットってアーツは忘れるよう。それより問題は【ビジョンスキャン】だよ。あれは仕事では食いっぱぐれのない良いアーツだし、プライベートでも綺麗な景色や家族の姿を残せたりと生活を豊かにするアーツなんだよ?もう想像するだけでウキウキするし、僕が覚えたら色々と使いまくるんだけどなぁ」


「ふ〜ん。確かに綺麗な風景撮るの面白そうやし、段々アーツの試し撃ちしたくなってきたな。どうや?映えある1回目、コビーを撮ったろか?」

「それはダメ!1枚目は大切な人を撮るのが決まりなんだ。だから君の場合はクランの仲間達と一緒に取るべきだ!」

喜ぶかと思って提案したのだが、彼なりのルールがあるのか強く拒否してきた。


「な、なるほど。じゃあ今日の仕事前に集まって撮ってくるわ」

「それが良いよ。開門した後だとみんな冒険に行っちゃうし、その前に早くホーム戻るんだ」

「あ、ああ。これで失礼するわ」


コビーからの圧や試し撃ちのワクワク感に後押しされ、俺はみんなを撮りにホームへと戻るのだった。


次回は12月12日(金)午前6時に更新予定です。


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今後とも本作をよろしくお願いします。

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