女神に惚れた人間と、女神が愛した人間と・11
義弟神・エクトが、居候になった。
弟いわく、主神や母神ならともかく、神の欠片がほいほいと天界と下界を行ったり来たりできるわけがない。下界に降りたら、基本、降りっぱなしらしい。
前回は、両親と一緒だったから戻れたのだ。
ということはやっぱりレオナも父神か母神と一緒なら、天界に戻れる、ということで。
「子が産まれたら、天界に戻る予定です。父上と母上が祝いにいらっしゃるとのことなので、そのとき一緒に戻ります」
レオナににこやかに微笑みかけ、エクトは言い切ったのだ。
「そういうわけで、甥か姪が生まれるまで、世話になります」
……今まで生きてきて、ザーフは自分のことを精神的に強いというか、鈍いと思っていたけれども、人生初めて、胃痛を心配したほうがいいかもしれないと、思った。
それよりも、子供が生まれるまで、自分が生きていられるかどうか、ちょっと不安になった。
「姉上の子供かぁ……楽しみです。きっと、とても可愛らしいですよ」
「ありがとう、エクト。お祝いしてくれて嬉しいわ。天界の皆にもお礼を言いたいけれど……ねぇ、エクト。戻ったら、わたしはとても幸せだと伝えてね?」
「……ええ、勿論ですよ、姉上」
レオナにはにっこりと笑いかけ、ザーフに顔を向けた瞬間、睨みつけてくる義弟。
嫌悪をすっ飛ばして、殺意を感じる。
怖い。
子供が生まれるまで、俺、死なないように気をつけよう。
嫁のレオナとまだ見ぬ子供を護るのは、俺の役目だ。
義弟には負けん!!
今回ちょっと短いですね。すみません。




