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「……ああ、そういえばお前らもいたんだったな?」

 ファナたちを睨みつけながら、ハイジャは話した。

「――そうだな。おれっちも最初の何回かだが、訓練を見て知ってるよ。その魔法なら確かに、〝鳳仙花〟の一切を受けつけない。となるとどうしても、おれっちはお前らとだけはこのリムルの身体で闘わなきゃならないことになるんだが……恐らく、〝マナ〟で身体能力を強化できるシーダの戦闘力には、おれっちも〝勝てない〟だろうな? 最近では、少量だが普段からポケットに〝霊石〟を何粒か忍ばせて持ち歩いてるみたいだし……」

「じゃあ――」

 だが! ファナの言葉を遮るようにハイジャは叫んだ。

「――おれっちにはまだ、〝奥の手〟が残ってるんだよ!!」

 !!? お……〝奥の手〟!?

「っクソが!! まだ何か隠してやがんのか!!」

 起き上がった魔王が聞いた。ハイジャは横眼だけでそれを、チラリ、と見て……しかしすぐに、なぜか視線は突然、〝霊王さまの方〟に向けられた。

 ――お腹の子のこともあり、この戦いには参戦できずにいる霊王さま……それにハイジャはいったい、何を!?

 思うが早いか、ハイジャは霊王さまを見つめたまま話した

「おい、ロリババア。お前、リムルに〝隠しごと〟してんだろ?」

「『!!?』」

 き、貴様……苦虫を噛み潰したような顔になった霊王さまにハイジャは続けた。

「へへへ……おれっち、〝知って〟んだぜ? 身体を借りて眠らせてる時に、何度かリムルの〝記憶〟を覗かせてもらったからな。……まぁ、リムルはどうやらその記憶を〝忘れてる〟らしいけどよ?」

「く……おのれ!!」

 え……な、何? あたしが……〝忘れてる〟??? いったい何を……???

「おやぁ? どうやらリムルも気になるみたいだぜ? ちょうどいい。話してやるか?」

「!? ――や、止めよ! その子はまだ子どもじゃぞ!! これ以上……!!」

「――実はな、リムル?」

 ハイジャは、霊王さまの言葉を完全に無視して続けた。

「お前、〝大罪人〟として捕まってただろ? あれ、本当に〝大罪〟を犯したからなんだぜ?」

「くっ!! ――神王! 魔王! 何をしておる! 〝知っておる〟じゃろう!? 何としてでも止めんか!!」

 ばっ!! 神王たちはその声にすぐに反応し、ハイジャを止めにかかったけれど、〝鳳仙花〟のエリアの中にはうかつに近寄れない。それを知っているため、ハイジャは〝王〟たちではなく、ファナたちにだけ警戒し、そこから距離をとっていた。……おそらく、ほんの数粒の〝霊石〟では、シーダもそう長くは身体能力を強化できない。それを知っていたのだろう。――当然のこと、もし〝供給〟でより多くの〝マナ〟をもらおうとして手を離しでもしたら、ハイジャはその瞬間を狙って〝鳳仙花〟を放つ……そうなってしまっては終わりだ!

 くくく♪ と動けないでいるみんなのことを笑いながら、ハイジャは続けた。

「リムル。お前な……本当に〝殺した〟んだよ。村人を、そして、お前の――」

「!? やめろぉぉおおおおおッッ!!!」


「――〝母親〟を……な!!」





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