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ミックスジョブオンライン〜ラノベ作家はネタ集めの為賞金付きVRMMOに不遇職で挑む  作者: モトマル
4月2日② 目指せ【開拓者】

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200/216

181.開拓者の相談とマスターの独白

祝!累計200話達成!

ここまで来れたのも、本作に付き合ってくださった皆様のおかげです。これからも頑張りますので、本作をよろしくお願いしますm(_ _)m

「ところでソーイチ君はこの後予定でもあるのかね?」

「そうですね……。【スキャン】のレベルを上げる為に、ノア・タイムスで印刷系の依頼を受けるのは確定として、その前にフレンと面談ですかね?」


報告も終わり、さて帰ろうかとしたタイミングで予定を尋ねてきたラクレスに、思いつくがままに答える。


「フレンと面談?なんだ、デートにでも誘うつもりか?」

「違いますよ……。実はウチのリーダーが就いた【見習い開拓者】と【見習い屯田兵】。あれを大討伐やアースの町を解放する時に活かせないか相談しようと思いまして……」

「ふむ。続けてくれ」


直前までニヤニヤとしたすけべ面から一転、歴戦の戦士の貌に変えたラクレスは続きを促す。


「えっと……ウチのクランリーダーのユサタクが【見習い開拓者】になった際、その能力の凄さに震えました。なんてったって、やり方次第で渡り人の町を作る事も可能なわけですし。でも……」

「その力を行使する為には、我々の許可が必要になってくる。そう言いたいんだね」


「ええ。町の防衛や治安の観点から考えたら当然の規制なのですが、せっかく一番最初に転職出来たのにその力を振るえないとは勿体無い。で、クランで合法的に使える策はないかと考えたのです」

「それが大討伐などでの活用という訳だね?」

「その通りです」


俺の返事を聞いたラクレスは、眉間を解しながら俺の案を咀嚼する様に自身の考えを語る。


「面白い。とても面白い戦略だと私は思う。フィールドに砦を点在させれば、異変が起きれば発見が早まり対処の時間を作れる。また、想定以上に来訪した渡り人達の居場所を作る事も出来そうだ」

「ええ。それにアースの町を解放する際、支援物資や人員を分割して運ぶ為の中継ポイントを作るのも効率的ではないかと思うんです」

「確かにな。だが1人だけじゃ町は作れないぞ?」


否定する様な口振りだが、どこか試す様な表情で話すラクレス。


「そこはご安心下さい。我々【ユーザータクティクス】では、メンバー全員が【見習い開拓者】を目指して現在邁進しております」

「全員!?それは思い切った決断をしたものだな」


「渡り人の成長スピードあってのものではありますけどね。ただ、一番遅れてる私も残すは【見習い木こり】だけになっているので、近日中には実現するかと思います」

「ふむふむ。その計画性と好奇心の混じった行動、私好みだね。それなら君達のクランを試させてくれないかね?」

「試す……ですか!」


「ああ。今から1週間以内に君達のクラン全員が【見習い開拓者】に転職する事が試験だな。で、それが叶えば【開拓者】特有の特別依頼を出す事を約束しよう」

「ええ!?いいんですか!?やります!絶対達成して見せます!」


理想通りの展開に胸を躍らせながら、彼に意気込みを伝える。


「ははは、いい返事だ。では達成できた場合は、フレン君に報告してくれたまえ。君達の力量を測る試験的なものになると思うが、なるべく希望に添う依頼を用意しておくよ」

「ありがとうございます!」


こうして冒険者ギルドへの提案は、想定以上の結果を生み出す事が出来た。

「ふぅ。このお茶美味しいですね」

「ああ、農業ギルドの特別管理区で作られた茶でな。この味が大好きなんだよ」

「名産ってやつですかね。……っと、ソロソロ戻らないと【スキャン】を上げる時間も無くなってしまいます。名残惜しいですが、これで失礼します」


【開拓者】系の相談が終わった後、ラクレスの勧めでお茶をもう1杯ご馳走になる。俺はしっかりとお茶を味わい尽くした後、今度こそ帰る旨を伝えた。


「そうか。今回、ソーイチ君と有意義な話が出来て良かったよ。色々とありがとう」


朗らかに笑いながら右手を差し出すラクレス。意図に気づいた俺はその手を握りしめる。


「こちらこそ、ギルドのトップに直接お話を伺えて助かりました。全員が【見習い開拓者】に転職できた際は、フレンを通して報告しておきます」

「ああ、期待しているよ」


こうして予想以上に盛り上がった会談は、最後に固い握手を交わし終了となった。

【ラクレス視点】


「ふぅ。テイマーギルドと司書ギルドへの根回しと調査隊の人員確保の書類はなんとか終わったな。後は職員に渡すだけだし一休みするか」

ソーイチとの会談後、必要書類を書き上げて1人ため息をつく。


「それにしても新種の発見に【開拓者】の売り込みまで。渡り人というのはみんなソーイチ君の様に面白い人間ばかりなのかね」

先程話し合った青年を思い出し、少し笑う。


「並外れた好奇心に、新しい技術を合法的に使う為の積極性。それに……」


ラクレスは苦笑いしながら、グラスに注がれた、()()()()()()()()()()お茶を飲み干す。


「こんなイかれた色の茶に無反応とは、あいつ【心眼(序)】スキル持ってやがるな。おそらく色メガネは擬態する為にかけてるんだろう」


奇跡のスキルと名高い【心眼】系スキルを持つ事実と、それを隠し切る慎重さに舌を巻く。


「あの様な連中だからこそ、渡り人達は、この世界の救世主にも破壊者にもなり得るのだろうな。願わくば彼らの善性が保たれん事を……」


ラクレスはそう呟き、1人黙祷するのであった。

次回は多分12月4日(木)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
200話達成おめでとうございます! じっくり検証していく所など、話が作り込まれていて面白いです! ギルマスの只者じゃない感じ、素敵ですねー!
流石は海千山千なギルドの頂点。 色々見極めていたか。
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