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 バオッッ!! 「どあっっ!!?」

 ――突然の魔王の〝パンチ〟!! ハイジャはとっさにそれを避けてしまったけれど……な、何考えてるの、魔王!? そんなことしたら……!!

「私もいることをお忘れなく!!」

「『!!?』」

 ビュン!! ――続いて、今度は冥王のムチだ! 今度もハイジャはなんとかそれをかわすことに成功はしたけど……!!

『み……みんな何考えてるの!? そんなことをしたら……あ!!!』

 その時だった。あたしは、あたし自身が一番よく〝知っている〟はずだったそのことを思い出した。

 そう! 〝鳳仙花〟には〝弱点〟があるのだ! それこそが――

「〝マナ〟が入っていない、〝普通の武器〟での攻撃ッッ!!!」

 ピンポーン! ハイジャのマネをして、今度は神王が答えた。

「何が身体中に爆弾だ? 〝触れても爆発しない〟ような爆弾なんか怖くも何ともねーっての」

 ケケケ! さらには魔王が、はめていた手袋や、内側に着たシャツを見せつけながら続けた。

「ほんっと、〝不便〟だよな、その魔法……だってよぉ? こんな〝布切れ一枚〟身に着けただけで、もう〝何もできなくなる〟んだぜ? リムルだってそれを知ってたから〝手袋〟をしてたんじゃねーか!」

 んふふ❤ と冥王が満面の笑顔で話した。

「いや~! いいですねぇ! 普段は叩かれる方が好きなんですけど、こうやって何もできない女性の身体を叩くというのは実にイイ! ……しかし、口惜しくは身体がリムルさんであっても、中身は……いや、この場合封じ込めてるわけですから、外側ですか? ――ともかく! それがあなたのような女性を騙して楽しむ下品な者だとは……何の遠慮もいりませんねぇ!!」

 終わりですよ! エルさんは近くに落ちていた剣を手に取り、言い放った。

「――リムルさんの身体はいくら傷つこうとも、魔法によって完璧にその治療はできます! つまり、我々は譬えリムルさんの身体であっても、いざとなれば何の躊躇もなくその腕を切り落とし、〝鳳仙花〟を使えなくすることもできるのです! ――分かったでしょう? これであなたの〝負け〟です! 諦めて、直ちにリムルさんを解放しなさい!!」

「ぐううぅぅッッッ!!?」

 ……や、やった! 一時は〝死〟をも覚悟したあたしだったけれど、これで形勢は完全に逆転した! ……いや、違う! 〝最初〟から勝負はついていたんだ! ハイジャは最初から、これだけのすごい人たちと戦うと決まった時点で、勝負は決していたんだ!!

 ジャリ……ハイジャは思わず後ずさったけど、後ろにはエルさんがいる。

 続けてどこかに逃げ道はないかと辺りを見回したけれど……正面には神王。右には魔王。左には冥王がいる。当然、あたしの翼を使って上へ逃げたとしても、このメンバーを前にしてはたちどころに捕まってしまうことだろう。

 完全に〝詰んだ〟……そう思った、瞬間だった。


「はははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!」


 ハイジャが突然、笑っ……え???

「……あ? 何がおかしいんだよ? それとも恐怖に耐えかねて頭をやったか?」

 神王が聞くと、ハイジャは――しかし、突然〝余裕〟の笑みを浮かべ始めた。

「「「「!!?」」」」

 全員がその笑みに疑問を感じ、すぐに構えたけれど……ハイジャはそのまま、いつもの調子で話し始めた。

「いやぁ~……やっぱおれっちてば〝演技〟の天才だわ! だ~れも〝気づきや〟しねぇの」

 !? 〝気づく〟……〝演技〟って!!?

 ほれ、〝足元〟。――ハイジャはあたしにもわかるように視線を落として、それを見せた。

 そこには――

「なっっ!!?」


 ――カッ!! パァァーンッッ!!





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