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♠♠♠♠♠♠♠♠♠♠


 ――訓練開始から五日後、ボクたちの部屋。

「……あれ? ない? どこにいったんだろ? こっちかな?」

「? 何探してるの、シーダ?」

 あ、お姉ちゃん……ボクはその姿を見つけて、急いで駆け寄って聞いた。

「実はね? 隠しておいた〝お菓子〟が……」

 ――はっ!? となった時にはもう遅かった。ボクはもうお姉ちゃんに捕まっていた。

「……へー? ダメって言ってるのに、また隠してたの?」

「……いや……あのね、お姉ちゃ――あー!!!」

「そんな声出してもダマされません!!」

 ち、違うよ! ボクはそう必死に否定して、見つけた〝ソレ〟を指差した。

「ほら! 〝リムちゃん〟がボクのお菓子を!!」

「んあ?」

 と、大好きなパチパチアメ(※シーダ命名。本当は雷飴という、神界ではポピュラーなお菓子。口に入れると唾液に反応して、パチパチ、鳴るためそう名付けた)を口に流し込んでいるリムちゃんの姿があった。

 ……瞬間、一度にいっぱい流し込んだせいか、こっちまで、パチパチ! 聞こえてきて、すごく痛そうだったけれど……。

「あ、ホントだ……って! そんなことよりシーダ! 今日こそは許さないからね!」

「ええっ!? そんなー!!」

 うわーん!! 今日は怒られるし、リムちゃんにはお菓子食べられちゃうし、もう散々だよ!

 …………あれ? でも変だな? リムちゃんって確か、パチパチアメは口の中が痛くなるから〝嫌い〟、って言ってたよう――な゛っ!!?

「痛いよお姉ちゃん!!」

「聞いてないシーダが悪いんです! もっとゲンコツされたいの!?」

「うわーん! ごめんなさーい!」

 ……ホント、今日は散々だよ…………。


♠♠♠♠♠♠♠♠♠♠




❤❤❤❤❤


 ――訓練開始から六日目、訓練がお休みの日の大浴場。

「――お、ファナ入ってたんだ?」

「ん……ああ、〝リムちゃん〟!」

 髪を流していると、ちょうどその時リムちゃんが大浴場に入ってきた。

 リムちゃんはそれからすぐに私の隣に座ると、温かい、かけ湯専用の釜(※シャワーなどは存在しないため、神界のお風呂では身体を洗う場所のすぐ目の前に細長い大きな釜があり、必要な時は各自そこから使う分だけすくう。ちなみにお湯は常時、描かれた魔方陣によって作られているため、足したり沸かしたりする必要はない)からお湯を……どうしたのだろう? 手袋が滑って掴みにくいのかな? なぜか両方の〝手首〟を使って挟むように洗面器を持ち、すくい辛そうにお湯をすくって身体にかけた。

 すると……

「おー! こりゃああったけーなー!」

「え……あはは、何それー? おじいちゃんみたいだよ?」

「え? ああ、冗談冗談! ほら、今日神王〝さま〟の朝礼があったでしょ? オヤジくさかったから、そのマネだよ~!」

 ……神王……〝さま〟???

 ……あれ? リムちゃんって確か、普段は神王さまのこと呼び捨てにしてたような……って、ホントは呼び捨てにしちゃダメなんだけどね? ――誰かに怒られて、さまって付けるようにしたのかな?

 ――と、その時だった。リムちゃんは突然辺りを、キョロキョロ、見回し始めた。

 ……? どうしたんだろう?

「ねぇ、どうしたのリムちゃん? 何か探してるの?」

 気になって聞くと、リムちゃんは、う~ん、と唸りながら答えた。

「いやね? あの巨にゅ…エルさんがいないかな~? なんて思ってさ?」

「え? ――ああ、エルさんならシーダと先に上がっちゃったよ? なんか、数字とマークがいっぱい描かれた、とら……何とかでいっしょに遊ぶんだって。私も後でやるって言ったんだけどね?」

「へー、トランプねぇ?」

「あ! そうそう! 〝トラップ〟! ――リムちゃんもいっしょにやる?」

 トラ〝ン〟プ! いや、ある意味罠の仕掛け合いだけどさ? と私の間違いを訂正してからリムちゃんは続けた。

「うん、まぁ考えとくよ。――あ、そんなことよりファナって……うへへ、結構〝おっぱい〟大きいんだね?」

「んにゃにゃ!? にゃに言ってるのリムちゃん!」

 私は恥ずかしさのあまり、思わず噛みまくりながら胸を両手で隠すと……じわり、とリムちゃんはなぜか、そんなあたしに向かって、目を不気味に輝かせながら迫ってきた。

「え……えっ!? リムちゃん!? 何を……」

 ――次の瞬間だった。

「覚悟―ッッ☆」

「きゃーっっ!!?」

 突然リムちゃんは私に跳びかかってきて、私の胸を触っ……あれ? 触って……るには触ってるけど、指が全く……〝動いてない〟???

 ――はっ! しまった! そう小さくリムちゃんは声を上げた。

「指が……つーか手が! 感触すら分からねぇ! くっそ~!」

「……あ、あの……リムちゃん???」

「――はっ!!」

 それから、だった。突然リムちゃんの態度が……

「……え? あれ? ファナ? 何やって……ん???」

 むにむに……今度は指が動いた――って!?

「リムちゃんのバカー!!」

「うわー!?? ごごご、ごめんファナー!?」

 ――それからお風呂を上がるまでの間、リムちゃんはずっと私に謝り続けていた。

 ……今日はリムちゃんどうしたんだろ? 変なの……昨日の訓練で疲れたのかな???


❤❤❤❤❤





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