レガシー②
英斗は自らも水を生み出し、襲い来る水流にぶつける。二つの大きな水流がぶつかり、弾けた。
「これは失敗だったかも……」
触れると死ぬ水が弾け周囲に散る。英斗は自らをバリアで覆い水を避けた。襲い来る黒い水流は収まったものの、バリアに包まれた英斗を目掛けて大量の骸骨兵士が向かって来ていた。
「皆さん、すみません」
英斗は骸骨になった市民に両手を合わせて、頭を下げる。
「軍隊の十三人!」
英斗の叫びと共に、十三体の軍服を着た自動人形が現れる。英斗はマジックバッグから大量の武器を取り出すと、彼等はすぐさま装備する。
英斗がバリアを消すと、軍隊は洗練された動きで、アサルトライフルとロケットランチャーを連射する。
次々と、骸骨達が蹴散らされていく。銃弾で砕かれた頭蓋骨を見て、英斗は静かに歯を噛みしめた。
(神力を込めた一撃で、消し飛ばす。あまり無駄撃ちはできない。拘束してから神力で殺れればベストだが……)
英斗が地面に手をあてると、レガシーの足元から大量の蔦が生え拘束に向かう。だが、レガシーから放たれる瘴気により一瞬で枯れ果てる。
「君の能力は本当に万能だな。その多様性から結構そのスキルを使っているんだろう? おそらく神力を与えられたスキルとは別の物だ。タワーの報酬で神力を与えられたか? であれば神力はまだそこまで練度は高くない。後、どれだけ使えるのかな?」
レガシーの読みは完璧に近かった。
「それもブラフかもよ?」
「フフフ、そうかもな。それも面白い。君を配下にしたら、最強の騎士になりそうだな。楽しみだ。死を掴む両腕」
レガシーは一瞬で英斗へ距離を詰めると、背後に浮遊する巨腕を生み出した。人体模型の腕のような皮のついていない不気味な腕だ。
その巨腕は英斗へうねりを上げて襲い掛かる。
「神の両腕」
英斗も同様に鉄でできた両腕を生み出し、レガシーの技に合わせて拳を振るう。二つの一撃がぶつかり合う。
魔力が混じり爆ぜる音がした。だが二人とも退く気配はない。巨腕による殴り合いが始まった。激しい打ち合いを制したのは英斗。
その鉄の巨腕による右ストレートがレガシーに叩き込まれ、その衝撃で大きく吹き飛んだ。
九州の命運を決めるこの一戦が行われている最中、底の見えない巨大な穴から出てくる謎の影があった。
お読みいただき、ありがとうございました!
少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、
『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると嬉しいです!
評価ボタンはモチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!





