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うむ、分かった……と、ちょうどその時だった。話が終わったらしい霊王さまが、私たちを順番に見回して話した。
「――お前たち、すまんの。妾たち〝王〟は、これから緊急的に〝会議〟を開かねばならぬことになった。遊びを教えてやるのはまた今度じゃ」
「〝会議〟? それも〝王〟たちによるものとなると……もしやリムルさんの事件の……?」
言わずもがな。私の質問に頷いた霊王さまは、そこに補足を付け足すように話した。
「どうやら、各世界での話し合いの結果が出たようじゃ。……つまり、妾たちはこれからそれを、一つないし状況によっては複数の案に分け、最終的な決定をせねばならん、ということじゃな。――では、妾は先にいつもの部屋に行って用意せねばならぬことがあるでの。改めて、すまんが遊びはお前たちで考えてくれ。ではの」
ぱっ……言い終わると、霊王さまは突然消え……って! 今までのは〝分身〟だったのですか!? 全く気がつきませんでした!
相も変わらず、〝王〟の魔法とは凄まじい精度だ……そんなことを思いながら私はシーダさんたちの方を向くと……どうやら三人はそれどころではないらしい。それを気にすることもなく、こちらはこちらで、何をして遊ぼうか? その会議を開いていた。
「羽打ちがダメなら、かくれんぼとかは?」
「え~? もう隠れやすい所だいたいわかっちゃったから、誰が兵士(※魔族鬼人科が存在するため、オニのことをこちらでは兵士と言う)になってもすぐに見つけちゃうよ!」
「う~んと……じゃあ、トラ〝ッ〟プとかは? あれなら身体なんか関係ないし」
「……ファナ。トラ〝ン〟プね。……あれ? どこかでこのやり取り聞いた気が……???」
「何でもいいけど、トランプだったらボク、チェスの方がいいな! ボク強いし!」
「強いっていうか、シーダはルール全部覚えられなくて無視するから強いだけなんじゃ……」
…………う~ん? 何だか決まりそうにありませんね?
……あ、そうだ! 閃いた私は、三人に向かってすぐに声をかけた。
「皆さん! それなら今から神界の街に〝お買い物〟へ行きませんか? ちょうど〝おやつ〟の時間ですし!」
〝おやつ〟!? ――三人はその言葉にすぐに反応し、私の方を振り向いた。
「おやつって……もしかして、お菓子買ってくれるの、エルさん!?」
「え? でも、私たちって〝外に出ちゃいけない〟んじゃ……!?」
「そうそう! 特にあたしなんかこの間事件起こしたばっかりだし……」
「え、あ……お、落ち着いてください、皆さん!」
魔法の言葉・〝おやつ〟。恐るべし……などど心のどこかで考えつつも、私は順番に質問に答えてあげることにした。
「えーと、ではまずはシーダさんの質問からですけど、もちろんいいですよ! お金は全て私が払いますので、安心してください」
「やったー!! ありがと、エルさん!!」
「ふふ、どういたしまして♪ ――次にファナさんの質問です。……〝外に出てはいけない〟ということについてですが、今まではファナさんたちが持っている〝力〟について何も分かっていなかったために、実質神殿外に出ることは禁止としていましたが……訓練で分かっているとおり、〝F・D〟は魔法を使っている状態にして消すだけで実質無害ですし、ファナさんの強大な魔法も〝F・D〟の範囲外に身体の一部を出し、呪文を唱えなければなりませんので……まぁ、そもそも、今まで人間界で生活してきた中でも問題がなかったので、こちらも大丈夫だと思われます。あと、リムルさんの〝鳳仙花〟についても、手袋さえはめていれば問題ないことが判明していますので、外出の許可は下りると思いますよ?」
「そ、そうなんだ! よかった……」
ほっ、と思わず安堵のため息をついたファナさんを見て、私もまた思わず笑顔になってしまった。
「……あの、それで、エルさん? あたしの場合は……?」
と、そんな中一人だけ心配そうな表情で私に聞いてきたのは、最後の質問者、リムルさんだ。
私はリムルさんを心配させないように、その質問にも笑顔で答えた。
「大丈夫ですよ、リムルさん! わたしには〝考え〟がありますので!」
「か……〝考え〟? え? それって、いったい……???」
「ふふふ♪ それはですね~……?」




