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 ――〝十九時〟。〝災厄の時〟は迫る……。


 ――お夕飯を食べ終わった後の、私の部屋。

「あ~、お腹いっぱい! 今日は〝ハラグロの煮物〟かぁ~。おいしかったな~❤」

 と、そんなお夕飯の感想を述べたのは、今日は一番早く食べ終わり、先に部屋に戻っていたリムルさんだった。

 リムルさんはどうやら魚料理が一番好きであるらしく、その中でも、ハラグロ、という、お腹の中が黒いためにそう名付けられた魚の煮物が一番のお気に入りであるらしかった。

 ……まぁ? なぜかは分かりませんが、ハラグロの煮物を見てリムルさんは、


『〝ショッガー〟だ! これ、〝ショッガー〟入ってるやつだ!』


 ……と、はしゃいでいたのですが……〝ショッガー〟って、いったい……???

 ……魔界にはハラグロに似た、そういう名前の魚でもいるのでしょうか? 何てことを考えながらも、私は全員が部屋の中に入ったのを確認してから話した。

「では皆さん! お待ちかねの試飲時間です! 食器棚から自分のコップを取って――」

『――る。おい、エル、聞こえるか?』

 瞬間だった。突然頭の中に響いたこの声は……神王様!?

「は、はい! 何かご用でしょうか!」

 唐突に話を中断し、そんなことを言い始めた私に三人は首を傾げていたけれど、私はそれに構わず神王様との会話に集中した。

『ああ、まぁ、大したことじゃあねーんだけどよ? ――お前も霊王から聞いているとは思うが、俺たちは今、いつもの部屋で会議をやってるんだよ。で、その会議自体は無事に終わったんだが、各世界の役所に、〝形〟としてお前たち〝予言の子〟全員の〝誓約書〟を送らなきゃならねぇことになったんだ。サインだけしてくれりゃあそれでいいんだが……今そこに全員いるか?』

「あ、はい! 今からみんなで作った〝手作りのジュース〟を飲もうと思っていたところでして、全員揃っております!」

『〝手作りのジュース〟だぁ?』

 ふむ、と唸った神王様は、それから、変わらない口調で続けた。

『なら、ちょうどいい。実は俺たちもしゃべりすぎてのどが渇いていたところなんだ。こっちにくるついでに持ってきてくれよ』

「はっ! 仰せのままに!」

『ん。じゃあ待ってるからな』

 そう言い置くと、もう神王様の声は聞こえなくなってしまった。

 それを確認してから、私は三人に向かって話した。

「――皆さんすみません。これから全員で神王様の所に行かなくてはならなくなりましたので、準備をお願いします!」

「え~!!?」

 声を上げたのはシーダさんだった。シーダさんはジュースが入った鍋を指差し、大声で話す。

「そんな~! ひどいよ~! だってボク、まだジュース飲んでないんだよ!?」

「あ! えーと……で、では、こうしましょう!」

 シーダさんの指差す方向とは反対。私は食器棚を指差しながら話した。

「神王様たちも飲んでみたいということでしたので、棚から自分のコップと、それから神王様たちの分のコップも持って、いつもの部屋に行きましょう! ジュースはいっぱいありますし、そこでみんなでいっしょに飲んだ方がきっと美味しいですよ?」

「んむ~……それならいいけど……」

 しぶしぶ、ではあったものの、シーダさんは何とか納得してくれたみたいだ。

 それを確認した私は、一応残りの二人にも聞いた。

「ファナさんとリムルさんもそれで構いませんよね? 神王様たちの所に行く、と言っても、実際は書類にサインをしてもらいたいだけ、ということでしたし……」

「は、はい? 私はべつに……ね、リムちゃん?」

「うん。てゆーか、行かなきゃダメなんでしょ? だったらしょうがないんじゃない?」

「……ありがとうございます」

 では、と私は改めて話した。

「皆さん準備をお願いします。私とファナさんはそこの木のカゴにコップを入れて持って、リムルさんは鍋を。シーダさんは……じゃあ、お玉と置き皿をお願いできますか?」

「わかりました!」「鍋ね? わかった!」「うん! 早く行こ!」

 三人といっしょに準備を終わらせた私は、それから急ぎ部屋を後にした。







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