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おまけ #2

このおまけを読まれる際は、一話と二話を全て読んでからか、または1-4、おまけ#1、2-2を読み直し、内容を思い出してから読んでいただくことを強くお勧めいたします。




 おまけ #2,一方その頃、元領主さまたちは……。




♣♣♣♣♣


 ――私の名は、囚人番号R-13579番。メイミルの町の元領主だ。

 知ってのとおり私は極悪人で、〝炎爆の盗賊団〟と手を組んで色々悪いことをしてきたのだが……今回、作戦決行の当日に神界から使者がくる、というちょっとした想定外のことが起こってしまい、あえ無く御用となってしまった悲しい男である。

 ……さて、そんな私はついさっきまで神馬の馬車に繋がれた檻の中にいたのだが……あれは本当に〝地獄〟だった。…いや、比喩とかそういうのではなくて、本当にそういう〝刑〟なのではないかと思えるくらい、酷いものだったのだ。

 なぜか? それは、あの神馬の〝速さ〟と、上空を〝飛ぶ〟という最悪の条件の中、我々囚人部隊はほとんど裸に近い薄着姿で、風通しMAXの檻を引かれて遥々神界まで連れてこられた……それを考えれば、もうお分かりだろう。

 寒い!! なんてもんじゃない。まさに〝凍え死ぬ〟ってやつだったのだ。

 だがしかし、本当の地獄は寒さなんかではなく、その後――そう! 極限にまで寒いからこそ、そこにいた誰もが…〝男〟と〝男〟どうしが、形振りを構っていられなくなり、ほとんど裸のその身体どうしを擦り合わせ、互いの身体を温め合うしかなくなっていたのだ!

 一応言っておくぞ? 絶対にその状況を〝想像するな〟!! はっきり言って私自身、その時の〝地獄〟が心の奥底にまで焼きつき〝忘れられない一生の思い(トラウマ)〟となってしまっているのだ! しかも私のすぐ目の前にいたのは、なぜだか知らんが未だに独りだけ〝光る剣〟が刺さったままの半〝ケツ〟丸見え男だったし……仕方なくその〝ケツ〟に抱きつくしかなかった私は、もう散々を通り越して散々な目に会ったのだ! 

 ……こほん。というわけで、そんな〝一夜〟を共にした我々に、微かな、芽生えたくもない〝友情〟が芽生え始めた今日この頃……神界に無事辿り着き、その黄金に輝く美しい草原を手脚に重りを繋がれて歩かされていると……突然目の前に大きな洞窟が現れた。それを見て、我々のことをあのエルとかいう金髪の巨乳使者から引き継いだらしい、青髪の貧乳使者が言った。

「――止まれ。今日からお前たちは〝神罰〟執行までの期間の間、この牢獄でその余生をすごすこととなる。言っても無駄だとは思うが、せいぜいその犯した罪の重さを悔やみながら、執行の日を待つがいい」

 ……ふっ、お決まりのセリフだな。譬え死ぬことになっても、誰が罪なんか悔やむもんか。

 そう思い、半分笑っていた俺たちは、それでも仕方なく、黙ってその牢獄に入っ――

「――おい、待て囚人共」

 と、それを貧乳に引き止められた。

「何だぁ? 入んなくていいのかよ? それなら逃がしてくれよ。けけけ…」

 誰かがそう呟くと、それに、ふん、と貧乳はため息をついてから続けた。

「逃がすわけがあるまい。ただ、ここに入る前に、お前たちには〝服〟を脱いでもらう。どこかに凶器でも隠されていたらたまらんからな。…枷は一時的に外してやるが、逃げたら即殺す」

 え――と刹那、私たちの脳裏には、あの〝思い出〟がフラッシュバックされた。

 ん? とそれを何か勘違いしたのか、貧乳は……

「ああ、安心しろ。私には現在、お前たちの〝首から上〟しか見えていない状態だ。とは言ってももちろん、それは〝肌〟が見えないというだけで〝服〟などはちゃんと見えている状態だ。だから私がお前たちの〝汚物〟を見て気分を害するようなことはない。安心して脱ぐがいい」

 いや、そういう問題ではな…つーかお前の気分の問題かよ! …そう叫びかけたが、所詮我々は囚人…言ったところで無駄なことは分かっていたため、仕方なく、我々は服を脱いだ。

「……よし、全員脱いだな。ではこれよりお前〝たち〟が入る牢屋に案内する。牢屋の中は狭く、はっきり言って身体どうしが〝常に密着〟していて、〝折重ならないと〟寝ることもできんだろうが…囚人であるお前たちに居場所を与えてやっているだけ感謝しろ。では行くぞ――」

「ちょっと待ったー!!!」

 思わず、私は叫んだ。

「あ、あの…ちょ、ちょっと確認させてもらってもいいでしょうか?」

「……何だ?」と不機嫌そうに貧乳は私の方を向いた。それを確認してから私は聞く。

「い…いえ、ね? 今……私〝たち〟の牢屋って聞こえたんですけど……もしかして、何人かで一つの牢屋ではなく、〝全員〟で一つの……?」

「ん? ……ああ、当然〝全員で一つ〟だ」

「……裸のまま?」

「当然だ」

「男だけで!?」

「……お前たちの性別は全員男だからな。それも当然だ」

「……私だけ個室に――」

「できるわけがないだろうが阿呆が。当然、〝同じ部屋〟だ」

「そ…そこを何とか……お金ならいくらでも……!!」

「……」

 ふっ、貧乳はそんな私の懇願を鼻で笑い、ニヤけた表情のままその〝言葉〟を言い放った。

「〝ダメ〟だな……ま、せいぜい〝楽しめ〟」

 ――その、無情なる言葉を聞いた、その瞬間だった。私は、〝神族〟相手に叫んでいた。


「神よ!! お助けくださぁぁぁいぃぃぃっっっッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


♣♣♣♣♣




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