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ミックスジョブオンライン〜ラノベ作家はネタ集めの為賞金付きVRMMOに不遇職で挑む  作者: モトマル
4月2日② 目指せ【開拓者】

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183.木こりギルドと農家スキル

「その顔色から察するに、しっかり許して貰えたみたいだな」

「ああ。ギルマスのとこ案内してくれた時点で面談無くなるのは予想してたらしい。というかフレン的にはお土産のお菓子に夢中っぽい感じやったわ」

「そんなに夢中になってくれるなら、作った甲斐がありますね」


フレンと別れホームに戻った後、先程と同じメンバーに差し入れの結果を報告。ついでにギルドマスターとの面談内容も簡単にまとめてクランコールに流しておいた。


「……おい、ソーイチ。コールがヤバい事になってるんだが」

「言い逃げで放置は鬼畜すぎでは?」

「いやいや、俺も詳細に語ろうか悩んだんやけど、この後やる事が詰まりまくりでな。それに皆に関係あるのって、【見習い開拓者】転職だけやろ?」


現在、他のメンバー達からのクレーム対応に追われている2人からジト目で見られるが、俺なりの理屈で反論する。


「言われてみれば調査隊とかは現時点で関係ないか。それならメンバー達とリアルタイムでの質疑応答する意味も薄くなるな」

「ええ〜!ソーイチさんの武勇伝風の物語がまた聞けると思ったのに〜」

「ホンマにモチョはお話が好きやなぁ。また機会があったら話すから我慢しといて」

「ハァ〜。仕方ないですね」


渋るモチョをなんとか宥め透かし、なんとか報告を切り上げる事が出来た。


「ところで【見習い木こり】のレベル上げはどうするつもりだ?期限は1週間と長いが、リアル時間的に明日か明後日には寝るだろ?」

「う〜ん。明日の調査隊を【見習い木こり】で参加したら楽にカンストしそうやけど、伐採無しで見習い卒業は味気ないよな」


「特にやりたい事がないなら、後で【見習い木こり】の探索ツアーに付き合うか?」

「ツアー?何それ?」

「今ウチのクランって【見習い開拓者】の解放の為に【見習い木こり】に就いてる奴が多くてな。数時間毎に伐採パーティーを組んでるんだ」

「私も参加してますよ!」


ユサタクの説明に便乗してぴょんぴょん跳ねながら手を上げるモチョ。


「あれ?集団で行ったら木の取り合いなりそうやけど、そこは大丈夫なん?」

「今更その質問か?……って、まさかお前、転職だけしてジョブギルドの方はスルーしてるな?」


「いや、転職後に即報告行ったの見てたやろ?ジョブギルドに登録する時間無いって」

「言われてみれば移動ばっかりしてましたもんね」

「まぁ、それなら仕方はないか」


転職後の教会やギルドへ行ったり来たりしてるのを思い出したのか納得してくれたようだ。


「で、そこまでジョブギルドを推すって事は、なんか面倒くさい要素あったりするん?」

「面倒かは人によるが、木こり系は少し特殊なんだ。だから1本でも伐採する気があるならギルド登録して、説明も一緒に受けとけよ」

「そこまで言うレベルか……。予定詰まりまくりやけど、まずはそっちに行くか」


こうしてエリートサラリーマンの様に詰まった予定の中から、俺は【木こりギルド】へ登録しに行く事を選択した。

「……はい、登録完了です!只今より当ギルドの機能をご利用頂ける様になりました」

「ありがとうございます。ついでに木こりについて教えて貰えます?」

「ええ。こちらの冊子を見ながら説明しますね」


ギルド登録も4回目となると慣れたものだ。ささっと登録を済ませ、本題の木こりの特徴について伺うと、担当のお姉さんは数ページ程の資料を渡してきた。


「まず、2ページ目のジョブ説明をご覧ください」


=====================================

【見習い木こり】

樹木の伐採・植林に関する行動に補正

経験値補正:木こり系の行動1.5倍、戦闘0、8倍

※サブジョブセット時は、それぞれ数値より0.2ポイントマイナス

=====================================


「まあ、ありがちな内容やな。ただ木こり系の行動って伐採以外にもあるん?」

「いい質問ですね。【木こり】のお仕事は森を管理するお仕事なので、切り取るだけでなく、苗木を植えたり、枝を剪定したりですね。あっ、変わり種ですが果実の収穫も木こり系の行動に含まれますよ」


「へぇ〜。なんか果樹園の管理に似てるな」

「流石渡り人でナンバーワンの豪農だけあって察しがいいですね。実は農業スキルの【苗植え】や【剪定】等は木こり系スキルも兼ねてるんです。既に【見習い木こり】に転職されてるソーイチさんならスキル説明に木こりが追加されてるはずですよ」


俺は言われるがままスキルの詳細を開くと、対応ジョブに木こりが追加されていた。


「さて、ジョブやスキルの説明はこれくらいにしておいて、次は伐採のマナーについてお勉強しましょう」

「マナー?えっと、木を切りすぎないとか?」

「惜しい!正解は木を切り終えた人が次の苗を植えるです」


「ああ、植林も活動のうちって言ってたもんな。でも切り終えた人って言い方変やな。『切ったら植えて下さい』だけでええんとちゃう?」

「そこに気づいちゃいますか!?ソーイチさんって本当に良い生徒ですね!」


作家の本能か些細な表現の違いが気になってしまう。

だが、その指摘を聞いた担当さんは嬉しそうに説明し始める。


「実はアーツを使用した伐採の場合、限界の回数までは木材を獲得しても木がそのまま残るんです」


「なるほど。何回もアーツ使い続けて、やっと切る事が出来るってわけやな」

「その通り!といっても1本につきアーツを使用できるのは1回までですけどね」

「あっ、独り占めは無理な仕様なんや」


1本の木で何人も伐採できたり、1人1回の制約があったり『ゲーム』って感じの設定に、少し違和感を感じなくも無い。だが便利なのには変わらないので、俺は心に折り合いを付けながら、これ以降は話を聞く事だけに集中する事にした。

「これで木こりについての説明を終了します」

「ありがとう、めっちゃ分かりやすい説明やったわ」

「えへへ、こちらこそ聞き上手で助かりました」


マナーやこの世界の伐採の仕様の説明の後もアーツの使い方や、伐採可能な樹木の説明など色々と為になる話が聞く事が出来た。

俺は教師役の担当さんに御礼を言うと、向こうもハニカミながら頷いた。


「さてと、説明は終わりましたが、最後にソーイチさん。スキル、覚えませんか?」

「いきなりやな!?そりゃ覚えれるなら覚えたいけど、今予定詰まってて時間無いんやけど」


優しい先生の顔から急な押し売りモードに入った担当さんに、若干引きながら無理だと伝える。


「ご安心ください。今回覚える【伐採】は、生産職ランクがDランク以上なら、スキルボードでちゃちゃっと覚えれるんですよ!」

「マジか……。でもお高いんでしょ?」


「それが、なっ、なんと!通常ならスキルボードでの習得は2万ゴールド頂く所を、今なら5,000ゴールドでオーケーなんです」

「え、ええ〜〜〜!?」


想定以上の値引き率に思わず通販番組の演者のようにリアクションをするしか無いのであった。


次回は多分12月6日(土)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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