表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/99

6-5




 そう不思議に思ってあたしは前を向くと……? なぜだろう? 霊王さまが小首を傾げてあたしのことを見ていたのだ。

 そして、さらには……

「……変じゃの?」

 と、突然、唸り声を上げ始めた。……本当にいったい、どうしたというのだろう?

「あの……霊王さま? あたし……何か変なの???」

 ああ、いや……と首を横に振りかけた霊王さまではあったけれど、しかし――

「……ふむ。念のために調べておくかの? ――リムルよ。悪いが、安全のために手袋をはめて、気をつけをしてくれ。少し調べたいことがあるのじゃ」

「??? 調べる? ……いいけど?」

 とりあえず、あたしは言われたとおり手袋をはめて、気をつけのポーズをとった。

 そこに、動くなよ? と呟いてから、霊王さまは何やら呪文を唱え始める……すると、何だろう? 霊王さまの瞳が、きれいな緑色から、白ぼけた緑色に変わった。

 ……??? 本当にホント、霊王さまは何をしているのだろう?

 そんなことを考え続けること数秒……ふぅ、とため息をついた霊王さまは、あたしから離れた。――その時点で瞳の色は元どおり、きれいな緑色に戻っていた。

 いや、な? と霊王さまは何をしていたのか? それをあたしに説明した。

「何か……まぁ、ただの〝感覚〟的なものじゃったから、何とも言えんのじゃが……リムル。お前の〝中に〟妙な〝気配〟を感じた気がしての? 念のために妾の魔法で身体を調べさせてもらったのじゃが……ふむ。どうやら妾の勘違いであったようじゃ。気持ちの悪いことを言ってすまんの。許せ」

「!!? あ――ああ! 何だ! そうだったの!? もう! 霊王さまってばびっくりさせないでよ~!」

「かかか、すまんすまん。――おお、そうじゃ。そんなことより今の制御方法を紙に記録しておかねばな? えーと、紙はどこに置いたんじゃったかな?」

「あ、霊王さま! 紙ならさっきそこに置いてありましたよ?」

「ん? どこじゃ?」

「そこそこ!」

 …………。

 霊王さまとファナはあたしから離れて行った。

 その後、心臓が、バクバク、鳴ったままになっているあたしに、ハイジャはよりいっそう声を潜めて話しかけてきた。

『……あ、あっっっぶねー! もうちょっとで見つかるところだった! いや、マジ死んだと思ったよおれっち! 一度死んでおいてアレだけどさ!?』

「……ねぇ、ちょっと!」

 と、あたしは霊王さまたちに背を向けて、同じく小声で話した。

「どういうこと? 霊王さまは何であんたに気づきかけたの?」

『詳しくはおれっちにも分からねぇ! ただ、今のおれっちは例えるなら……そう! 大量の落ち葉の中に落ちた、〝一枚の葉っぱ〟みたいな〝マナ〟しか持ってねぇ状態なんだ! 普通に考えたら肉眼でなんか見えるわけもないし、譬え魔法を使ってたとしても、おれっちの存在に気づくのなんてまず以って〝不可能〟ってやつなんだよ! それをあのロリバ……霊王さまは気づきかけたんだ! さすがは〝王〟って感じだぜ! だてに世界の〝王〟をやってねぇな!』

 そ……そうなんだ。やっぱり、霊王さまってすごい〝王〟さまなんだ……。

『へい! 感心してる場合じゃねーぞ? 今調べられた時、おれっちはお前の手の〝力〟がギリギリ発動しない、〝手首〟に隠れて何とかやりすごしたが、もうあとほんの数センチ霊王さまが踏み込んで調べていたら……いや~! 死ぬ! マジで死ぬ! ホント、お前に〝力〟があってよかったぜ! 霊王さまもそれに触れちまわないように、手首の一歩手前で調べるのを止めてくれたからな! ――と! とにかくだ! おれっちはもう、訓練中は隠れて絶対出てこないようにするから、返事はまた後で! じゃあな!』

「あ、ちょっと!?」

 ………………。

 ……ダメだ。どうやら本格的に隠れることにしたらしい。何も返事は聞こえてこなかった。

 しかし言いたいことだけ言って逃げるって……まぁ、いいか。返事は後でいいって言ってるんだし?

 そう考えたあたしは、気にすることを止め、霊王さまたちの下へ駆け寄った。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ